<第1回>
フォルクスワーゲンの排ガス不正~あるカリスマ同族経営者の盛衰
(横浜国立大学 吉森賢先生)
場所:大阪企業家ミュージアム
吉森先生曰く、経営者の機能には、
①統治
②戦略
③倫理
そして、それら3つの輪が重なるところに
④文化・理念
が存在し、すべてを取り巻く
⑤環境
という構造の中で機能が果たされていくとおっしゃっています。
そして、これまでは「戦略」の失敗により、企業を失脚させていくという話が多かったのですが、ここ最近は、「倫理」のところでの失脚が多くなってきたと。
たとえば、「戦略」の失敗でいくと、シャープなどはそうかもしれません。ですが、「倫理」の失敗なるといっぱいでてきます。東芝、三菱自動車・・・。
そんななか、本日のセミナーでは、フォルクスワーゲンが取り上げられて、ご説明をいただきました。
結論としては、「倫理観喪失」がその根本原因で、それを作り出した背景には同族企業によるカリスマ支配があったとされていました。
ウェーバーの支配の三類型を出され、
・法的支配
・伝統支配
・カリスマ支配
のうちのカリスマ支配の影響が大きいと。
それを語る上で、3人のカリスマを挙げられました。
・PORSCHE, Ferdinand Maffersdolf
・HITLER, Adolf
・PIECH, Ferdinand
まずは、Volkswagenの国民車構想。
そして、PORSCHE家、PIECH家の経緯などのお話をされながら、いよいよフェルディナンド・ピエヒさんの技術者としての実績が語られます。さすがに同族であるにもかかわらず、これだけの才能があれば・・・、誰も口を出せなくなります。
でも結果論でしかないんですよね。彼がVolkswagenの成長・発展を作ったのも事実ですし、カリスマによるリーダーシップだからこそのところもあるでしょう。
そのあたりを考えると、後継者とか引き際とか、そういった選択を誤ったということにもなるのでしょうか。
「失敗の理由」を探すことはいくらでもできますが、どのタイミングでどういった行動をとるべきだったかということに関しては、いつも答えがなく、妄想の域を出ないのが歯がゆいところです。
以上、第一回目のレポートでした。
第二回目に関しては6/11 IKEA についてになります。
またレポートはUPします。
ドイツ同族大企業
著者:吉森 賢