レヴィ゠ストロース『野生の思考』 (100分 de 名著)

レヴィ゠ストロース『野生の思考』 2016年12月 (100分 de 名著)

レヴィ゠ストロース『野生の思考』 2016年12月 (100分 de 名著)
著者:中沢 新一

内容紹介
「野生の思考」は日本に生きている

フランスの人類学者クロード・レヴィストロースが1962年に上梓した『野生の思考』。北米大陸先住民の神話や儀礼などから人類の思考に普遍的な「構造」を発見し、20世紀の思想史を大きく転換する「構造主義」の先駆けとなった。この古典を通して、現代日本社会やそこに生きる我々の心性を見つめなおす。

★読書前のaffirmation!
[きっかけ・経緯] 改めて学びたいと思っていた「構造主義」・・・良いタイミングで放送されました。
[目的・質問] 名著「野生の思考」の概要を知る
[分類] 番組の概要はこちらでご覧いただけます。

▼第1回目のポイント

「構造言語学」の考え方の汎用性にレヴィ=ストロースが気づき、発展させていきます。

●構造言語学
「無数の音」⇒「言語音」⇒「音素」⇒「言語」
・発信者と受信者が共通のコード(規則)の下にメッセージを伝達
→コミュニケーションの基本
・すべての音から取り出した母音や子音などの音素は互いに相関・対立
→音素を組み合わせることで言語を作る

●構造主義
「自然」⇒「少数要素」⇒「構造」⇒「文化」

●トーテミズム
レヴィ=ストロースは「世界を分類し体系化する高度な思考方法」として考えた。
トーテミズムは、データベースの体系。情報処理検索と変わらない。

「トーテミズム 画像」の画像検索結果

日本の「暖簾」も一種のトーテム。「暖簾を背負う」というがまさにその所属するグループの信頼・責任、アイデンティティを背負っているということでもある。

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▼第2回目のポイント

●ブリコラージュ(日曜大工)
ありあわせの道具や材料を用いて自分の手でフレキシブルにものを作ること。

対立する思考は、「エンジニアリング」。
「概念」を用いるのではなく「記号」を使うのが先住民の発想。

人間とは何かという問題を考えるのが神話。神話はブリコラージュでできている。

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人類学者 フランツ・ボアズ
「神話的世界はつくられるやいなや
破壊されねばならず
その破片から新しい世界が
生まれるかのようだ」

呪術もブリコラージュ?

具体の科学と近代科学と同様に学問的である。その結果の真実性においても違いはない。精密科学自然科学より一万年も前に確立したその成果は依然として今のわれわれの文明の基層をなしているのである。

ケプラーは占星術の知識を基礎に天文学へ、またニュートンは「プリンキピア」を書き上げた後、錬金術などに傾倒。

 

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科学的思考と呪術的思考は、対象は違うが同じようなもの。

▼第3回目のポイント

言葉=「神話」
身振り・踊り=「儀礼」
科学技術=「呪術」

・「ヒダツァ族の鷲狩り」の事例

クリスマスは「冬は贈与の季節」という“野生の思考”を巧妙に利用した資本主義の象徴。

野生の思考の法則が再び支配する情報世界の発見
未開人の世界とわれわれの世界との差異はむしろ彼らを現代の情報検索理論の専門家と同一平面におくものである
情報検索の専門家は対象とする著作物の実質を否定したり議論したりはせずにそれを分析してコードの構成要素を抽出する

 

▼第4回目のポイント

私は「はたらく」ということを日本人がどのように考えているかについて貴重な教示を得ました。
それは西洋式の生命のない物質への人間のはたらきかけではなく人間と自然のあいだにある親密な関係の具体化だということです。
他の面ではある種の能の演目でのようにごく日常的な仕事に詩的価値を付与することによってそれらを顕彰しています

「労働」という言葉の意味としては、「プラクシス」と「ポイエーシス」という概念がギリシア語にはあるらしく・・・・
・プラクシス(実践):
行為する人間が自分自身の目的のために事物を使用する
・ポイエーシス:
ある物を自分の目的のために変形して使うのではなくてその物の中にすでに存在する形を外に取り出す

 

レヴィ=ストロースは、日本の職人にポイエーシスの流れが含まれているとして熱心に調査・観察を行った。

西欧の労働の考え方:
・人間は原罪を抱えた存在
・罰を受けて労働しなければいけない
・命ぜられた仕事を労働時間内に働くと賃金が得られる

日本人は、「自然を人間化」しているとレヴィ=ストロースは考えた。

日本人がある時は自然をある時は人間を優先し人間のために必要なら自然を犠牲にする権利を自らに与えるのもおそらく自然と人間とのあいだに截然とした区別が存在しないことによって説明されるのかもしれません。
自然と人間は気脈を通じあった仲間同士なのですから。
過去への忠実と科学と技術がもたらした変革のはざまでおそらくすべての国の中で日本だけがこれまである種の均衡を見出すのに成功してきました
日本の人々が過去の伝統と現在の革新のあいだの得難い均衡をいつまでも保ち続けられるよう願わずにはいられません。
それは日本人自身のためだけにではありません。
人類のすべてが学ぶに値する一例をそこに見出すからです

レヴィ=ストロースが日本を特別視していたということを知って驚きました。このような特殊な日本人の場合、経営学における組織論、リーダシップ論なども海外のとは様相が異なるように思います。『野生の思考』以外にもレヴィ=ストロースの作品、いろいろあるので読んでいきたいと思いました。

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