著者:譚鵬 …
研究開発は企業にとっての未来投資。決してコストではないはずです。しかし見誤っている企業もあるのではないでしょうか。(Inobe.Shion) |
内容紹介
研究開発費会計を対象として、制度・理論および実証研究を行うことにより、諸論点を綱羅的に考察し、体系的な研究開発費会計を構築することを目的とする研究書。 内容(「BOOK」データベースより) 企業価値創造の源泉である研究開発費の会計はいかにあるべきか?制度・理論・実証の視点から網羅的・体系的に提示。 |
著者の問題意識は非常に明確で的を射たものだと思いました。
研究開発が今日の経済において企業の重要な価値創造要因となっているにも関わらず、財務会計及び報告はまだその情報を適切に財務諸表に組み入れて報告することはできていない。そのため、現在、投資家は公表財務情報から研究開発に関する情報をほとんど入手できないのが現状である。ゆえに、企業内部の経営者と外部の投資家との間に高い情報の非対称性が生じている。また、現行の会計基準に基づき、研究開発費を費用として処理することで、企業会計が正しく評価されず、不適切な株価を形成する可能性がある。さらに、会計情報の意思決定有用性の低下を招くことになってしまう。財務会計および報告には固有の制限があり、すべての情報を開示することは想定されていないことを認識する必要があるが、このような情報の格差をよりよく理解し、それを減少させることは重要である。(pp.I~Ⅱ) |
日本における研究開発費会計に関する実証研究の蓄積は十分とはいえなかった(p.213)と書かれています。
今後、オープン・イノベーションなども絡んでくると研究とその成果物の権利や所属についての問題なども起こってきそうな気がします。どうなっていくのか注目したいところです。