アメリカの大学生が学んでいる「伝え方」の教科書
著者スティーブンE・ルーカス
内容紹介
【大学生協週間ランキング・ビジネス書部門、2週連続1位! 】 ●ハーバード大学をはじめとする1000校以上のアメリカの大学で なぜ日本人は話すのが下手なのか、なぜテクニックを学んでもうまくいかないのか。それは、もう、子供のころから教えられていることが違うので、根本のところから違うのです。 本書では、「伝え方」の基本エッセンスがしっかりつまった教科書として、自分の伝え方を根本的なところから劇的に変える「教科書」としてノウハウを紹介します。 内容(「BOOK」データベースより) |
★読書前のaffirmation!
[きっかけ・経緯] 「伝え方」・・・まだまだ学ぶことがあると思いまして。
[目的・質問] 「伝え方」・・・学びます。
[分類] 809.4:演説法:朗読,式辞,あいさつ,スピーチ,司会
何とこの本、アメリカでは1983年の初版で、現在12版とのこと。そんな本が、これまで訳されてなかったんですね。
まえがきのところで、監訳者の狩野さんがおっしゃています。
日本語の文化は「聞き手責任」、一方、英語に代表される文化は「話し手責任」であり逆である。 |
これって肝な気がします。読み進める前に、これを意識して読むのとそうでないのとでは、理解度にかなりの差が出てくるような気がします。良い導入だと感じました。さぁ、読んでいきます。
パブリック・スピーキング―皆さんよりなじみのある呼び方は「プレゼン」でしょうか―は古来、重要なコミュニケーション手段として使われてきました。「何かについて判断を下しても」それを「きちんと説明できない人は、何も考えたことがないも同然だ」と言ったのは古代ギリシャの政治家ペリクレスですが、これ今なお真理と言えます。(p.13) |
そこまで言うんですね・・・・でも、それが「話し手責任」なんでしょう。
大勢の人の前で話すときは、特に次の3点に気をつけなければなりません。
研究と練習を重ねれば、あなたもこの3つをマスターできます。そして、普段の会話で使っているスキルをプレゼン用にパワーアップすることもできるのです。(p.18) |
準備は何よりも大切ですね。「研究と練習を重ねる」・・そうです。急にうまくなるわけではないんです。ただ、よく論文発表なので、下書きしてそれを読んで・・・おそらく時間内に読む練習をしてきているんでしょうけど、すごく違和感を感じてますが、「伝える」という本質が抜けてしまっている気がしますね。
プレゼンのテーマが決まったら、まず、「大まかな目的」を決めなければなりません。大まかな目的はたいてい、「情報を伝える」か「説得する」のどちらかですが、両方が目的になることもあります。大まかな目的が「情報を伝える」の場合、目指すべきは情報をわかりやすく、正確に、そしておもしろく伝えることです。一方、「説得する」が大まかな目的の場合は、聞き手の態度や行動パターンを変えたり、アクションを起こしてもらうことが目的になります。(p.30) |
この目的違いで、トークはもちろん、プレゼン資料のほうも変わってきますから、意識して設計し始めないと目的から外れた仕上がりになってしまいます。そのために、絶対に行きたい「ゴール」を決めなさいと言っています。(pp.31-41)
▼ゴールの書き方のコツ
▼ゴールがOKかどうか、チェックするための質問
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ゴールは「話し手がプレゼンで達成したいこと」ですが、サマリー・センテンスは、プレゼンの内容を一文でまとめたものです。プレゼン準備中に、「プレゼンでは絶対にこれを話さなければならない」ということを思い出させてくれる、要でもあります。 |
先日、私も30分で口頭試問へ対応した修士論文をポスター発表で3分にまとめ直したのですが、大変でした。サマリー・センテンスは常に意識しながら作りましたが苦労しました。
▼チェックリスト【サマリー・センテンス】(p.48)
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プレゼンをするときは、どんな場合も聞き手目線で考えるようにしてください。準備を始める前に、聞き手はどんな人でどんなことに関心があるのか、プレゼンのテーマについてどれだけ知識を持っているのか、自分(話し手)の見解についてどう思っているのか、などを考えます。(p.51) |
駄目ですね・・・自分が話すときも聞いている人は聞いてくれているという前提で考えてしまっていますね。そうではないんですよね。実際自分が聞き手の時は自分の必要なことしか聞いていないのに、話し手として考えるときは都合の良いように考えていますね。ちょうどそのことが述べられています。
注意して聞いているときでさえ、人は、話し手の意図とは違う受け止め方をします。話し手が話した内容は、聞き手のフィルター(聞き手の知識や価値観などの総合的な枠組み)を通ります。つまり、人は、話し手が話した通りの内容ではなく、自分が「聞きたい」と思ったことしか聞かないし、「聞きたい」「分かる」と思った内容にしか反応しないのです。(p.52) |
なぜそうなるかと言うと・・・
自分にとって意味のあることを聞きたい。これが人間の心理です。人は利己的で、自分の価値観、信念、幸福に関わりそうな内容に何よりも反応します。プレゼンを聞くとき、人の頭になるのは、「この話が私にどう関係あるわけ?」という問いです。つまり、話し手として押さえておかなければならないポイントは2つです。
聞き手に、「これは自分に関係のある話だ、ちゃんと聞かなければ」と思わせるのです。(p.52) |
話し手は、聞き手にどんな知識、信条、関心があるのか、ということをある程度把握しておく必要があります。社会運動家のソール・アリンスキーは「人は、自分の経験という枠を通して物事を理解する」と言っていますが、人間がそういう生き物である以上、人とコミュニケーションするためには「彼らの経験に入り込まなくてはならない」のです。(p.53) |
聞き手の背景を考えるポイントとして3点挙げられています。
プレゼンの内容に関して、聞き手にはどんな傾向があるのでしょうか。(pp.60-61)
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この3点はチェックしやすいポイントです。しっかりチェックしたいです。
プレゼンの主要な論点のことを「メインポイント」と呼びますが、これはプレゼン全体の核となる部分です。メインポイントは注意深く選び、的確な言葉で表現した上で、戦略的な「型」に落とし込んでいきます。(p.72) |
例としてこんなふうに書かれています。
・ゴール
聴衆に、催眠術の主な用途を伝える
・サマリー・センテンス
今日の催眠術の主な3つの用途は、手術中の痛みの抑制、
禁煙のサポート、そして、成績向上のサポートである
・メインポイント
Ⅰ 催眠術は手術の際に、麻酔の補助役として使われている
Ⅱ 催眠術は禁煙のサポートとして使われている
Ⅲ 催眠術は学生の成績向上のサポートとして使われている
上のような構成で、「ゴール」「サマリー・センテンス」「メインポイント」を設計していきます。
メインポイントの組み立て方として、5つの型が挙げられています。
▼メインポイントの組み立て方(pp.76-83)
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▼チェックリスト【メインポイント】(p.89)
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ナビゲーション・フレーズとは、効果的なつなぎ文句のこと。ナビゲーション・フレーズには、移行フレーズ、プレビュー(予告)、ラップアップ(要約)、サインポストの4つが挙げられます。
▼チェックリスト【プレゼンの導入部分】(p.108)
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このチェックポイントは秀逸ですね。今までも気にしてましたが、こうやって網羅してくれているとホントにチェックしやすいです。
▼チェックリスト【プレゼンの終え方】(p.126)
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さて、プレゼンの準備が終わったとして、本番です。
良い伝え方とは、人に「伝え方」を意識させない話し方のことです。話し手の考えが分かりやすく、興味深く、しかも聴衆の気をそらすことなく届く。それが良い伝え方です。・・・最初のうちは、分かりやすく話す、聞き手の注意をそらすような癖にきをつける、アイコンタクトをしっかりとる、という3つの基本に集中するのがいいと思います。(pp.161-162) |
そして、「声」に着目して、それをコントロールすることでプレゼンはより良くなっていくことが書かれています。その要素としては、「①声の大きさ、②声の高さ、③話す速度、④間の取り方、⑤声の調子」の5つが挙げられています。
説得のプレゼンをするときは、聴衆と心の会話をする気持ちで臨みましょう。聴き手が(心の中で)言いそうな反対意見や疑問に答えるつもりで話します。なぜ反対するのか、なぜ疑問に思うのか、という理由の部分に丁寧に向き合わないと、相手を説得することなどできません。(p.232) |
方針を説得するプレゼン、4つの型(pp.246-257)
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説得のうまい話し手とはどんな人でしょうか。古代ギリシャの昔からずっと、人はこの問いを解き明かそうとしてきましたが、結局のところ、人が説得される理由は次のいずれかのようです。(p.258)
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これまでもたくさんのプレゼン本を読みましたが、さすがに重版となっているだけあって、分かりやすく網羅されていました。あとはこれをどう実践できるかです。その実践が一番難しいんですけどね。何か疑問等あったら、一緒に議論しましょう。コメント欄に書き込んでいただけたら分かる範囲でお答えしたいと思います。ありがとうございました。
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