著者:蔭山克秀
ビジネスマン 必須の教養が 一気につかめる! 忙しい人でもラクラク読破
『国富論』(アダム・スミス)、『資本論』(マルクス)、『隷従への道』(ハイエク)、『雇用・利子および貨幣の一般理論』(ケインズ)などの古典名著から、『クルーグマン教授の経済入門』(クルーグマン)、『21世紀の資本』(ピケティ)といった現代のベストセラーまで、ビジネスエリート必須の教養を、まるごとつかめる! 【本書で紹介する「名著」の例】 |
amazonのレヴューにもあるんですが、賛否両論って感じでしょうか・・・・。
まとめ本なので、どうしても内容は浅く広くにならざるを得ないですよね。で、基礎知識がある人からすると「薄い!」ってなるし、そうでない人からすると「網羅的にわかった!」っていう典型的なパターンで各種コメントがされています。
経済学史の系統図的なものもあるともっと良かったと思います。意外と頭にすっと落ちてくる系統図のような乗ってないんですよね。
ここの会員サイトのところにある図はなかなかいいんですけどね。(会員登録し見てもらえたらと思います。)
復習的にキーワードをピックアップしておこうかなと。
●アダム・スミス『国富論』(1776)
「分業」「労働価値説」「貿易の自由」
●トマス・ロバート・マルサス『人口論』(1798)
将来の予測により確実に起こる悲劇に目を背けず、具体策を講じるのがあるべき政策である
●デイヴィッド・リカード『経済学および課税の原理』(1817)
①生産力=変動しない→商品価値
②購買力=変動する→労働価値
スミスは商品価値と労働価値を混同していると批判
●フランソワ・ケネー『経済表』(1758)
農業こそが唯一、富を生み出す源
農業だけが剰余生産物を生む
●ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』(1936)
古典派理論は「ある特殊な状況下でしか成立しない」。つまり古典派理論には「一般性がない」
失業者を晴らすには、「有効需要を増やすこと」
有効需要とは「実際の購買力に支えられた需要」のこと
不況のときに必要なのは”節約”ではなく市場にお金を”ばらまく”こと!
●フリードリッヒ・リスト『経済学の国民的体系」(1841)
国民経済の発展を「未開→牧畜→農業→農工→農工商」の5段階に区分。
●マリ・エスプリ・レオン・ワルラス『純粋経済学要論』(1874)
古典派が「生産と分配」を重視したのに対し、新古典派は「交換」を重視した
「限界効用」とはその財の消費の最後の追加分から得られる満足度のこと。この限界効用は、消費が進めば進むほど減っていく(=限界効用逓減の法則)
価格で大事なのは財の「希少性」であり、その希少性と満足度の兼ね合いで、商品価格は上下する。この古典派の労働価値説とは全然違った新たな価値説の登場は「限界革命」と呼ばれた
●ポール・アンソニー・サミュエルソン『経済学』(1948)
不況時にはケインズ式の財政・金融政策で完全雇用を目指す。そしそれが達成されれば、その後は自由放任に戻す
新古典派的な立場からマクロとミクロを統合する試み
●ジョン・ロック『統治二論』(1690)
労働の成果は、それを行った人間のものとなり、「所有物」が生まれる。そして貨幣は、その労働の成果の価値を保存する
●ハーバート・アレクサンダー・サイモン『経営行動』(1945)
人間の合理性には限界があることを説明し、実際の企業がどのように組織決定をするか研究
人間の合理性には限界があるという「限定合理性」を提唱
●ジェームズ・マギル・ブキャナン・ジュニア『財政理論』(1967)
どんなに正しい経済理論だとしても、必ず政治状況によって左右される。政治と経済は密接に絡み合い、影響しあう。
●リチャード・H・セイラー『セイラー教授の行動経済学入門』(1992)
経済学に心理学的アプローチをとり、非合理な選択ばかりしてしまう人間の経済行動をモデル化する
以上が基本がわかる名著とした第1章で、2章以降は個別テーマで展開です。
第2章
ハイエク:
「計画経済」は、人が自由を手に入れるための経済力を奪うので絶対NG!
シュンペーター:
イノベーションとは
①新製品の開発
②新生産方法の導入
③新しい市場の開拓
④新たな資源の供給源の獲得
⑤組織の改革
フリードマン:
競争資本主義の貫徹こそ公正で自由な社会を導くためのカギ
クルーグマン:
3つの提案
①構造改革
②財政拡大
③従来型でない金融政策
大事なのは「生産性・所得分配・失業」の3つだけ。でも世界恐慌でもないと国は本気にならない
スティグリッツ:
情報の非対称性のせいで市場経済が健全に機能せず、今日の世界では格差が拡大している。だから、市場を万能視せず政府の適切な規制や介入を受け入れ、格差を解消するための努力をすべきだと強調する。
【その他の読んでおきたい書籍とそのポイント】
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
(マックス・ウェーバー)
資本主義が生まれたのはキリスト教プロテスタント派の道徳のおかげ
『資本論』
カール・ハインリヒ・マルクス
革命を煽るのではなく、乗り越えるべき資本主義の徹底分析を行っている
『狂気とバブル』
チャールズ・マッケイ
群集心理はバブル景気を呼び、時に一国そして世界経済を崩壊させかねない
『アニマルスピリット』
ジョージ・アーサー・アカロフ/ロバート・ジェイムズ・シラー
人間は不合理な行動をしがちであり、経済も純粋な理論だけでは説明が不可能
『21世紀の資本』
トマ・ピケティ
経済成長率が低いと貧富の格差は拡大する。解決策は国際的な課税制度の創設
『ゆたかな社会』
ジョン・ケネス・ガルブレイス
19世紀以来の古典派経済学を脱し、「ゆたかな社会」を説明する経済学へシフトした画期的著作
『消費社会の神話と構造』
ジャン・ボードリヤール
「消費社会」の構造によって人間は「豊かさ」や「幸福」から切り離されている
『ムハマド・ユヌス自伝』
ムハマド・ユヌス
貧困層にわずかな金額でも金が流れることで状況は劇的に改善され得る
『貧困の克服』
アマルティア・セン
人間の生存・生活・尊厳が守られて初めて、社会は豊かになっていく
『大脱出』
アンガス・スチュワート・ディートン
先進国であれ途上国であれ、経済発展は絶えず新たな格差を生み続けている
『実践 行動経済学』
リチャード・H・セイラー
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【その他の紹介されている書籍】
『経済学原理』
アルフレッド・マーシャル
『コンドラチェフ経済動学の世界』
岡田光正
『大転換』
カール・ボランニー
『有閑階級の理論』
ソースティン・ブンデ・ヴェブレン
『帝国主義論』
ウラジミール・イリイチ・レーニン
『経済学の本質と意義』
ライオネル・チャールズ・ロビンズ
『動態経済学序説』
ロイ・フォーブス・ハロッド
『近代世界システム』
イマニュエル・ウォーラーステイン
また後学のために別途Bardを使って整理してみました。
古典派(18世紀~19世紀):市場の自己調整能力を重視し、政府による経済介入を否定する。
ケインズ派(20世紀):市場の失敗を認め、政府による経済介入を肯定する。
新古典派(20世紀後半):市場の自己調整能力を重視するが、政府による適度な介入は認める。
マネタリズム(20世紀後半):政府による貨幣供給量のコントロールが経済を安定させると主張する。
古典派
市場は自己調整能力を備えているため、政府による経済介入は不要である。 |
ケインズ派
市場は失業や不況などの失敗を起こす可能性がある。 |
新古典派
市場は自己調整能力を備えているが、政府による適度な介入は認める。 |
マネタリズム
政府による貨幣供給量のコントロールが経済を安定させる。 |
ワルラスとマーシャルは、どちらも古典派とケインズ派の間の橋渡し的な存在として位置づけられる経済学者です。ワルラスは、一般均衡理論を確立した人物であり、市場の自己調整能力を重視する考え方を提唱しました。マーシャルは、ケインズ経済学の先駆者として知られており、政府による経済介入の必要性を説きました。
シカゴ学派の形成に影響を与えた人物として、その考え方は重要視されています。
具体的には、ワルラスの一般均衡理論は、マネタリズムの理論的基礎を形成する上で重要な役割を果たしました。マーシャルの経済学は、シカゴ学派の経済学理論が実証主義に基づいていることに大きな影響を与えました。
したがって、ワルラスとマーシャルは、シカゴ学派の思想的源流と言えるでしょう。