夕学講座「実戦経験を通じて培った実践知としての“リーダーシップの哲学”」 / 一條和生先生


タイトル:実戦経験を通じて培った実践知としての「リーダーシップの哲学」
-リーダーシップ・ジャーニーを歩むために-
講師:一條和生(一橋大学大学院国際企業戦略研究科 研究科長 教授)

日時:2016/7/13(水) 18:30~20:30
場所:慶應大阪シティキャンパス(サテライトLIVE放送)

●デジタルなくして未来なし

ファーストリテイリングの柳井社長も、シスコシステムズのジョン・チェンバースもデジタルに対して、尋常でない危機感を感じている。

●デジタル経営破壊

「情報時代(Information Age)」から「デジタル時代(Digital Age)」への移行という大転換期。

  • デジタル時代とは、IT(情報技術)を活用することで、従来にはあり得なかったような方法、ビジネスモデルで事業を展開し、顧客に新しい価値を提供する時代
  • デジタル時代の到来ん委より、従来とまったく異なるコストで場合によってはコストゼロで、ここの顧客に高い感動の価値を提供することが可能となる。
・Cost Calue
・Experience Value
・Platform Value

●Digital Vortex : IMD Survey
IMD:世界トップクラスのランキングを誇るビジネススクール。 インパクトの高い幹部教育を通じたグローバルリーダー育成の、世界的な専門チーム。

この本意、Digitalがもたらす未来についての考察が書かれている。必読とのこと。

●AI = Cognitive Computing の時代

  • 第3次AIブーム
    ・コンピュータ性能の画期的な進化(スピードと容量)
    ・活用できるデジタルデータの量と種類の爆発的増大
    ・過去の人工知能から研究開発が続いている要素技術である機械学習、遺伝的アルゴリズムなどの発展
  • 人工知能が人間を上回るパフォーマンスを上げる
    ・Jeopardy で Watson が二人のチャンピオンに勝利
    ・碁(AlphaGo)、AI将棋で人間が負ける

●AIと人間のコラボレーション

  • Cognitive Computing 活用のプロセス
  • CVA(Cognitive Value Assessment)というフェーズを最初に実施
    ・このフェーズでは、企業の経営方針、経営内容、業務から、Watsonによる
    Cognitive Computingが最も効果的な適応シナリオやビジネスモデルを
    検討し、投資対効果も試算
    ・企業としてのビジョン(組織的思い)なしにはAIを活用できない

カルビーでは、中期経営計画の策定を止めて、「思い」を活かす経営システムを作り上げて、高収益を続けている。

●デジタル経営破壊のキーワードはBelief

  • インダストリアル・インターネットに向けて社員を動かくためにValueを捨てて、Beliefを選んだGE
  • デジタル経営破壊を業界を支配しているBeliefを疑えと説くマッキンゼー

 

●フロネーシス(賢慮)あるリーダーの育成  -アリストテレス- 

  • 普遍を個別に繋げる力
  • 「自己の善や利益に関して、部分的にではなく全体として「よく生きる」ことに向けて、立派な仕方で熟慮できること」(個人の利益ではない)
  • 全体の目標が何であるいかを見定め、周囲の人材を活用し、技術や知識を善用する、全人格的な知的技量
  • フロネーシスをストーリーテリング(リーダーシップストーリー)で磨き上げる

智と徳


Intellect
物の理を究めて
之に応ずるの義
(工夫の小智)
人事に軽重大小を分別し
軽小を後にして重大を先にし、
其時節と場所とを察するの働
(聡明の大智)

Moral
貞実、潔白 公平、勇強
「文明の進歩は世人一般の知徳の発生に関するものなり」

 

●聡明の大智

  • 「而してこの四者の内にて最も重要なるものは、第四条の大智なり」
    ・大智とは、事柄の軽重大小を分別し、何を優先すべきかを時と場所とを
    察しつつ反動する働きを指す。
    ・何が大事か、何を何に優先すべきかの判断力=フロネーシス
  • AIで得られるのは「工夫の小智」のハイスピードでの獲得か

●イノベーションは思いから

  • 人間の社会は非合理性に本質がある
    ・「ピュリダンの驢馬」:一元的な合理性追求の愚かさ
    ・「狂人とは理性以外のすべてを失った人である」
    (チェスタトン『正統とは何か』) -理性100%とは狂気
  • 何をしたいかは、70-80%の合理性+情念で決まる
    ・人間の判断には新円といった非合理的な要素が入っている
    :合意理性をどこで見きって意思決定している―囚人のジレンマ
    ・「全体美」につながる情念、聡明の大智
  • やわらかな合理主義
    ・「真の(有用な)合理性とは、一元的な経済性に尽きるだけの単線的
    合理性だけではなく、信念や経験・習慣などの非合理的な要素を含んだ
    柔軟なものではなくてはなるまい」(上智大学、荻野弘之)

ビュリダンのロバ(英: Buridan’s ass)とは、主に、心理学の分野で用いられている[要出典]例え話。おなかを空かせたロバが、左右2方向に道が分かれた辻に立っており、双方の道の先には、完全に同じ距離、同じ量の干草が置かれていた場合に、ロバはどちらの道も進まずに餓死してしまう、という意思決定論を論ずる場合に引き合いに出される。一説では、スコラ学派であるフランスの哲学者ジャン・ビュリダンが主張する理性・理論に対して、理性・理論を強調し過ぎると餓死してしまうから自由意志が必要であることを主張するための例え話とされるが、出典が定かではない。

●デジタル経営破壊に関する仮説

  • デジタル化は形式知化を促進するからこそ、暗黙知が競争優位の鍵を握ることになる
  • 「場」で思いを高め、それを他者との共通の思いに転換させる
  • 社員の思いを高め、知識創造を実現するMBB経営への移行を

●非認知スキルの習得

2000年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のJames Heckman教授らの研究によれば、非認知スキル(non-cognitive skill)は手本となる師の個別指導や人格に感化されながら学び取るもので、「良い習慣」の方法によって育て伸ばすことができる。

  • やりぬく力(Grit)
  • 自制心(Self-control)
  • 意欲(Zest)
  • 社会的知性(Social Intelligence)
  • 感謝の気持ち(Gratitude)
  • 楽観主義(Optimism)
  • 好奇心(Curiosity)

●Your Authentic Leadership (あなた自身の本物のリーダーシップ)

  • あなた自身のリーダーシップ・スタイルを見つけなさい
    ・誰か他人のリーダーシップ・スタイルを模倣しないこと
  • リーダーシップ育成とは、自分自身を発見し、伸ばすこと
    ・あなたのリーダーシップはあなた自身のライフストーリーから生まれる
    ・あなたのライフストーリーがあなたの本物のリーダーシップの基盤

●リーダーシップ・ストーリー

  • 過去の出来事で他者に話したいことを見つけ、それをストーリーテリングする
  • そうすることにより、自分自身の信念、自分が大切にしていること、自分の哲学「正しい生き方)が見えてくる
  • 自分自身のストーリーが他人の共感を得た時、そこに個別から普遍への道が開ける

●語ることで共感を得る

自分のリーダーシップをストーリーにして語るとき、それは一方的な話には終わらない。そもそもインターアクションによって成り立つのがナレーティブである。聞いている者は経験談に自他を重ね合わせることにより、共感性が生まれる。また話をしている者も聞き手のリアクションによって、聞き手との共感の思いを強くする。共感が起こったとき、ストーリーは主管でも、共感でもなくなる。こうしてリーダーシップ・ストーリーは「人と人の共同生活をつくり、世代と世代をつないでいく」のである。

●Leadership Story

リーダーが「丸裸」にされる時代には、共感、内省、メッセージの発信がかつてないほど重要になる。リーダーが自分なりに過去と未来を結びつけるストーリーをフォロワーに伝え、それが共鳴を起こすことで、ありのままの自分をフォロワーに示す。(リンダ・グラットン「未来企業」)

一條先生のセミナー非常に面白かったです。また機会があれば、お話お聞きしたいです。ありがとうございました。

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