著者:ジャック・アタリ
フランスの経済学者、思想家であるジャック・アタリ氏の著作です。サブタイトルに”不確実な世の中をサバイブせよ” とあり、まさに不確実な世の中を生き抜くにあたっての示唆を示してくれているのだと思います。(Inobe.Shion) |
内容紹介 政治、経済、文化に対して大きな影響力を持ち欧州を代表する知性と言われるジャック・アタリ氏が2030年の世界を予測する。共有経済、民主主義の行方、環境問題、高齢化する世界、新興国、報道の自由、教育、医療、金融システム・・・、データに基づいた緻密な分析から論じられる私たちの未来がそこにある。アタリ氏は、「集団の活動に大きな変化が必要な際には、すべては必ず個人が変わることから始まる。個人の内面が変わらなければならないのだ」と指摘する。問題を直視した上で、よりよい世界をつくるために、私たちはどのように行動すればいいのか。自分にとっての生き方、行動、振る舞いが変わる1冊である。内容(「BOOK」データベースより) 「起きるわけがない」と決めつけても、どんなことだって起こりうる。そうした最悪の事態を予測することこそが、最悪を回避する最善の手段なのだ。 |
表紙の帯に次のように書かれています。
「起きるわけがない」と決めつけても、どんなことだって起こりうる。そうした最悪の事態を予測することこそが、最悪を回避する最善の手段なのだ。 |
そして、序文に次のように書かれています。
われわれは未来予測の結果を直視したがらない。また、誰もが死にゆく存在であるのに、これを正視しようとする者は少ない。多くの者たちは何も予測したくないのだ。最悪の事態が訪れても立ち向かう気力がなく、尽力しなければそこから逃れられないのに、そのことを怖くて認めようとしない。すなわち、予測するという行為の最大の敵は怠慢なのだ。怠慢であるがために、すべては予定調和で終わり、最悪の事態は訪れないというように、未来を自分に都合よく考えるのだ。とはいっても、最悪の事態は誰にでも訪れる。われわれは、自身の歩みを予測するための条件を整えながら、そうした事態に備えなければならない。(pp.2-3) |
たとえ困難でも、そして権力の正体を暴くことがこれまでのように容易でなくても、行動すべきだ。何を差し置いても、自分自身の人生を大切にすることだ。自分の人生を決定するのは他者だなどと考えてはいけない。自分は唯一無二のつかの間の存在であることを意識すべきなのだ。自分の幸福は他者の幸福に左右させると肝に銘じてほしい。より一般的にいえば、自分の幸福は、世の中の在り方と行方に依存するのである。そして自分自身および他者のために行動する勇気を、他者の幸福から導き出すのだ。世界の行方は、各自が自分自身になれるかどうかにかかっているのである。(p.17) |
これを読んでいると、いったい何が起ころうとしているのか?どういった準備をしないといけないのか、リアルな危機感を持って読み進めるか・・・それとも、何を戯言をと思いながら読むかで感じ方、捉え方は大きく変わってきそうです。私は、リアルな危機感を持って読んでいきたいと思います。
いつの時代も、世界は光と影、暴力と慈愛、粗暴と温和、創造と破壊で満ち溢れていた。だが、善が悪を明らかに圧倒した時代もあれば、それとは逆に、悪が支配的だった時代もあった。すなわち、これまでの歴史は、混沌とした見通しの悪い状況において、啓蒙思想と異端審問が相次いで起き、混在してきたようなものなのだ。(p.19) |
どこかのドラマのナレーションみたいな感じでかっこいいですね。
集団の活動に大きな変化が必要な際には、すべては必ず個人が変わることから始まる。個人の内面が変わらなければならないのだ。自分自身に働きかけるとは、世界がまだ募らせる場所であるようにするために、世界に働きかける心構えを持つことである。このようにして、自分自身に働きかけること自体が、世界に対して行動を起こすことだと気づくはずだ。(p.180) |
ここに、偉大な哲学者の教えがある。彼ら哲学者は、宗教家であろうが世俗主義者であろうが、幸福のカギは他者への愛がすべてだと説く。最近では神経科学者も同じようなことを述べている。そしてそれは「積極的な経済」の主体者が実行することでもある。すなわち、彼らは次世代のために毅然と行動する人々なのである。そのためには、われわれは利用できる短い期間に迅速に行動し、自分自身および他者にとってのパラダイム・チェンジを早急に実現しなければならない。そして確固たる憤慨の精神を持つ必要がある。それは怒りに任せてわれを忘れるためではなく、利他主義を広めるためにきわめて理性的かつ明確になるためだ。怒るのは、建設的になるため、愛するため、そしてこれまでのやり方に再考を促す勇気をもつためである。(p.182) |
こうした自覚を成就させるために、私は次に掲げる10の段階を、順を追ってたどるという、論理的に明確な精神的道筋を歩むことをお勧めする。・・・それではその10の段階を紹介する。(p.183) |
その10の段階とは下記になります。(pp.184-194)
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大変、刺激を与えてくれる1冊でした。