著者:久野和禎 …
「エフィカシー」とは、「自分を信じる力」。この力を上手く使うにはどうすればいいでしょうか。(Inobe.Shion) |
内容紹介
【フィードフォワード】で人生が変わった! 海外支社長も務め、出世コースに乗っていたが、 「死にたい」「泡になりたい」が口癖だったが、 着任したチームメンバーの残業時間が60~80時間を超えていたが、 ハードワークのため、妻がワンオペ育児になりがちで フィードバック、PDCAは機能しない! コミュニケーションやマネジメント、 「フィードバック」「PDCA」など、 取り組んでみた人もいると思います。 やってみて、結果は出ましたか? 実際、「フィードバック」は、 する方もされる方も身構え、 「PDCA」は、チェック機能が多く、 どちらも結局、「動けない」のです。 成功者はやっている! これまで言語化されていませんでしたが、 「これからどうしたいですか?」という問いかけによって、 たったこれだけのシンプルな質問で、 ・チームの雰囲気が明るくなる という成果を出すことができました。 しかもこれらは最低限の成果、といった感じです。 現在は、エグゼクティブ専門のコーチとして、 未来を意識し、未来に働きかけるだけで、 本書で紹介する【フィードフォワード】という技法は、 【フィードフォワード】によって、 本書があなたのすばらしい未来のために、 出版社からのコメント 本書をご購入くださった方全員に、 【1】バランスホイール・シート 【2】著者が解説!「フィードフォワードとフィードバックの違い」 【3】著者が解説!「PDCAよりFFA」 【4】著者が解説!「フィードフォワードとフィードバックの違い」 |
フィードフォワードの秘密は「未来から考える」ことにあります。一般的に行われている話し合いが「過去や現状から考え始める」のとは大きく異なります。多くの企業で取り入れられている「フィードバック」は「過去や現状から考え始める」の典型だと思います。(p.4) |
「フィードバック」についてですが、これまで気にしたことはありませんでしたが、実はネガティブな行為といっても過言ではないかもしれません。
「フィードバック」はとても難しい技術です。聞き手に「過去に目を向けるように促す」ので、どうしても相手の感情を逆なですることになります。過去に目を向けると、脳内では過去の体験と、それに伴う情動の記憶が再現されることになり、過去の出来事のリアリティを高めてしまいます。結果として未来に向かう力が損なわれます。(p.7) |
そして、バックに対してフォーワードなわけで、「フィードフォワード」の登場です。
「フィードフォワード」について、私が考案した定義は次の通りです。「過去や現状にとらわれてしまいがちな人に対して、コミュニケーションや観察を通して相手の状況を把握し、相手に起きている出来事やそれにともなって体験している感情を受け止めたうえで、その人が自分の未来に意識を向けて行動することができるように促す技術のこと」(p.8) |
フィードバックは「する人」にも「される人」にも強い心理的な負担がかかります。また気がつきにくいことですが、実はフィードバックの受け手は、フィードバックをされたときに複数のことを考えなければなりません。(p.47) |
なかには「自分が若い頃は厳しいフィードバックを受けて育ったものだから、自分も厳しいフィードバックをするのは当然だ」と考える人もいるようです。これこそ過去にとらわれた過去志向そのものです。気持ちは少しはわかりますが、過去は過去として、これからどのように周囲の人と関わっていけば組織や個人としてうまくいくか、という視点で考える必要があるはずです。(p.48) |
●フィードフォワードとフィードバック
フィードフォワード思考 | フィードバック思考 | |
目的 | 未来の改善 | 未来の改善 |
起点 | 未来 | 過去 |
成果 | 未来の記憶づくり | 失敗の追体験 過去の記憶の臨場感 |
脳内の状態 | 前頭前野の活動が活発化 | 大脳辺縁系の活動が活発化(前頭前野の活動が抑制される) |
脳内物質 | 前頭前野へのドーパミン放出 | ドーパミン抑制 ノルアドレナリン増加 |
得られるもの | クリエイティブな発想 高いパフォーマンス |
思考の抑制 低いパフォーマンス |
当事者心理 | 楽しい/嬉しい | 苦しい/つまらない |
現状を超えた大きなゴールを設定し、そのゴールの世界の臨場感が十分に上がると、コンフォートz-ンが2つあるようになります。それは、
しかし、これはあくまでも仮の話で、実際には、コンフォートゾーンを同時に2つ持つことはできません。人間の脳は、コンフォートゾーンを同時に1つだけしか維持できないからです。フィードフォワードによってゴールの世界のコンフォートゾーンにある程度臨場感を感じても、それだけだと、より臨場感を感じている現状のコンフォートゾーンに引き戻されます。(pp.204-205) |
日常生活を送っていると、自分が普段「コンフォートゾーンのなか」に安住していることに気が付きません。そこで、現状の自分から考えると「背伸び」と思えることや、普段なら絶対にしないようなことを、あえてやってみます。・・・自分がやってみたいと思うことを選ぶようにしましょう。毎日同じような生活をしていると脳の使い方も固定的になります。ですが、「背伸び」をしてみることで、普段使わない回路が動き出すものです。(p.207) |
個人でも、集団でも、コンフォートゾーンがあります。現状を維持したいという力が働きます。あなた一人が現状の外に出ていこうとすると、「皆で一緒に維持しているコンフォートゾーンが崩れてしまう」と周囲の人たちの無意識が判断し、ドリームキラーとなって抵抗します。コンフォートゾーンは個人だけでなく集団でも作られるため、このようなことが起こります。・・・多くの人にとって最大のドリームキラーは自分のなかにいます。・・・自分を信じる気持ちが揺れたら、ドリームキラーの存在に気づいてください。(pp.210-211) |
ここから、「エフィカシー」についてです。この「エフィカシー」は非常に重要です。
「エフィカシー」は、「自分のゴールの達成能力の自己評価」と定義されています。言い換えると、「自分ならできる」と思える度合いのことです。私はこの「エフィカシー」を「自分を信じる力」とも呼んでいます。(p.221) |
混同しやすい概念に「セルフ・エスティーム」があります。こちらは自分の価値の自己評価です。現在のポジションに対する自己評価など、過去の成果によって確立された自己評価です。セルフ・エスティームは「過去の結果」、エフィカシーは「未来を信じる力」と言えるでしょう。(p.222) |
エフィカシーが高いと、ゴールに向かって行動できます。・・エフィカシーが高い人は、学習に多くの時間を費やし、高い成績を収めることがわかっています。さらに、エフィカシーが高いと、ゴールに向かって行動することができます。最初の1歩を、スムーズに踏み出す勇気が出てきます。その後、失敗や困難に遭遇しても、あきらめずに行動し続けることができます。「自分にはできる」という高い自己評価が結果を作るのです。(pp.222-223) |
エフィカシーを上げるにはどうしたらよいでしょうか。そのためには「意識くん」と「無意識くん」を理解する必要があります。「意識くん」とは意識に上がってくる思考や判断の源で、自ら意識的にコントロール可能な自分自身です。そしてもう1つの、特に大切な「無意識くん」は、無意識下にあるため認識しにくいのですが、意識できない自分自身の思考や判断を行っています。「無意識くん」を、意識的にコントロールするのはほぼ不可能です。フィードフォワードは「無意識くん」に重点的に働きます。意識は現在を生きているため、フィードフォワードをブロックする傾向がありますが、無意識はそうではありません。たとえば、フォワーダーから抽象度の高い話を聞いて、「へぇー、そんなことがあるのか」という程度の感想だったとしても、無意識くんは深い影響を受けています。(pp.223-224) |
フィードフォワードは、エフィカシーを高めるために使える最良の技術の1つです。未来を意識し、未来に働きかけるうちに、エフィカシーは高まっていきます。フォワーダーは、レシーバーの抽象度のレベルを意識します。そのときに有効なのはセルフトークを観察することです。セルフトークとは、自分で自分に語り掛ける言葉ですが、脳内に発した言葉がエフィカシーを高める「できる系のセルフトーク」なのか、エフィカシーを下げる「できない系のセルフトーク」なのか。どちらが多いかによって、エフィカシーは大きな影響を受けます。(p.225) |
そのセルフトークについてです。
セルフトークを改善すればエフィカシーは上がります。難点は、セルフトークは蓄積されているということです。仮に生まれてから30年間「できない系のセルフトーク」を繰り返していれば、その言葉たちは「無意識くん」のなかに溜まっています。セルフトークによって「無意識くん」が作らされているといっても過言ではありません。その「無意識くん」が「湧き出し型のセルフトーク」の源です。日々のセルフトークは改善することができても、これまでの人生で「できない系のセルフトーク」を繰り返していたら、圧倒的に「できない系」が多い状態になっています。(p.226) |
「無意識くん」から「他人のモノサシ」を外して、自分自身の頭で考えられるようになることで、「自分を信じる力」を高めることができます。このように私たちを縛っている主要なものは、「お金」と「過去思考」、そして「他人との比較」です。これらを書き換えることができれば、「自分を信じる力」が一気に高まります。(p.231) |
セルフトークのマネジメントが、エフィカシーを高めるためには有効です。エフィカシーが低い人はネガティブなセルフトークが多いので、ネガティブな言葉を肯定的なものに変えていきましょう。ネガティブな言葉をポジティブな言葉に置き換えていくことを習慣にし、良いセルフトークが大半になっていけば、自然とエフィカシーも高まっていきます。過去の自分が生み出したセルフトークを捨て去り、「ゴールが実現したときに脳が生み出しているであろうセルフトーク」で頭が満たされたときには、どんな夢でも実現できるほど高いエフィカシーを、自分のものとすることができます。(p.239) |
エフィカシーを高めるには、アファメーションが有効です。アファメーションというのは、「刷り込み型セルフトーク」の一種で、自分がなりたい姿を文章で表し、それを読み上げることで無意識に刷り込むためのものです。アファメーションは朝起きてすぐと、寝る前に(できれば声に出して)読むと、ゴール実現のスピードが一気に加速します。(p.241) |
朝と夜のアファーメーション、そしてポジティブなセルフトーク、これらを改めてしっかりとしていくように心がけていきたいと思います。「無意識くん」にしっかりと聞かせていきたいと思います。
ちなみに私の敬愛してやまない浜田麻里さんの最新作のなかにある“No More Heroes”という歌詞の中にもエフィカシーという言葉がでてきます。
一度、お聴きいただけますと幸甚です。麻里さんはいつもこういったタイムリーなワードをところどころにちりばめられていて本当に素敵な歌詞を書かれています。歌唱力は言わずもがなで、ご存知の通りですが今回の新作はさらにパワーアップしたものすごいテクニックと表現力となっています。