著者:三津村 直貴 …
大変分かりやすく5つのテクノロジーについてが書かれています。次を学びたいと思う道しるべとしてお勧めします。(Inobe.Shion) |
内容紹介
AI、IoT、仮想通貨の背景にあるもの 【本書の特徴】 【本書で解説する5つの技術】 【目次】 第1章 ニューラルネットワーク 第2章 データマイニング 第3章 ブロックチェーン 第4章 ロボティクス 第5章 量子コンピュータ エピローグ まとめ:5つのコア・テクノロジーの関わり合い 内容(「BOOK」データベースより) AI、IoT、仮想通貨など、さまざまな革新的テクノロジーが登場しています。しかしこれらは、その背景にあるコア・テクノロジーの応用例といえます。そこで、これからの社会に決定的な影響を及ぼすであろう5つの最重要技術を取り上げ、その仕組みや発展について解説します。本書は、5つのコア・テクノロジーを理解することで、少し先の未来を見通せるようになることを目標としています。 |
なかなか適度な難易度でそれぞれのテクノロジーに親しめる内容です。
ブロックチェーンは非常に優れた仕組みを持っており、その応用範囲は貨幣だけにとどまりません。個人情報、契約情報、資産情報など、あらゆる重要性の高い情報をブロックチェーンで管理することが可能です。こうした試みは「ブロックチェーン2.0/3.0」などと呼ばれており、将来的にはさまざまな領域に広がっていくことが予測されます。もしかすると、仮想通貨によって引き起こされた革命が、金融以外の世界で起きるかもしれません。(p.16) |
まずはニューラルネットワークから。
オートエンコーダによる事前学習を施したネットワークを多層に重ねて誤差逆伝播法を行ったところ、巨大なニューラルネットワークでも学習が進むことが判明しました。これがいわゆる「ディープラーニング」と呼ばれる機械学習です。(p.43) |
ニューラルネットワークに何ができるのかというと、今までのコンピュータが苦手としていた「ルールのわからない問題」を解決できるようになるということです。それが「画像認識」「音声認識」などといった領域で「5」とは何か「オカピ」とは何かといった、視覚的な情報に隠れたルールをニューラルネットワークが把握できるようになりました。(p.44) |
ここでいう「ルール」というのは、厳密な決まり事に関する話ではなく、特定の記号、動物、物体に共通する「特徴」のことです。これがニューラルネットワークの強みである特徴抽出能力というものです。ニューラルネットワークを使うことで、物事の特徴を見抜けるようになり、人間にしかできなかったようなタスクが機械にもできるようになります。ただし、それは複雑な特徴を見抜くための巨大なネットワークが必要で、その学習をするためにディープラーニングが必要だったという派内なのです。(p.44) |
畳み込みニューラルネットワークが成功した秘訣は、画像の特徴(色、輪郭、質感など)をそれぞれ抜き出したうえで、比較しやすいように小さな情報にまとめ、識別しやすくしてから認識した点にあります。画像に含まれる情報は膨大で、そのまま細かく伊良部ていたのでは情報処理にかかる負担も大きすぎますし、何よりも重要度の低い小さな変化にとらわれてしまうとご認識につながります。・・・畳み込みニューラルネットワークを使うと、認識するべき対象の中でも特に重要なポイントだけにフォーカスできるようになるため、対象を正しく認識できるようになるのです。(p.46) |
画像用の畳み込みニューラルネットワークはどちらかといえば「細かな情報を特徴だけ抜き出してアバウトにする」能力が強みですので、文章には向いていません。そこで考案されたのが、再帰的ニューラルネットワークですした。再帰的ニューラルネットワークの特徴は、情報がループするという点です。畳み込みニューラルネットワークなどの一般的なニューラルネットワークでは、情報は一方向にしか向きません。これは再帰的ニューラルネットワークと比較して、順伝播型ネットワークと呼ばれます。(pp.46-47) |
AIを切り分けながら見ていくと、異なる視点でAIと呼ばれているものの中にも、いくつかの共通点が見えてきます。それは識別能力、学習能力、模倣能力の3つです。(p.55) |
AIを理解し、活用するうえで大切なのは「どの技術が使われているか」ではなく、それによって「どんな能力を獲得したか」にあります。これを理解することで、AIの活用法が見えてくるはずです。(p.55) |
ディープラーニングはニューラルネットワークを学習させるための技術ですが、そこにはいくつかの制約があります。1つ目は、データ少ないものは学習できないということ。2つ目は、まったく新しい領域の楽手は試行錯誤を伴うということ。(p.61) |
敵対的生成ニューラルネットワーク(GAN : Generative Adversarial Network)を使うと、データが足りなくてもニューラルネットワークの学習ができます。この手法では2つのニューラルネットワークを用意し、片方のネットワークが生成したデータを、もう片方のデータを使って識別します。敵対的な役割を持たせた2つのニューラルネットワークを使って相互に高め合うことで学習を進めるため、敵対的生成ネットワークを呼ばれています。(p.62) |
ディープラーニングは優れた学習法です。しかし、ディープラーニングにも無数のバリエーションがあり、タスクに合わせて使い分けなければならないうえ、まったく新しいタイプのタスクの対してはゼロから調整を進めなければなりません。そこで考案されたのが「学習法」を学ぶメタ学習という技法です。(p.63) |
強化学習では、AIは設定された報酬が増えるように学習を進めます。報酬というのは状況によっていろいろな設定があり得ますが、囲碁ならば「勝利」で報酬を得られるでしょうし、自動車であれば最短距離での通過や揺れの少ない運転で報酬を得られるように設定されるでしょう。AIはさまざまなアクションをしながら報酬を上がるアクションを見つけ、効率よく報酬を得られるように学習を進めます。この学習方法の強みは、正解が分からなくても使えるところに加え、状況が刻一刻と変わるような局面で利用できることにあります。これはまさに囲碁向きで、人間が見たことのないような一手を打ち、プロの棋士を驚かせました。(pp.64-65) |
解決の難しそうな問題ですが、ニューラルネットワークの思考を理解するためのアプローチが存在しないわけではありません。メタ学習のように、ニューラルネットワークを分析するAIを活用するのです。それにデータベースを組合せ、どんな知識を組み合わせて結論にたどり着いたのかを示せるようなアプローチが模索されています。(p.68) |
サポートベクターマシンは複雑そうに聞こえる分析法ですが、理屈自体はそれほど難しいものではありません。データを分類するための境界線を見つけ、その境界線に沿ってデータの分類を行うものです。この境界線を見つける際に、互いのデータが近づく点をサポートベクトルと呼び、この部分から互いに最も離れた部分に境界線を引きます。境界線を引いてしまえば、それを基準にして新しく登場したデータを分類すればよいので、後は機械的に分類することができます。(pp.100-101) |
ブロックチェーンの情報は後から変更できない特性を持つの信頼はできますが柔軟性に欠けるという欠点があります。そのため、今までのデータべースが不要になるということではありません。ブロックチェーン2.0以降で最も重要なことは「コンピュータ上のデジタルデータが信頼できない」という時代が終わるということです。今までは簡単に消えたり、改ざんされたりする恐れがあったデータも、ブロックチェーンに入れば消えも変わりもしません。デジタルデータが「確かに存在する」という時代が始まろうとしているのです。(p.128) |
データマイニングのところなどは、実際にやっていた私からすると、表面的なところも否めないですが、全体を通してうまく書かれているように思いました。