マーケット進化論 経済が解き明かす日本の歴史
著者:横山 和輝
★読書前のaffirmation!
[目的] マーケットという観点で日本の歴史の考察を共有する
[質問]
市場のメリットを活かしつつデメリットを削減するための工夫、これを市場設計といいます。市場経済が形成されて以降、社会にとって市場設計はなくてはならない工夫なのです。社会にとってなくてはならない工夫だからこそ、様々な視点から議論することが必要とされてきます。その一つの視点として歴史があります。市場をめぐる議論について、歴史の中から判断材料を提起すること、これが本書の目的です。(P.5) |
筆者のリサーチクエスチョンを理解しました。ダグラス・ノースの著作に書かれていた「経済変化の過程を理解することができれば、過去から現在までのさまざまな経済の異なる成果を説明できるようになる。…そのような知識は、単に過去の理解を可能にするだけでなく、現在や将来における諸経済の成果を改善する際の鍵ともなる。」(「ダグラス・ノース 制度原論」序文)に通じるところだと思います。
筆者は、日本経済の発展の歴史的プロセスを「マーケットの進化」と表現し、次の7つの局面に分けています。
マーケットの進化:7つの局面(P.5-8) ①律令制の時代:市場経済の黎明(8世紀から11世紀) ②鎌倉・室町時代:市場経済の発展(12世紀から15世紀) ③戦国時代:公権力による市場設計(16世紀) ④徳川時代:全国覇者による市場設計(17世紀から19世紀前半) ⑤明治維新:産業化の時代(19世紀後半から20世紀初頭) ⑥関東大震災:市場の機能を活用した復興(20世紀前半、1920年代) ⑦昭和:市場経済、冬眠の時代へ(20世紀:1930年代以降) |
市場経済に必要な条件(マクミランの指摘) ①情報が円滑に流通していること ②人々が約束を守ると信頼できること ③財産権が保護されていること ④第三者への副作用が抑えられていること ⑤競争が促進されていること |