著者:安斎 勇樹, 塩瀬 隆之
課題解決のためのチームの話し合いにおいて「良いアイデアが生まれない」「チームの一体感がない」と感じるとき、それはチームで向き合っている「問い」がうまくデザインされていないからだ。 そもそも何を解決すべきなのか、「本当に解くべき課題」を正しく設定できなければ、根本的に解決の方向性がずれてしまい、関係者に「創造的な対話」は生まれない。 本書は、企業の商品開発・組織変革・人材育成などの複雑な課題解決の現場において、問題の本質を見抜き、解くべき課題を正しく設定し、関係者を巻き込み、課題解決のプロセスをデザインするための思考法・スキルについて体系化。人とチームのポテンシャルを引き出し、組織や事業の創造性、イノベーションを促すための必読書。 |
問いの7つの基本性質(pp.39-40)
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問いの基本スタイル(pp.41-42)
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課題設定の罠(p.58)
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問題を捉える思考法(p.65)
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「課題」とは、関係者の間で「解決すべきだ」と前向きに合意された問題のことを指します。適切な課題を定義することは、「問いのデザイン」の第一歩です。(p.78) |
あらゆる問題解決の指南書が示してきた通り、問題や課題とは、「目標と現状の差分」によって生み出されます。同じ現状であったとしても、せってした目標が高ければ高いほど、問題の解決は困難になります。逆にどのような現状であったとしても、その現状に関係者が満足していて、目標が存在しなければ、そこに問題は生まれません。(p.79) |
●リフレーミング力(p.207)
①利他的に考える | 場の意見が自分本位の視点に偏っている場合に、利他的な視点を促す |
②大義を問い直す | 手段ばかりが話されるようになっている場合に、大義を確認する |
③前向きの捉える | 場がネガティブな意見に偏っている場合に、前向きな視点から捉え直す |
④規範外にはみ出す | 規範的な意見に偏っている場合に、あえて規範外の意見を促す |
⑤小さく分割する | 場の意見が抽象的かつ壮大な場合に、具体的な複数の意見に分割する |
⑥動詞に言い換える | 名詞形のキーワードが繰り返し使われている場合に、動詞に言い換える |
⑦言葉を定義する | 未定義の言葉が繰り返し登場する場合に、その言葉の定義を確認する |
⑧主体を変える | 特定の主体による発言が増えている場合に、別の主体から捉え直してみる |
⑨時間尺度を変える | 特定の時間軸に意見が集約している場合に、時間軸を変えてみる |
⑩第三の道を探る | 意見が二項対立に陥っている場合に、「第三の道」の可能性を探る |
●ファシリテーションの即興的な問いかけ(p.227)
①シンプル・クエスチョン | 参加者の意見に対する素朴な疑問 |
②ティーチング・クエスチョン | 参加者に意図的な気付きを与えるためのフィードバック |
③コーチング・クエスチョン | 参加者の意欲、思考、価値観を引き出すための問いかけ |
④フィロソフィカル・クエスチョン | 学習テーマをより深めるための探求的な問いかけ |
なかなか興味深い内容でした。
問いも様々なシチュエーションで適切なものがあり、ファシリテートをよくする方にとっては、身につけておくスキルだと思いました。創造的に解決手段を考えていく際には特に必要なものだと思いました。
著者の安斎さんは、その後、下記の書籍も出されているようですので、こちらも読んでみたいと思いました。それぞれ高評価ですし、期待したいところです。