いちばんやさしいデータフィードマーケティングの教本

いちばんやさしいデータフィードマーケティングの教本 人気講師が教える広告効果を高める商品データ活用法 (「いちばんやさしい教本」)

いちばんやさしいデータフィードマーケティングの教本
人気講師が教える広告効果を高める商品データ活用法 (「いちばんやさしい教本」)
著者:杉原剛,岡田吉弘,塚田耕司,川田智明

内容(「BOOK」データベースより)
概念の理解だけでなく、「実践」にまで導く絶対に挫折しない図解ビジネス書。リスティングの運用負担を軽減しつつ、新しいマーケティング施策に挑むノウハウ。企業内の「商品データベース」が、「マーケティングデータベース」に変わる!内容紹介
いま、Webマーケターが一番注目している「データフィード」
生活者の「スマホシフト」が進んだ結果、生活者は様々なタイミングに色々な媒体で情報に接触するようになりました。

たとえば、Webサイトを見る、SNSをチェックする、スマホアプリを使う……。
従来のネット広告だけでこれらを全てカバーするのは非常に困難です。
こうした「接触機会の断片化」が進むなかで、情報提供の網を効率的に広げるために注目を集めているのが「データフィード」です。

データフィードを使えば、例えば、社内のデータベースとリアルタイムで連動した情報を生活者に提供することが容易になります。ECの場合、在庫情報やセール期間などをいちいち広告サービスの管理画面で手作業で更新する必要もなくなります。すべてはデータベースの情報と連動するので、「在庫のない商品の広告を出稿していた」といったミスも防げます。

★読書前のaffirmation!
[きっかけ・経緯] 現代マーケティングはデジタル抜きには語れません!
[目的・質問] デジタル・マーケティングを再整理!
[分類] 674:広告. 宣伝

インターネットにビジネスがどんどん集まり、モノやサービスの売買ができるようになりました。モノやサービスを販売するサイトも、それらについて発信される情報も加速度的に増え、膨大になっています。かつ、携帯電話が出現してからは時間や場所を選ぶ必要がなく、情報にアクセスできるようになりました。生活者は自分の条件に合うものを探そうと、いつでもどこでも比較検討ができるようになりました。(p.15)

環境が大きく変わり、情報へのアクセス制約の障害はどんどん排除されていきました。しかし・・・・

1つだけ変わらないものがあります。それは時間です。時の概念は変わっていないので、時間は誰にとっても限られています。そのため、生活者が求めている情報と出会えないことも多々あります。生活者が限られた時間を使って選ぼうとするときにタイムリーに情報が提供されることは当然重要です。また、膨大な情報量のなかでは選びきれないので、生活者それぞれに合ったモノや情報が適切におすすめされるということも必要になってきます。(p.15)

この「時間」という制約、これをどう扱うかどう対応していくかということをどう意識していくか・・・・実は非常に難易度は上がってきていてように思います。

デバイスやメディアの数だけ、情報の入手方法や入手先があるということになります。逆の見方をすると、生活者の数だけ、情報を探し出す手段があるということにもなります。こういった現象を「フラグメンテーション(Fragmentation)」という言葉で表現するようになりました。フラグメンテーションは直訳すると「断片化」「分散化」「細分化」という意味です。簡単に言うと、「物事がどんどん細かくなること」です。(p.16)

さらにフラグメンテーションを詳しく解説・・・・

フラグメンテーションにはいくつかの意味が含まれていると考えられます。1つめは、情報源としてのウェブサイトが何百万という数にまで増え、それぞれが成長しつつも全体からすれば1つひとつが細かい存在になっているという「細分化」。2つめは、内容的に幅広い総合サイトよりも、テーマを絞った専門サイトが多く出現してきたことによる「断片化」。最後は、生活者がさまざまなメディアを利用している(いろんな場所に散らばっている)という「分散化」です。そして、今後も新しいメディアやプラットフォームがどんどん出てくることは容易に想像できます。さまざまなメディアが増え、生活者が分散化することを「メディア・フラグメンテーション」と呼んでいます。(p.17)

非常に重要なので、再整理すると・・・・

  1. ウェブサイトなどの情報量が膨大に増えたことによる「細分化」
  2. テーマを絞った専門サイトが増えたことによる「断片化」
  3. 生活者がさまざまなメディアを使い分けることによる「分散化」

あら・・・これって何かに似てませんか。そうです、ビッグデータの4つのVです。一般にはVolume, Variety, Velocity,そしてValueと言われています。Veracity[正確性]も含めて、5つのVと言っていたりもします。

因果関係になるのでしょうが、上記のフラグメンテーションの細分化、断片化によって、Volume(量)とVariety(多様化)したのでしょうし、分散化されることにより、先の2つに加えてVelocity(速度・頻度)は、入力デバイスが携帯されることによって、データ入力のスピードの高速化と頻度の増加がなされていきました。その結果が、ビッグデータなのだと思います。

個人が情報に接触するためのデバイスは多様化しました。デジタル端末は、長くパソコンが中心だった時代からモバイル化し、生活者に一気に広がりました。テレビやカーナビなどの旧来型端末もネット接続することでスマート化し、映像だけではなく情報やデータを入手できます。モバイルデバイスで確立した「いつでも、どこでも」は、腕時計やメガネなどのウェアラブルデバイスでさらなる進化を遂げようとしています。・・・このように生活者が情報に接触するための端末が膨大に増え、さらに増え続けている状況を「デバイス・フラグメンテーション」と呼びます。(p.18)
◎生活者にとってモバイルはともに生活するもの(p.19)

  • 87%のスマホユーザーが自分のスマホを日中夜いつも手元に置いている
  • スマホユーザーは1日に150回スマホをチェックする
  • スマホユーザーは1日に177分の時間を費やす
  • 82%のスマホユーザーは店舗での購入前にスマホで情報を確認する
  • 91%のスマホユーザーは何らかの作業の途中にスマホにアイデアを求めようとする
  • モバイルによるウェブセッションが過去1年で20%増加
  • 一方で、モバイルセッションごとの滞在時間は18%減少
  • しかしながらモバイルのコンバージョン率は29%増加

出典:googleの調査結果をもとに著者作成

総務省によるこのような調査もありました。「平成27年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

googleは「~したい」という意図が生じたとき、すぐに手元にあるデバイスを使って調べる・購入するといった行動を起こす細分化された瞬間を「Micro-Moment(マイクロ・モーメント)」という概念として提唱しています。googleはマイクロ・モーメントのなかでも、特に重要だと考える「~したい」という瞬間は4つあるとしています。マーケティングに関わる人が生活者とその行動を理解し、顧客として獲得していく上でマイクロ・モーメントは極めて重要な概念だと言えます。(p.19)
◎マイクロ・モーメントで特に重要な4つの瞬間(p.19)

  1. I want to know. (知りたい)
  2. I want to go. (行きたい)
  3. I want to do. (したい)
  4. I want to buy. (買いたい)

「~したい」もその一瞬で捉えないと、次の「~したい」が出てくると、もう過去のもので本当に二度とそのチャンスはないかもしれません。実際に自分が一生活者として考えてみても、そのあたりはある種二極化していますね。

これだけ大きな変化が起きているわけですから、企業のデジタルマーケティングも変化を余儀なくされています。以前から、理想の広告とは、「最適な相手に対して(Right Person)」、「最適な場所で(Right Place)」、「最適なタイミングで(Right Time)」コミュニケーションすることで効果が出るとされてきました。しかしながら、生活者の環境の変化により、従来の方法では限界を迎えていることが分かります。なぜ限界があるのか、そしてどういった点を考慮する必要があるのかを考えていきましょう。(p.20)
生活者が何かを「欲しい」と思った瞬間は、もはや店舗やウェブという形で分けて考えてはいけません。いまや店舗でスマートフォンで情報を検索して購入の意思決定に役立てるほどなので、商品やサービスのすべての情報をウェブ上であたりまえに見つけられるものとして考えています。情報を見つけられなかったときは、二度と再訪問してくれないかもしれません。そんなリスクもなるほどです。(p.21)
生活者に選んでもらうためには、ライバル社との差別化ポイントを見つけながら、生活者が意思決定しやすい情報を提示し続けることが必要になります。(p.21)

この「続けいていく」というのは、つい後回しになりがちで、そのためにもしっかりと効果を出して、リソースを保っていかないと破綻してしまいます。

商品情報を網羅していても、最新に保てれていなければ意味がありません。価格やスペックが変われば更新し、在庫がなければ広告は表示しないということも必要です。つまり、マーケッターにとってのチャレンジは「生活者が意思決定を行っているマイクロ・モーメントにおいて、どれだけ自らの商品やサービスをタイムリーに、魅力のある形で提示できるか」であると考えられます。これを満たすには、従来型のマーケティングでは限界があることがわかります。・・・広告は以前から「最適な情報を」「最適な人に」「最適なタイミングで」届けることを良いとされてきました。マイクロ・モーメント時代にはさらに高い精度でそれを行う必要が出てきたということでしょう。そしてそれを実現するためには、データフィードによる効率化を取り入れる必要がでてきたのです。(p.22)
生活者の行動が大きく変化したマイクロ・モーメント時代に呼応するように現れたのが「データフィード広告」と言っていいでしょう。しかしながら、実は最近になって現れた新しい概念ではなく、検索連動型広告の黎明期である2000年初頭から欧米のマーケティング先進企業はデータフィード広告に取り組んでいました。(p.24)
Criteoの革新性(p.25)

  1. 一度見た商品が広告にダイナミックに挿入されるという画期的なリマーケティング広告で市場を席巻
  2. データフィードで広告主企業の商品データを入手するというこれまでにないアプローチ
  3. 膨大な購入者データと商品データを分析し、購入につながる商品を的確にレコメンドするエンジン
商品データは点在する生活者に効率よくコミュニケーションするための網を張り、高い広告効果につなげるために活用するようになっています。一方で、企業は顧客データの活用によって、既存顧客や見込み客が誰で、どういう属性があって、どのような行動をとっているかを理解できています。そのデータで「~の趣味嗜好があると思われる人」「~の行動をとっている人」などおに向けた精緻な広告のターゲティングを行うことが可能になっています。顧客データはDMP(データマネジメントプラットフォーム)のなかの重要データとして積極的に活用されています。(p.27)

このあたりでは従来のアナログ・マーケティングの概念も生かしながら、うまく昇華したデジタル・マーケティングの構築であり、MA(マーケティング・オートメーション)と呼ばれる領域ともかぶってくるところですね。

商品データ、顧客データの双方に共通しているのは、これまでどちらかというと内部に閉じていたデータである点です。そしてこれを外部利用し始めている点です。・・・企業の情報資産を生かして積極的にデータドリブンなマーケティングを行うことで、生活者に効果的にリーチする、そういう時代なのです。(p.27)
データフィード広告は生活者にリーチするための網を張り、データの更新も自動的に実施してくれる大変便利な施策です。・・・ですが、データフィードによる自動化でできた時間を使って、マーケティング的な観点から商品データはどうあるべきかを総合的に捉えた上流戦略を考えましょう。そして、必要に応じてデータを足したり、商品マスターデータに改修を加えたりするといった取り組みをしていきましょう。・・・作業にかかっていた時間を削除できた分、戦略を精査し、必要なデータ環境の整備を行うなど知恵を絞って行動することで、より効果を高めることができるのです。(p.28)
数年のうちに大きく成長したデータフィード広告ですが、時代背景に加え、そん効率性と効果から、今後も拡大を続けると思われます。・・・・データフィードは企業のデータ資産を積極的に外部活用していく「攻めの一手」です。(p.29)

 

データを使ってどのような情報を生活者に届けたいかはマーケッターが考える必要があります。そのためには、常に自分が生活者の視線に立ち、本当に欲しい情報を見極めることが大事です。(p.33)

マーケッターも、マクロではなくよりマイクロな視点での対応が必要になってくると思います。

以下、そもそもフィードするデータの在り方、実際の広告プラットフォームの特性や使い方など実務的な内容が掲載されています。

時間が無くて、そちらのほうフォローはできておりませんが、直接いろいろ広告出稿実務をされている方、またこの分野に興味のある方は是非お読みいただくことで、知っていることも多いでしょうけど、再発見や気づきはあるのではと思います。

 

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