著者:三戸 政和 …
○○はXXしなさい系のやつ、どうも好きでないのですがこれは気になって手に取ってしまいました。(Inobe.Shion) |
内容紹介
ネットメディア「現代ビジネス」に「飲食店経営に手を出したら、その先には『地獄』が待っている」「60過ぎたら、退職金で会社を買いなさい」などをアップ、累計500万超のPVという記録を打ち立てた話題の記事の書籍化です。
サラリーマンには定年・早期退職後、飲食業を始める夢を描く人がたくさんいます。しかし、それは「地獄への道」。廃業率は20%で全業種トップ。実際には素人では勝てない世界。一方で、起業を考える人もたくさんいます。こちらも「地獄」。日本で起業して10年後に残っている会社はわずか5%。
著者の三戸さんは言います。業界大手企業でマネジメント経験があるなら、会社を買って社長になったほうが遥かにいい、と。黒字経営であるにもかかわらず、後継者不在のために休廃業する優良中小企業はたくさんあります。事実、中小企業380万社の約7割で後継者がおらず、中には株式1円でもいいから譲りたいと考えているところも。
在職時同様30~50人規模のチームを率いて、今度はサラリーマンではなく社長として力量を発揮し、役員報酬を得て、最後は会社を売却してキャピタルゲインを手にする。雇われる人生を脱して、資本家になる。
中小企業が後継者不足で事業承継に悩む「大廃業時代」は、本当はサラリーマンの「期間限定」の大チャンス。本書は、人生を変える「あかるい資本家講座」です。
内容(「BOOK」データベースより)
投資ファンドのビジネスの現場で実践しているノウハウを広く開陳して現在日本が直面する大きな課題、中小企業100万社が廃業するといわれる「大廃業時代」への一つの解決策を提示。Web「現代ビジネス」の人気連載を書籍化!あかるい資本家への道。 |
中小企業のシステム導入が遅れるのは、一に初期補用がかかるため、二にそもそもそのシステムの存在を知らないからです。(p.103) |
大企業には、”仕組みの導入”に特化した担当者がいますが、中小企業にはいません。経営企画室など業務改善を促す部署自体がありませんし、そんな人を雇う余裕もありません。そのため仕組みの導入は、社長がやるしかありません。しかし致命的なことに、社長自身がそもそもどんな新しい仕組みがあるのかを知らないのです。(p.116) |
大企業で鍛えられた人にとっては、びっくりするほど前近代的で、まともな管理もされていない。にもかかわらず仕事が回り、経営は黒字で安定している中小企業がたくさんあるのです。経営システムが改善されたら?ビジネスモデルが洗練されたら?もっともっと儲かる企業がたくさんあります。改善余地も成長余地もたっぷりあるのです。(p.117) |
なによりも中小企業を買うことの大きなメリットは、あなたが専門性を活かすことができ、勘所もわかる業界で、今、経営が成り立っている会社を設備も、顧客も、従業員も、仕入先も、取引銀行も、そのまま引き継ぐことができる点です。(p.119) |
流れを大づかみに把握出来たら、それから会社をよく見て、「よくない」「古い」と思う部分に改善の手を加えていけばいいのです。中小企業は経営上無駄が多く、非効率であるため、業務改善によって利益率を上げやすいことが管理職であったあなたにはプラスに働くのです。(p.119) |
きちんとした企業でマネジメントを習得したあなたが、そうしたポテンシャルに恵まれた会社を安価で買い、社長になったとしたら、画期的な改革の導入によって、たちまち企業の経営を好転させることができるでしょう。画期的な改革といっても、すでに見たように、対象となる中小企業にとって画期的だということであって、あなたにとってはそれまでやってきた、やり慣れた普通のやり方を踏襲するだけでしかありません。たとえば、次のようなことです。
- 在庫を洗い出して整理する
- 製品ごとに営業利益率を計算する
- 赤字の顧客との取引をやめるか、値上げ交渉をする
- 不良在庫を処分する
- 不採算部門を止める
- 帳票をシステム化する
- 全仕入先から見積りを取り直す
- 部品の発注ロットを小さくする
- 部品の納期を確認し、早い発注を抑える
- 在庫の置き場所を最適化
- 運送会社と運賃の交渉をする
- ホームページを作り、自社の技術を公開する
- 新規の展示会に出展し、PRしてみる
- 業務効率化のクラウドを利用する
- 新規営業の見込み顧客リストを作ってみる
- 見込み顧客へパンフレットを郵送してみる
- 見込み顧客への電話をそれぞれ3回ずつしてみる
- 名刺管理システムを導入する
- 勤怠管理クラウドサービスを使い、社員の生産性を可視化してみる
- 会議を開き、社員の意見を聞き、自分の考えを社員に伝える
- 朝礼で、前日と当日の行動管理をする
- 週次会議で、先週と今週のPDCA管理をする
- 月次、四半期、年度計画を立てて、実行に向けて進捗管理する
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いずれも、あなたがこれまで当たり前に行ってきたことです。何か革新的な技術開発をするわけでも、大規模な先行投資をするわけでも、スクラップ・アンド・ビルドをするわけでもありません。細かいところを見て、時代遅れのものや、ずさんなやり方を、少しずつアップデートするだけです。それだけのことで、意外と、中小企業の経営は革新されてしまうものなのです。(p.123) |
業績が低迷し、資金繰りも悪化して将来の展望も見出せないような企業だけが廃業していくわけではありません。財務状態は悪くないし、当面の資金繰りにも問題がないのに、後継者や買い手がいないので廃業せざるを得ない・・・・という会社は想像以上に多く存在します。(p.144) |
後継者のいない社長にとって、相応の金額で買ってくれ、事業を大事に引き継いでくれるよい買い手は渡りに船の存在です。そのまま売却するなどして事業承継できれば、商品在庫も部品在庫も、稼働している設備も建物も、その後も会社の生きた資産として価値を持ち、買い手側は買い手側で、それら資産から売上や利益を創出することができるのです。まさに需給の取れた「Win-WIn」の関係です。そこで事業承継の最後にして最良の選択肢。それがM&A-「会社売買」なのです。こうした背景から今、非常に多くの社長が会社の売却先を探している、というわけです。(pp.146-147) |
とはいえ、経営状態が悪く、社員の質も低く、「買うべきではない会社」もたくさんあります。その中で、どの産業のどの企業を買えばいいのかの目利きは絶対的必要です。ポテンシャルよりもはるかに価値が低く、評価されている宝石のようなヴィンテージ企業を見極めることができるかどうかです。あなたが真剣に探せば、必ず見つかります。(p.166) |
会社を買う場合は、本当にその会社が営業している事業内容が申告している通りなのか、入念に調査し、しっかり見極めなくてはいけません。(p.179) |
見極めるポイントとして以下のような事項が記されています。これらをさまざまな側面から、一つひとつ確認していかなければいけません。(pp.179-180)
- 帳簿に書かれていない負債(簿外負債)はないか
- 保有資産は、実態価格を反映しているのか
- 回収できそうにない売掛金はないか
- 在庫はきちんと帳簿通り存在するのか、不良在庫ではないか
- 土地建物の権利関係、賃貸契約は、法的に担保されているのか
- 法令違反または不正な会計はしていないか
- 係争中の事実はないか
- クライアントとの関係は良好か
- 仕入先との関係は良好か
- 金融機関との関係は良好か
- 従業員との関係は良好か
- 従業員に残業代を含む給料をきちんと支払っているか
- 社会保障制度にはすべて加入しているか
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・事業引継ぎ支援センター
などで探すことができるようです。
なかなか面白い視点での著作で、ある意味非常に刺激を受けました。
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