某セミナーで、一橋大学の楠木先生の講演を聞きました。非公開セミナーということで、ロケーション等は割愛しますが、笑いもいっぱい含まれた、大変楽しい講演でした。
演題は、「イノベーションの本質とは」というもので、イノベーションについてのお話でした。
備忘録として、ポイントを列挙しておこうと思います。
- イノベーションの本質は「非連続性」
- イノベーションとはパフォーマンスの次元が変わること(ドラッカー)
- イノベーションは「進歩」ではなく「価値次元の転換」
- コモディティー化が進むと、価値次元が価格(コスト)に収斂 → イノベーション(価値次元の転換)が必要
- イノベーションは「技術革新」ではなく「路線転換」
- カテゴリーイノベーションが成功すると、新しいカテゴリーが社会的に定着し、固有名詞が一般名詞に変わる。
(例:ウォークマン, iPod, ゼロックス, ググる・・・など) - (技術)進歩=「出来るか出来ないか」の勝負
イノベーション=「思いつくかつかないか」の勝負 - 可視性の罠:企業は次元の見える技術進歩が大好き
競争の圧力
「敵がそこまでくるならこっちも・・・」
「負けてたまるか!」→ 顧客の圧力
ニーズの表明は次元を必よとする
「もっと○○にして!」↑ ↓ マネジメントの圧力
資源配分の意思決定の組織的正当性← 株主の圧力
見える次元(数字)しか見ようとしない - 「イノベーション」にむけて努力するほどコモディティ化に飲みこまれる、という逆説
「イノベーション」 → 可視性の罠 → 進歩競争の加速
→ 顧客にとっては「もういいよ・・・」 → コモディティ化 → さぁ、どうする?! → 「イノベーション」 - 機会と脅威
●次元の見えないイノベーションの優位
→他社にとっては頑張りがきかない
●次元の見えないイノベーションの難しさ
→自社にっても頑張りがきかない
●従来の(技術)進歩へのバイアスがかかったマネジメントがイノベーションを殺してしまう - イノベーションは「滅多に起きないこと」であり、(技術)進歩と比べてはるかに頻度が小さい
- イノベーションの起点
●思いつくかつかないか
●できるかできないか - 「誘因」よりも「動因」
●誘引(インセンティブ)≒動因(ドライバー)
誘引:外在的な報酬設計
進歩を促すためには有効
動因:内発的な動機
面白い、とにかくやりたい、これがいい・・・・ - 「いまはまだないが10年後のニーズを見越して・・・」は進歩
- 普通の人間の「本性」こそがイノベーション
- イノベーションへの最大の賛辞
「なぜこれがいままでなかったんだろう?」
色々な小ネタが仕込まれて、どんどん引き込まれました。内容はもちろんですが、非常に上手なプレゼンでした。勉強になりました。