ロックフェラー対ロスチャイルド―巨大対立軸のなか、日本の進むべき道を探る!

ロツクフェラー対ロスチャイルド―巨大対立軸のなか、日本の進むべき道を探る!

ロックフェラー対ロスチャイルド―巨大対立軸のなか、日本の進むべき道を探る!
著者:藤井 昇

★読書前のaffirmation!
[きっかけ・経緯] 図書館で見かけまして・・・
[目的・質問] 勉強します。

1994年発刊の本ですが、逆に新鮮でした。当時の未来予想と現在の絵姿を比べながら読めたということは、これまた読書の醍醐味なのでしょう。

・アメリカ保守本流財界の代表がロックフェラー財閥
・シオニスト系財閥の代表が英ロスチャイルド財閥(P.26)
シオニズム運動とは、ユダヤ人の間に起きた祖国(イスラエル)建国運動である。イスラエル建国(1948年)後は、イスラエルの拡張主義、対アラブ強硬主義を支持することをシオニズム、そうする人間をシオニストと呼ぶことになる。大事なのは、すべてのユダヤ人やユダヤ財閥がシオニストではない、ということだ。(P.26)
世界情勢を読みぬく上で、最も重要な対立軸は、この
≪米保守本流派 対 英シオニスト派≫
の対立なのである。
この対立軸は、そもそも≪アングロ・サクソン派≫と≪シオニスト派≫の気質の違いがあるところに、ロックフェラーとロスチャイルドというそれぞれの代表的な財閥が、勢力争いをするところから、必然的に生じてきた対立である。(P.28)
≪米保守本流派 対 英シオニスト派≫の対立は、世界中に実に甚大な影響を与えてきた。というのも「二極分解」の力学が作用し、世界中の企業群、財閥が、大雑把ではあるが、≪米保守本流派=ロックフェラー財閥≫の同盟者もしくはシンパと、≪英シオニスト=ロスチャイルド財閥≫の同盟者もしくはシンパに、色分けされてしまうからである。・・・ある業界で一方がロックフェラー(米保守本流)毛と手を組めば、同業者のライバル企業は、ほぼ確実にロスチャイルド(英シオニスト)系の支援を仰ぐようになる。二極分解の論理が貫徹してしまうのである。(P.28-29)

≪米保守本流派 対 英シオニスト派≫の対立軸
(1994年発刊本文資料より)

分野 ロックフェラー系 ロスチャイルド系
①石油・エネルギー業界 エクソン
モービル
ロイヤル・ダッチ・シェル
ブリティッシュ・ペトロリアム
②情報通信産業 IBM
MCI
AT&T
NCR
③証券・投資銀行業界 米メリルリンチ
米ディロン・リード
英ベアリング
英S・G・ワーズバーグ
米モルガン・スタンレー
ゴールドマン・サックス
④銀行(金融) 米チェース・マンハッタン銀行
米ケミカル銀行
英ロスチャイルド銀行
米モルガン銀行
英スタンダード・チャータード銀行
⑤化学業界 アライド・シグナル デュポン
⑥電機産業 GE(ゼネラル・エレクトリック) フィリップス
⑦自動車・宇宙衛星産業 GE(ゼネラル・モーターズ)
GMフューズ
マーチン・マリエッタ
ゼネラル・ダイナミックス
レイセオン
ボーイング
フォード
ルノー
ブリティッシュ・エアロスペース
ダッソー
ロッキード
⑧その他の分野 AP

ペプシコ

ロイター
元UPI
コカコーラ
⑨アメリカのマスメディア NBCテレビ
ウォールストリート・ジャーナル
USニューズ&ワールド・リポート
ABCテレビ
CBSテレビ
ニューヨーク・タイムズ
ワシントン・ポスト
ニューズウィーク
いわゆる「大恐慌」の真の原因は、アメリカ経済とヨーロッパ経済の葛藤に基づく、こんな単純な話なのだが、世の有名なエコノミストの書いた本によれば、この「大恐慌」の原因は、いまだによくわからないことになっているそうである。おかしな話である。(P.62)

そして、筆者は、学者が単純な話をわかりづらくしていると、糾弾しています。

アメリカから見たEC統合の戦略的意味は、英シオニスト勢力の封じ込めである。シオニスト(ロスチャイルド)色の強いサッチャー政権が反対していたのは当然のことであった。サッチャーの後継者となったメージャー首相は、高校卒業後苦労して、スタンダード・チャータード銀行(ロスチャイルド系)で頭角を現してきた人物であり、出身母体は明らかにロスチャイルド系であった。ところが、首相就任後メージャーはものの見事に旧スポンサーを裏切り、EC統合推進派になり、英国内の「アングロ・サクソン派=反ロスチャイルド」派の支援を受けるようになった。EC統合は、通貨・警察・軍隊・経済政策等々の徐々にではあるが確実な統一を意味し、それはとりもなおさず、英国が保持していた特権の放棄なのである。(P.73-74)

なるほど。となると、今回の英国のEC離脱について、形式上だけでなかなか事が進まないような感じも見受けられますが、アメリカの影響力が弱体化しているなかで、ロスチャイルド側が復権をかけて動き出したと見えなくもありません。

米ロックフェラー財閥と英ロスチャイルド財閥の対立。この宿命の対立が、1993年に大きく和解に向かったのであるが、・・・ともかく、20世紀初頭から明らかになってきたこのライバル関係は、第一に英米を代表する最強の財閥どうしの戦いであった。第二に、この対決にはイギリス帝国主義から真の独立を勝ち取ろうという、新興アメリカ連邦の最後の独立戦争という意味もあった。さらにそれには第三の意味がある。それは中東紛争を巡る両財閥間の対立である。ロックフェラー財閥は、アラブ世界=イスラム世界との大きな和解をめざし、中東和平を推進しようとする。この背後には、アメリカ財界保守本流の「第三世界開発論」がある。それゆえそれと対立するロスチャイルド財閥は、イスラエルのユダヤ=シオニスト派を支援せざるをえなかった。
イスラエルを支持するロスチャイルド。
イスラエルに圧力をかけ、中東和平の永久解決を目指すロックフェラー。
中東紛争を巡って、英米両財閥は最も激しく対立していたのであった。これが、≪ロックフェラー対ロスチャイルド≫対決の第三の意味である。(P.76-77)
80年代前半から「グローバル・ニューディール論」(第三世界開発論)と相対抗する形で、もう一つの世界経済シナリオが提示され議論されてきた。「ハイテク主導成長論」である。「グローバル・ニューディール論」がロックフェラー財閥を中核とする米保守本流によって支持されているい一方、この「ハイテク主導成長論」はロスチャイルド財閥を中核とするシオニスト財界によって支持されてきたのである。(P.83-84)

米・財界保守本流派とシオニスト財界派の系図(P.101)

米・財界保守本流派 シオニスト財界派
ロックフェラー財閥 ロスチャイルド財閥
グローバル・ニューディール論
第三世界開発論
グローバリズム
自由貿易
ハイテク成長論
情報化社会論
アンチ・グローバリズム論
管理貿易
米ロックフェラー財閥も英ロスチャイルド財閥も、もとを正せばドイツ出身である。そして両家ともかつては、反カトリックの同志であり、反英国国教会(アンチ・アングリカン・チャーチ)の同志でもあった。・・・両家とも、当時は紛れもない後進国であったドイツで辛酸をなめつくした。ロックフェラーは、カトリックの貴族が軽蔑してやまなかった製造業に従事して、アメリカ第一の名門財閥となった。一方、ロスチャイルド家も、これまたカトリック教徒によって蔑まれていた金融業に従事して財閥を築きあげる。かつては反体制派だった両家とも、いまや押しも押されもしない堂々たるエスタブリッシュメントである。英国ロスチャイルド財閥派は、かつて7つの海を支配した英国国教会派と組んだ。一方、米国ロックフェラー財閥派は、中南米のカトリック勢力と組み、第三世界の開発を目指す。この両勢力が、共産圏崩壊後の世界を舞台に激闘を続けてきた末に、歴史的な和解に至ったのである。(P.140-141)
そもそも民主党とはどんな党なのか。極論しよう。民主党とはユダヤ人と黒人のための党である。ユダヤ市民の約8割は民主党支持である。彼らは民主党政治家のブレーンの大部分を占め、同時に最大の資金源でもある。1992年の大統領選で、クリントンの個人献金の6割は、全米総人口の3%にも満たないユダヤ系市民からのものであった。

二大財閥の実体・志向・現象(P.250)

  ロックフェラー財閥 ロスチャイルド財閥
実体=政治勢力 アメリカ保守本流派の多国籍企業
これと連携する各国勢力
シオニスト系企業
これと連携する各国企業
志向 グローバリズム ネイティビズム
本質=経済発展の方向 第三世界開発
近代化により、世界経済を発展させる方向
第三世界を敵視し、先進国だけの発展をはかる
現象=社会表層への表れ ①ビジネス的
親第三世界論
第三世界開発論
ハイテク論・地球温暖化論・環境至上主義
反アラブ=反イスラム=反第三世界論
②各国保守
本流の連携による繁栄と平和(真の民族主義)
右派は各地民族紛争の煽動
左派は反民族的進歩主義
③化石燃料復活 原発・核燃料サイクル推進
本書を書きつつ、改めて思ったことは、叩き上げの一代目気質の大事さである。初代ロスチャイルド、初代ロックフェラーの気質には大いに似たところがある。
・質実剛健の気質である。
・そして、義理人情である。
米保守本流を代表する政治家であるブッシュやベーカーにしてからが、名門の出身でありながら、その気質たるやまったく「一代目」の叩き上げのそれなのである。三代目でも四代目でも、質実剛健の気風さえあれば、問題はない。国にしても、企業にしても、どれだけ初代の気質を維持していけるか。それが最大の課題であろう。(P.252)

これは深いです。事業承継の難しさは現在の日本の中小企業でも大きな問題ですが、このあたりは大いに勉強になりそうです。そういう意味でも、財閥が財閥として続いていくそのメカニズムの研究はひとつのテーマとして、研究されていることでしょう。一度、そのあたりについても学ぶべき意味・価値はありそうです。

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「ロックフェラー対ロスチャイルド―巨大対立軸のなか、日本の進むべき道を探る!」への1件のフィードバック

  1. お世話になっております。Inobe.Shionです。こちらのページへのアクセスが非常に多く、感謝しております。コメント等ございましたら、よろしくお願いいたします。語り合って、理解を深めましょう!

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