編:日経トップリーダー
協力:帝国データバンク、東京商工リサーチ
失敗から学べることは多くあります。それをどこまで自分ごととしてリアリティを感じながら置き換えられるか、それがひとつのポイントとなるでしょう。この書からどこまで学べるかはそこにかかっています。(Inobe.Shion) |
内容紹介
破綻の真相には小説を超えるドラマがある! 発売1ヶ月で、3万部突破のベストセラー! ◆週刊文春書評 ※週刊文春2018年8月2日号掲載「新刊推薦文」より ●元社員、取引先、そして経営者本人の苦渋の証言 経営者向けの月刊誌「日経トップリーダー」が帝国データバンク、および東京商工リサーチの協力を得て、近年、経営破綻した23社を徹底取材。 大手に真っ向勝負を挑んだ「切り餅」屋 現場社員や取引先そして経営者本人の苦渋の証言、及び、決算や登記簿などの資料から、破綻に至った経営を多角的に読み解いた。 「会社を潰した社長の独白」を別途掲載。 【主な内容】 【COLUMN】倒産の定義と現況 第2章 ビジネスモデルが陳腐化したときの分かれ道 【MESSAGE】会社を潰した社長の独白(1) 第3章 リスク管理の甘さはいつでも命取りになる 【MESSAGE】会社を潰した社長の独白(2) |
まさに実録であり、多くのことを学べる書。ページ数の関係で、いかんせん結果ベースになってしまいがちですが、そこを何とかなぜそうなったかについても踏みこんで書かれています。
成功事例を知ることはもちろん大切ですが、そのやり方を自社に取り入れても、成功するとは限りません。成功事例は、再現性が低いものです。なぜなら、成功はいろいいろな条件の組合せだからです。社員の力量が不足していれば、同じような成果は出ないかもしれない。その戦略をどこまで徹底できるかという、経営者の熱量によっても結果は違ってきます。(p.3) |
野村克也さんの「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉を思い出しました。
勝ちには「不思議な勝ち」があり、負けには「不思議な負け」はない。必ず負けた理由がある。勝った時は謙虚な気持ちを忘れてはいけないし、負けた時にはつねに、「なぜ」と敗因を問い、
反省し、対策を練るべきなのだ。と。
成功はいくつかの要因の組合せですが、失敗は究極的には1つの判断ミスによるもの。例えるなら、成功とはブロックを地道に高く積み上げることであり、失敗とはブロックの山のどこか一か所に異常な力が加わることで一気に崩れるイメージです。成功の要因と違って、失敗は原因を特定できる分、ダイレクトに役立つのです。(p,4) |
この書では、23社のケースを3章に分けています。
1.急成長には落とし穴がある
2.ビジネスモデルが陳腐化したときの分かれ道
3.リスク管理の甘さはいつでも命取りになる
伸ばし方、維持の仕方、下がるときの対応ということで、結局どんなときでも、判断を迫られその判断の誤りが命取りになるということに尽きます。
成功には定石はありませんが、失敗には定石があります。 「成功はアートだが、失敗はサイエンス」と表現してもいいかもしれません。(p.7) |
これは上にもありましたが、失敗は原因を特定でき再現性がある、つまり逆に言うと防ぐことができるということなので、そこからいかに学ぶか、いかにそれに対する準備、予防線を張るかということが重要になってくるということです。
23社個別の事例がありますが、上記の3章のそれぞれで、似ているところもあるがゆえに、そのパターンに共通する本質めいたものが見えてきます。それぞれがそれぞれの観点でそれを感じ取ることができると思います。