著者:門倉 貴史
ホンマでっか⁉TV」などにもよくご出演されている門倉さんの著。ちなみにサブタイトルにある、「蠢く」ですが、春に虫虫と書いて、「うごめく」と読みます。(Inobe.Shion) |
内容紹介
日本経済をゆるがす影の経済をあぶりだす! 著書『日本の地下経済』(2002年発売)にて、それまで本格的に扱われてこなかった「地下経済」研究・分析で、注目のデビューを果たしてから15年。 パナマ文書で明るみになったタックス・ヘイブンを使った大企業・富裕層の税金逃れのほか、闇カジノ、闇ウェブ、振り込め詐欺、覚せい剤売買、貧困ビジネスなどのアングラビジネス……。本書は、地下経済が様変わりするなか、地下経済の日本の第一人者が、満を持して、再度自身の専門分野に切り込む注目の一冊。 内容(「BOOK」データベースより) 闇風俗、暴力団産業、貧困ビジネス、闇サイト、富裕層の税金逃れ…地下経済の第一人者が15年ぶりに炙り出す日本経済のダークサイド! |
公式の経済指標が私たちに見せてくれるのは、いわばタテマエの経済であって本音ではない。経済はなかなか本音を語ってくれないが、真実の経済の姿を理解するためにはぜひとも本音を知っておく必要がある。本音を知らなければ、経済を円滑に運営するために必要な処方箋も書くことができない。・・・タテマエしか見せてくれない公式の経済統計に全面的に依拠していると大きな判断間違いを犯し、後で痛い目にあう可能性がある。こうした理由から本音の経済=地下経済を知る必要があるのだ。(pp.4-6) |
本音の経済=地下経済
タテマエの経済=公式の経済指標
そして、本音とタテマエをあわせて、それこそが真実の経済ということになろうかと思います。
さて、第1章では、日本の地下経済の大きさが推計されています。このような分野の研究者として、フリードリッヒ・シュナイダー、バッタチャリャが挙げられています。
日本の地下経済のですが、バルブ崩壊以降は縮小傾向をたどっていたが、2013年ごろから再度拡大の兆候が見え始めており、直近の2016年は、26.5兆円、名目GDP比では4.9%となっているようです。
地下経済を構成する個別の経済活動を積み上げていく直接推計法を使って、地下経済を構成する個別の経済活動が全体に占める割合を見ると、脱税が74.1%、その他の犯罪活動が25.9%となっており、日本の地下経済の7割強が脱税によって成り立っていることがわかる。(p.40) |
また、他国の地下経済ですが、次のように推計されているようです。
フリードリッヒ・シュナイダーによって導出されたOECD加盟国の推計結果(MIMICモデルにょる)を2015年時点で比較すると、名目GDPに対する比率で地下経済が大きい順に、トルコ(27.8%)、エストニア(26.2%)、ラトビア(23.6%)、ポーランド(23.3%)となっている。(p.44) |
OECD加盟国中、最大の地下経済を抱えるトルコには、毎年たくさんの難民が流入しており、これらの難民の多くが労働許可証を取得しないまま闇労働に従事しているとのことです。(p.44)
日本の地下経済が低首位準(GDPの4.9%)にとどまっている理由としては、①日本の租税負担率や失業率が相対的に低いこと、また、②他国に比べて地下経済での活動に対する規制が厳しいことなどが挙げられる。(p.46) |
ブラックマーケットに関するさまざまな情報を提供している「HAVOSCOPE」というサイトによると、タイの売春産業が1年間に稼ぎ出すお金はざっと64億ドル(約760億円)に上る。タイの観光収入(481億2400万ドル)の13.3%が売春産業によってもたらされているということだ。(pp.47-48) |
というような感じの真面目なお話は第1章のみで、第2章以降は「闇」のお話・・・でした。
これらこれで非常に興味深く、陰謀論好きの方にとっては、なかなか刺激のある内容化と思います。
その闇の種類ですが、
・性風俗
・貧困
・犯罪
・闇サイト
というような内容でして、非常に細かい描写もありまして、単なる興味本位というところもくすぐられる内容になっています。