著者:レナード・ムロディナウ …
最近の個人的なテーマとして、どのように脳のスイッチを適切に切り替えていくかということがあります。このあたりをうまく吸収したいと思っています。(Inobe.Shion) |
内容紹介
激変する現代社会に必要な思考法、それは柔軟的思考である。無意識と想像に支えられた「ひらめき」の術を身につけるための方法論。 あなたの思考は凝り固まっていないか? 欠陥品のミキサーを買ってしまった老いた母が思わぬ方法で新品と交換してみせた発想、 私たちの脳は情報を処理して問題を解決する機械であって、直面する困難を乗り越えるにはもちろん分析能力が欠かせない。 人間の柔軟的思考の能力は、いまから何十万年も前、野生で生きる上での苦境に打ち勝つために進化した。 目次より 内容(「BOOK」データベースより) あなたの思考は凝り固まっていないか?日々難題がいくつも起こる現代にこそ必要なボトムアップ式の創造的な発想法!突飛で革新的な思いつきこそ、目前の問題を乗り越えるパワーがある。脳のしくみの最前線と、脳のスイッチを切り替えて成功を呼び込むための具体的な方法を解説するポピュラーサイエンス。 |
原題は、「ELASTIC」。Elasticとは、 「弾力性のある」「伸縮自在の」という意味。そして、サブタイトルは、「Unlocking Your Brain’s Ability to Embrace Change」これは、邦題にもつけられている「困難を乗り越える独創的な脳」というのに近いところもあります。
柔軟的な思考は、困難を乗り越えられるでしょうか。
役に立つ才能や思考能力というものがいくつかあって、それらはこれまでもずっと有用だったが、いまでは絶対に欠かせないものになりつつある。たとえば、居心地の良い考え方を捨てて、思い通りにならないあいまいな状況に慣れ親しむ能力。型にはまった考え方を乗り越えて、問題を新たな新たな枠組みで捉え直す能力。染み付いた思い込みを捨てて、新たなパラダイムに目を向ける能力。論理だけでなく想像力にも頼り、幅広い考えを生み出して一つにまとめる習性。失敗をものともせずに挑戦する意気込み。それぞれかなり趣の異なる才能だが、その根底にある脳活動が心理学者や神経科学者によって明らかになっていて、ある一貫した認知スタイルのさまざまな側面であることが分かっている。その認知スタイルを私は、<柔軟的思考>(エラスティック・シンキング)と呼んでいる。柔軟的思考をすれば、まったく新しい問題を解決することができる。従来の秩序の向こうがを覆い隠している、神経学的および心理学的な障壁を乗り越えることができる。(p.11) |
柔軟的思考に秀でたコンピュータは存在しないし、動物の中にもそのようなものはほとんどいないが、人間の脳にはその能力が備わっている。そのおかげでポケモンGOの開発者は、自分の脳の指揮機構を黙らせて、「当たり前」の先を見通し、まったく新たな道筋を進むことができた。柔軟的思考と、私たちの心がそれを生み出すボトムアップ的なメカニズムを理解すれば、誰でもその生かし方を身につけて、私生活や仕事の場面で出くわす難題に立ち向かうことができる。(p.12) |
台本に則った振る舞いは、自然界の簡便法の一つとして、たいていの場合は良い結果につながる信頼性の高い対処メカニズムである。本能的なものもあれば習性によるものもあり、多くは交尾や営巣や捕食に関係している。しかしもっとも重要な点として、台本に則った振る舞いは型どおりの状況においては適切だが、反応の仕方が固定されているため、新たな環境や変化する環境では失敗することが多い。(p.13) |
台本は簡便法としては役に立つが、ほとんどの動物の場合、あらかじめプログラムされた台本だけに頼って生き延びるのは難しいだろう。・・・目的を踏まえて状況を判断し、その目的の達成に合わせた行動計画を立てる能力が必要となる。台本に則った情報処理モードが役に立たないような状況に備えて、進化は私たち人間や他の動物に、どのように反応すべきかを計算する手段をさらに二つ提供してくれている。一つは、合理的・論理的・分析的な思考である。これは一つの考えから、事実や理屈に基づいて、それと関連した別の考えを進めていくという、段階的な方法論である。そしてもう一つの手段が、柔軟的思考である。動物種によってその能力の程度は異なるが、もっとも発達しているのは哺乳類、とくに霊長類で、その中でもとりわけ人間が最も脳旅禍高いと考えられる。(pp.14-15) |
柔軟的思考はおもに無意識の中で行われ、複数の思考の連鎖が複数の思考の連鎖が並行して進められる非直線的な処理モードである。ネットワークを構成する何十億個ものニューロンの微細な相互作用を通じてボトムアップ式に結論が導かれ、そのプロセスはあまりにも複雑なため段階を追って示すことはできない。分析的思考と違ってトップダウン的なはっきりした方向性がなく、また感情に促されるという面が大きいために、多種多様な情報を統合し、難題を解決し、困難な問題に挑む新たなアプローチを見つけるのにふさわしい。また、風変わりな、さらには突飛なアイデアを考えるのに役立ち、創造性を引き上げてくれる。(p.15) |
ウィリアム・ジェイムズは、「私たちはなすべき事柄に対して半分しか覚醒していない」と語った。それと対照的な状態が、マインドフルな情態である。マインドフルな状態にあるときには、自分の現在の知覚、感覚、感情、思考プロセスを完全に意識して、それをまるで離れたところから見ているかのように冷静に受け入れる。そのためには精神の観察が必要で、それは難しいことではないが、姿勢を良くするのと同じように常に努力していなければならない。幸いにも、単純な精神訓練によってマインドフルネスを高められることが、最近の様々な研究から分かっている。(p.49) |
1.ボディースキャン
2.思考のマインドフルネス
3.マインドフルな食事
などが挙げられており、週3回から6回を1か月続けると、自動的な反応を避ける能力がはっきりと向上するし、集中力や一つの課題から別の課題へ切り替える能力などが高まるらしい。
この本はノウハウ本というよりは、そういったテクニックよりも、そのおおもとにある科学的根拠に迫った著作でした。