京大式DEEP THINKING

京大式DEEP THINKING

著者:川上浩司 … 

「考える」ことの大切さ。再認識できます。「考える」ときのプロセスに注意を向けることの大切さ、「考える」ことは未来への大きな一歩なのだと。(Inobe.Shion)

「けもの道」の画像検索結果

 

内容紹介
☆現役・京大デザイン学教授による、思考本の決定版!
☆もうわかったつもりで終わらない「考え抜く秘訣」とは?
☆考える力を深めるエッセンスは、一本の「〇○」に秘められていた!
☆問題解決能力を高める「一点集中思考」を京大教授が初伝授!

「思考のスタミナ」をつけて、考え抜ける体質になる――
これが本書のコンセプトです。

「論理的に考えるのが苦手」「いつもあまり考えず、『まいっか』で済ませている」……
こんなふうに「考えるのが苦手」という人は多いのではないでしょうか?
「考える力をつけたい」という世の中のニーズは普遍的なようで、
思考法についての本は常に刊行されています。

けれど「思考力」とはそもそも何なのか、とらえどころのない漠然とした存在で、
どうすれば思考力を磨けるのか、なかなかピンとこないのではないでしょうか?
これこそ、「考える力が上がらないやっかいなポイント」だと著者の川上先生は指摘します。

この本では、そんな「考える力の正体」に迫って「思考の悩み」を解決すべく
京都大学で「不便なこと」について研究しているデザイン学の川上教授が、
・「考える」とは何なのか?
・「考え抜いた」とはどういう状態なのか?
・どうすれば「思考力」を高められるのか?
を教えてくれます。

「足が速くなりたければ実際に走る必要があるように、
思考のスタミナをつけたければ、実際に思考を働かせなければいけない」
という川上教授の言葉通り、
本書は考え抜くためのヒントが詰まった「あること」について
深く、深く、一緒に考えていく、というスタイルで進みます。

はたして、「深く考えるための秘訣」が詰まった、考え抜くべき事象とは――?

読み終えたら思考のスタミナが上がっている、
そんな「一点集中思考」を体感できる思考の書です。

刺激的です。是非、手に取って読んでいただきたい1冊です。

考える力をつけるには、考える時間をつくること。ただし、考える時間をつくるために、時間の使い方を工夫したり、時間術を手に入れる必要はない。

必要なのは、「考えることの価値を知る」ことなのだ。
(Introductionより)

思考のプロセスにこそ、「真の問題」や「新たな解決法」が隠れていて、価値もあると私は思っている。(p.12)
hukak「深く考える」とは、たとえば未知のものを目にしたとき、それは何かを、考えて考えて考え抜いたすえに、全く新しい概念が自分の中に形作られることだ。また、既知のものであっても、新たな面をみようと思案する道筋そのものが「深い思考」となり、それによって発想の転換も促される。(p.26)

各章のポイントが最後に書かれており、これを見直すと気づきを再認識できそうです。

第0章のポイント(p.42)

  • 「深く考える」とは、「新しい認知=cognition」を生もうとする、プロセスを意識する粘り強い営みのこと
  • 時間をかけて「深く考える」からこそ、「問題解決に有効な選択肢」が複数生まれる
  • 思考を挟まずに「すぐやる」ことは、人間に備わった「考える」という唯一無二の才能を放棄していることになるので要注意
  • 人を動かすのは「デザイン」の効用であり、鉛筆には「人を動かすデザイン」のエッセンスが凝縮されている

ネットに掲載されている情報もついつい疑わずに信じてそれを使ってしまう。活字メディアですら、記事に対する責任感のようなものが、ネット的になってきているように感じます。人類自体にネットは大きな恩恵をもたらしましたが、逆に「深く考える」ということがスピード重視で欠落していっているという著者の指摘には共感します。私自身、気をつけなければなりません。

第1章のポイント(p.83)

  • 「鉛筆で記す人」にできる人っぽさを感じるのは、「物との約束」による働き
  • 「物との約束」が世の中の多くの「実感」を作っている
  • 「物との約束」に立脚する鉛筆であれば、「人との約束」が介在するPCより「思考の跡」を残しやすく、ユニークな答えにたどり着く可能性が高まる
  • ボールペンやシャーペンは便利であり、鉛筆より書きやすいため、リスクホメオスタシスが働いて思考を深めることにつながりにくい

ここにある「物との約束」「人との約束」ですが、一言で説明するのは難しいですが、本著を読んでいただくと書かれていますが、少し哲学的ですが、ある意味本書のエッセンス的部分です。

第2章のポイント(p.121)

  • 共有する経験のなさそうな「対多数」であれば数字を用いたPC的な話し方、親密であることを重視するならば「わざ言語」などを用いた鉛筆的な話し方がよい(共通の経験を有しているかには要注意)
  • 数字には「4つの尺度」があり、あたかも「他と比べて優れている」かのように装った数字表現には注意する
  • 「論理的な説明」が論理的に伝わらないこともあるので、数字表現をデフォルメにしない
  • 誰かに何かを説明する際、インプットはPC的「客観的思考」でOKだが、アウトプットや主張の核部分の作成は鉛筆型の「主観的思考」で

4つの尺度は、統計でも出てくるやつです。「比例尺度」「間隔尺度」「順序尺度」「名義尺度」のことです。

第3章のポイント(p.159)

  • 「ゴール」ばかり意識するのではなく、「プロセス」に目を向けよう。プロセスを重視した経験を幾重にも重ねることで、考える力は磨かれ物事の本質が見えてくる
  • プロセスの前後で何が違っているのか(とくに何が減っているのか)を意識することで、プロセスの質は上がり、人を動かす原動力「実感」を得られる
  • プロセスに臨むときは、「一生懸命」っぽいことを意識する。型が思考を形成してくれる
  • 「物事にじっくり取り組める力」がプロセスを重視する目を養ってくれ、それが「考え抜く力」の向上につながる

思考とは、「けもの道」に似ている。最初は道なき道であっても、1回歩いた後のほうがちょっと歩きやすくなる。だからまたそこを歩くと、さらに踏み固められていく。この繰り返しで、道なき道は道になっていく。(p.158)・・これは面白いです。何かの漫画の名セリフでもグッと来たような記憶がありますが、何だったかな。同じようなことを言っていました。

そして、最後です。

第4章のポイント(p.197)

  • 何か新しいアイデアを発想する際は、新しい機能を付け足すのではなく「引き算」の発想をする
  • 「引き算」をするときは「経験」は引かず、「手段」を引く。そうすれば「本質」が際立ち、「実感」を覚えやすい。定着しやすいアイデアとなる
  • 当たり前だと言われていることに対して「少し疑う姿勢」を持てば「深い思考」のきっかけになる。そうすれば、案外当たり前な、けれど「実感」をより強く覚えるアイデアにもたどり着く
  • 深く考えると思考は横に拡がり、思いも寄らぬとところに意識が立ち寄る。そうやって足下にある見落としがちなソリューションを掘り起こしていこう

最後に面白いことが書かれています。

考えている最中に、「あ、今考えている」と意識することこそが「深く考える」ことの第一歩となり、AI時代に機械に負けない、これからの人類に求められるスキルなのだ。

頭の中で「考える」という小さな一歩を踏み出そう。それがきっと、未来から見れば「大きな一歩」になっているはずだ。(p.202)

これを読んでいて、いろいろと考えさせられました。私はいまビジネスパーソンであるとともに、大学院に通う学生でもありますが、後者の立場だと「考える」ことばかりです。前者のビジネスパーソンでも業務は深く「考える」ことの多い職務なのですが、周りを見渡してみると、「考える」ことをしている人はあまりいないような気がします。「考える」といよりは、「適応させている」というのでしょうか。確かに、それ自体考えながらやっているのですが、既存のルールや形に当てはめるための当てはめ方を考えていて、そこから何か創造的なものが生まれることはないんですよね。

本著にも書かれていましたが、「セル式」と「ライン式」というのがあって、面倒で効率の悪い「セル式」でなく、「ライン式」がほとんど。でも「セル式」で考えることができないと、優れた「ライン式」を生むことは出来ないと思うんですけどね。そういう意味でも、「セル式」でできる人を育てていかないと、企業も滅びゆくような気がしてなりません。

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