LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略
著者リンダ・グラットン,アンドリュー・スコット
内容紹介
【ビジネス書グランプリ2017 総合グランプリを受賞! 】 誰もが100年生きうる時代をどう生き抜くか。 世界で活躍するビジネス思想家が示す、新しい人生のビジョン。 みんなが足並みをそろえて教育、勤労、引退という では、どのように生き方、働き方を変えていくべきか。 100歳時代の戦略的人生設計書。 《本書の主な内容》 ●人生はより長く、健康になる。 《世界を代表する知識人が称賛! 》 より健康で長寿になる私たちの人生に関する迫真のケーススタディ。 |
★読書前のaffirmation!
[きっかけ・経緯] しっかりとした人生戦略のために・・・
[目的・質問] 人生戦略を立案する。
[分類] 159:人生訓. 教訓
高齢者医療や年金の問題ばかり見ていると、全体像を見失う。長寿化により、老いて衰えて生きる年数が長くなるわけではない。長く生きられるようになった年月の大半を、私たちは健康に生きることになる。若々しく生きる年数が長くなるのである。(pp.3-4) |
ずっと「負」の部分ばかりが取り上げられますが、たしかにそうでない部分もあるはずであり、そこを見る視点も必要だと気づかされます。
長寿化に備えるためには、人生の締めくくりの時期への準備をするだけでなく、人生全体を設計し直さなくてはならない。長寿化時代には、人生の新たなステージがいくつも出現し、パートナー同士の関係も様変わりする。そして、新しい生き方が試みられるようになる。(p.4) |
大きく発想を変えないといけません。
人が長く生きるようになれば、職業生活に関する考え方も変わらざるを得ない。人生が短かった時代は、「教育→仕事→引退」という古い3ステージの生き方で問題なかった。しかし、寿命が延びれば、二番目の「仕事」のステージが長くなる。引退年齢が70~80歳になり、長い期間働くようになるのである。・・・選択肢を狭めずに幅広い針路を検討する「エクスプローラー(探検者)」のステージを経験する人が出てくるだろう。自由と柔軟性を重んじて小さなビジネスを起こす「インディペンデント・プロデューサー(独立生産者)」のステージを生きる人もいるだろう。さまざまな仕事や活動に同時並行で携わる「ポートフォリオ・ワーカー」のステージを実践する人もいるかもしれない。(pp.4-5) |
長寿化を恩恵にするためには、古い働き方と生き方に疑問を投げかけ、実験することをいとわず、生涯を通じて「変身」を続ける覚悟をもたなくてはならない。いま30歳未満の人には、すぐに給料のいい職に就こうとばかり考えないようアドバイスしたい。じっくり時間を取ってさまざまなキャリアの選択肢を検討し、世界について学び、労働市場の未来をよく理解したほうがいい。自分のビジネスを立ち上げようとしている人と知り合えば、キャリアの選択肢について視野が広がるかもしれない。(p.7) |
40~50代の人は、働き始めたとき、60代で引退するつもりだっただろう。しかし、あなたの職業人生は、少なくともあと25年続く可能性が高い。しかも、これから訪れようとしているのは、スキルの価値が瞬く間に変わる時代だ。そういう時代には、手持ちのスキルで良しとせず、新しいスキルの習得に力を注がなくてはならない。(p.8) |
非常に多くの人が長い人生を送るようになり、それが個人の生き方に、さらには社会と企業の仕組みに変革を強いるだろう。新しい社会規範とロールモデルが登場することは間違いない。すでに変化に適応し始めた個人や社会も多い。今後は変化がさらに拡大し、社会全体が長寿化というテーマを認識し、議論するようになる。(p.19) |
労働市場が急速に変化する中で、70代、80代まで働くようになれば、手持ちの知識に磨きをかけるだけでは最後まで生産性を保てない。時間を取って、学び直しとスキルの再習得に投資する必要がある。(p.24) |
人生が短かったころは、余暇をもっばらリラックスのために用いるのが理にかなっていたが、人生が長くなれば、余暇は、新しいステージに向けて自分を再創造するための投資の時間にもなる。100年ライフの恩恵の一つは、余暇時間の使い方を見直し、消費とレクリエーション(娯楽)の比重を減らして、投資とリ・クリエーション(再創造)の比重を増やせることなのかもしれない。(p.28) |
未来についてはっきり言えることが一つある。それは、大勢の開拓者が生まれるということだ。いまは、個人もコミュニティも、起業も政府も、100年ライフに対応するためにの最善の方法をまだ見いだせていない。ロールモデルもほとんど存在しない。現在100歳まで生きている人自身ですら、ほとんどの人は、自分がそこまで長生きすると予想していなかったのだ。(p.33) |
今後は、同世代が一斉行進して人生のステージを進む仕組みに深刻な軋みが生じる。高いスキルを持った優秀な人材の獲得が必須課題の企業は、その変化に対応して方針を改めることが得策だと気づきはじめる。しかし、そういう企業ばかりではない。働き手が望むほどの柔軟性を発揮できる企業は、おそらく一握りに留まる。その結果、個人と企業の間で激しい戦いが始まるだろう。それは、産業革命の時代に労働時間と労働環境をめぐって戦われたい戦いに匹敵するものにある。(p.34) |
アイデンティティ、選択、リスクは、長い人生の生き方を考えるうえで中核的な要素になるだろう。人生が長くなれば、経験する変化も多くなる。人生で経験するステージが多くなれば、選択の機会も増える。変化と選択の機会が増えるなら、人生の出発点はそれほど重要ではなくなる。そのような時代に生きるあなたは、年長世代とは異なる視点で自分のアイデンティティについて考えなくてはならない。人生が長くなるほど、アイデンティティは人生の出発点で与えられたものではなく、主体的に築きうるものになっていく。これまでの世代は、人生のさまざまな変化を主体的に選択したり、移行を遂げるために必要な能力を積極的にはぐくんだりすることを意識しなくてもよかった。しかし、長い人生を生きる人は、人生で移行を繰り返すことになる。(pp.37-38) |
無形の資産には非常に多くのものが含まれる。長寿化との関係を基準に、これらを3つのカテゴリーに分類してみた。(p.127)
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ハーバード・ビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授によれば、テクノロジーの進歩により、教育分野で「破壊的イノベーション」の機が熟しており、そのイノベーションが生涯学習にも好ましい影響を及ぼすという。デジタル・イノベーションへの投資が教室を様変わりさせ、オンライン授業、MOOCs(大規模公開オンライン講座)、デジタル学位・能力認定が普及し、教育産業への新規参入も増える。ジェーンの世代は、学習の形態、内容、場面、料金の選択肢が広がり続ける。クリステンセンの理論通りなら、変化が遅い既存勢力は次第に劣勢に立たされ、やがて新興勢力に取って代わられるだろう。(p.366) |
これからの人生・・・どうやって経験値を積んでいくか。一つの企業で生涯を終える人のほうがどんどんと少なくなっていくような気がします。企業には辞めてほしい人ばかりが残り、辞めてほしくない人が去っていく・・・そのような最悪の状態だけは作らないような対応が企業には必要になってくるのだろう。
AI,人工知能・・・それらがいくら進歩しようとも、ヒューマン・リソースをどう使うかということを考える仕事はなくならない気がします。
人生が100年と考えると、全く発想が変わります。立ち位置自体が変わるので、その違いを認識し、どう対応していくか・・少しでも早く考えておかないとどんどん後手後手になっていく。そうならないように先手で手を打っていきたいものです。