著者:有森 隆…
かなりきつい言葉で巨大倒産をもたらした社長たちに喝を入れている著作です。社長に限ったわけではありませんが、やはり上に行けば行くほど「器」というものがあって、それがない人が上に立ってしまうとどうしようもないということが実体験ともリンクしながらよく分かります。でもその「器」のない人を選んだ人の責任こそが大きい気がしてなりません。(Inobe.Shion) |
内容紹介 絶頂から奈落へ、優良大企業はなぜ潰れたか! そごう、ミサワホーム、佐世保重工業、安宅産業、セゾングループ、シャープ、三光汽船、 内容(「BOOK」データベースより) |
失敗学・・・その言葉を思い出しました。このものすごい失敗を教訓と受け止め、今後の生き方のヒントにしたいと思います。
「企業の倒産を招く原因の多くは、経営者の怠慢です。利己的な経営や放漫経営が会社のタガを緩め、社員の勤労意欲をなくさせているケースが多いのです。上から下まで自己主張にばかり明け暮れているから倒産するのです」 早川種三が企業の倒産について述べた名言である。早川は日本特殊鋼、佐藤造機、興人などの管財人を引き受け、みごとに再建した。債権を成し遂げると経営からは潔く身を引き、「再建の神様」と称えられた。(p.1) |
彼ら(この著作に出てくる企業の社長たち)が成功したのは、時代精神の体現者だったからです。高度経済成長の波に乗り、各分野で勝利者になった。しかし、時代は低成長経済へと大きく転換した。新しい時代には、新しい息吹を生み出す強いリーダーが求められる。駅伝に喩えると、わかりやすい。一区の走者が、二区、三区と連続して走り続けることはない。次の走者にバトンタッチしていく。だが、本書に登場する経営者は成功体験委縛られ、バトンタッチすることを怠った。走り続け、新しい時代の覇者であり続けようとした。そんとあめ、引き際を誤って晩節を汚すこととなった。傲慢は人間と企業を滅ぼす最も重い病気である。(pp.2-3) |
そしてその区間ごとにスピードコースであったり、坂道であったり、種々雑多なパターンがあるわけなんですよね。それぞれ特徴にあった攻め方というのがあると思います。具体的に言うならば、身を縮めてコストカットの経営がいいとき、いい領域もあれば、思い切って攻めなければならないとき、あるいは領域もあるでしょう。たまたまそのスタイルがあっただけで成功しただけで環境が変われば、その成功体験からなかなか抜け出せない。そこをどううまく乗り切っていくかがポイントなのでしょう。
そういう意味でも、社長は自分のコピーをつくるのでなく、次の区間の状況に耐えられるような後継者を意識的に育てておくべきなのでしょう。たとえば、自分の時期は守りの経営をしたとしても次は攻めに強い人材を選抜して育てていくというような先を見据えた後継者づくりをしていかないといけないのでしょう。
タカター:リーダーの器量がなかった三代目 リーダーの要件を二つだけ挙げるとすれば、ひとつは危機の予知能力と修羅場に強いこと。もうひとつは、組織に自分の言葉で正確に意思を伝えることだ。言葉も意味も明晰でなければならない。(p.52) |
そごう:繰り返す不動産バブル 鳩居堂前の路線価は、バブル崩壊直後にピークに達し、1997年には3分の1以下まで暴落した。反転するのは2014年。15年以降2ケタ(14~26%)増となり、バブル超えとなった。チャイナマネーが大量に流入した湾岸エリアのタワーマンションの価格が崩落するのは2018年後半から2019年にかけてだ、と予測されている。爆買いは13年から14年に集中した・日本の税制では、取得後5年以上経過してから売却すれば税率21%(5年以内だと35%)に下がる。売るチャンスは5年後と見られているから、売りが集中しやすいのだ。不動産バブルは2020年の東京オリンピック・パラリンピックを待たずに破裂する。歴史は繰り返されるのである。(p.174) |
さまざまな成功者の末路・・・という感じでした。「驕る平家は久しからず」とはよく言ったもので、まさにそこに尽きるでしょう。
あとは、「足るを知る」「備えあれば憂えなし」そのあたりの結局はすべて、何らかの故事成語に出てくるような教訓に反したがためのことばかりでした。
ただ、それらの教訓が見えなくなってしまったのも「おごり」ということが大きいように思いました。
興味深く、読ませていただきました。