典型的なビジネス小説。青年の成長を通して読者も学んでいくというタイプのものです。引き込まれます。(Inobe.Shion) |
内容紹介
9.5万部突破!! 各メディアで話題沸騰! ! 週刊ダイヤモンド2/2号<目利きのお気に入り>週刊東洋経済2/23号<今週のオススメ! > あなたは凡人? 秀才? それとも天才? 天才肌の女性創業者社長に惚れ込み、起業に加わって10年。会社は大きくなったが、 ◎世の中には「天才」と「秀才」と「凡人」がいる。三者の間にはコミュニケーションの断絶がある。 ◎ビジネスコラムとしては、異例の30万PV、フェイスブックのシェアは2万4000に達した。 ◎本書はこのコラムをストーリーにし、書籍化するもの。 ◎「天才、秀才、凡人の評価軸の違い」「経営におけるアートとサイエンス」「イノベーションと飽き」 出版社からのコメント ★自分と違うタイプには「主語」を切り替えろ 目次 まえがき ステージ1 才能って何だろう アンナは終わった? ステージ2 相反する才能 世界の崩壊を防ぐ人たち ステージ3 武器を選び、戦え 共感の神=根回しおじさん |
典型的なビジネス小説パターン。未熟な青年が、謎の存在のメンターから指導を受けるというやつです。その謎の存在とは、「謎の犬ケン」です。
完璧やから愛されるんちゃう。むしろ逆や。弱点をさらけ出すからこそ愛されるんや。・・・学歴が良くて仕事のできる人間ほど、ヨーク勘違いする。強みで愛されるってな、だどもな、真実は逆や。弱みがあるからこそ人は愛されるんだべ。(pp.30-31) |
人間が抱えるほとんどの悩みは一緒や。それは「自分のコントロールできないことを、無理やりコントロールしようとすること」から生まれている。(p.32) |
人間が一番コントロールしたがるけど、一番の悩みの元になるもの
①自分の才能、言い換えれば「ないものねだり」
②他人
人間の才能は3種類ある(p.34)
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天才は、この世界を良くも悪くも、前進させることが多い。だどもな、彼らは変革の途中で、殺されることも多い。それは物理的な意味も、精神的な意味の含めてや。(p.36) |
●天才・秀才・凡人の関係(p.38)
天才→(マイナスの感情)秀才:興味がない
秀才→(プラスの感情)天才:妬みと憧れの相反する感情
秀才→(マイナスの感情)凡人:心の中で見下している
凡人→(プラスの感情)秀才:天才だと勘違いしている
凡人→(マイナスの感情)天才:理解できないから排斥する
天才→(プラスの感情)凡人:本当は理解してほしい
コミュニケーションの断絶は「軸と評価」の2つで起こる。(p.40)
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天才は「創造性」、秀才は「再現性(≒論理性)」、凡人は「共感性」という軸で、物事を評価する。(p.42) |
大企業でイノベーションが起きない理由ってのは、3つの「軸」を1つのKPIで測るからなんや。・・・それはアートのようなものや。すべての偉大なビジネスは「作って→拡大させ→金にする」というプロセスに乗るんやけど、それぞれに適したKPIは異なる。(p.45) |
「拡大」:事業KPI
「金を生む」:財務上のKPI
「創造性」:測る指標がない
項目 | 創造性 | 再現性 | 共感性 |
ビジネスにおけるバリューチェーン | 創造し | 拡大させ | 金にする |
担当するメインプレーヤー | 天才 | 秀才 | 凡人 |
価値をはかるための指標 | ???(適切なKPIがない) | 事業KPI(CTR、LTV、訪問数、生産性などプロセスKPI) | 財務/会計KPI(PL、BSⅡ載せることができるKPI) |
創造性は、”間接的”には観測することができる。それが凡人の「反発の量」である。(p.52) |
経営はアートとサイエンスとクラフトの組合せ(p.64) |
アートとサイエンスは説明能力に差があるため、直接ディベートにさせてはいけない。(p.67) |
説明能力というのは、行き着くところ、目的に基づいた論理と、多数決しかないんや。誰かが新しいことをやったり、組織が新しいことを始めるとき、「なぜ、それをするんですか?」という質問が出ることがある。これに筋を通すには、本質的に2つの方法論しかない。・・・1つ目は「理屈」。なぜ、いいかを説明すること。再現性の世界や。これは勉強してきた秀才が得意や。もう一つが「共感」や。「皆がやっているからやる」や。いわゆる、流行に乗っかるというやつやな。これは皆の気持ちがわかる。凡人が得意や。そして、流行っていること、それ自体が、実は説明能力が高いんや。・・・実はそれだけで破壊的なパワーがある。そして、半分くらいは、そこに理屈は実はないんや。つまり「よくよく考えると、理屈はないけど、皆が信じているもの」には極めて強いパワーがあるってことや。(pp.68-69) |
単純に”ルールで決められていて、そのルールを知っているから”というのは、いちいち説明する必要がない。これが共感性のすごさなんや。一度広がった「当然のもの」は、破壊的に広がっていく。これは、ビジネスも同じや。1000万人が知っている。使っている。それはな、それだけで凄まじい価値があるんや。ただ、天才や特に秀才は、気に食わないんや。ロジックがないように見えるからな。・・・これが「空気感」の正体や。つまり、空気感というのは「皆が知っていること」からくる影響力や。そしてこの「空気感」は、組織や国を殺すことさえある。(p.70) |
これって、ティッピングポイントにもつながる話ですね。
世の中には「浅い反発」というのがある。「なんとなく嫌い」とか。一方で「深い支持」もある。そして、「広くて浅い反発」と「狭くて深い支持」の割合でそれが本物のイノベーションなのかどうか、がわかる。(p.76) |
広くて浅い反発 vs. 狭くて深い支持(p.76) 9:1~8:2 業界を覆すような破壊的なイノベーション 7:3~5:5 多くの人に使われるサービス 4:6~2:8 既存プロダクトの改善になりえる |
共感性とは往々にして「物語のどこを切り取るか」によって決まる。だから共感性だけを軸にして経営の意思決定をすると「間違う」。だって「浅い」からな。・・・大事なのは「どの部分を切り取り、見せるか」なんだべ。これが共感性を軸にした意思決定は危うい、ということや。(p.84) |
負けることなんてたくさんや。勇気出して配られたカードで勝負してもな、負けるなんてよーさんある。だどもな、もっと大事なのは、自分に配られたカードを世の中に出し続けることなんや。そしたら一つだけ約束できることがある。過去最高の自分い出会えること。これだけはホンマや。才能は絶対磨かれていく。そして見たことのない自分に出会える。これが才能を使うことの最大のメリットなんや。(p.111) |
ジョハリの窓の「未知の窓」とも通じるところでしょう。そのゾーンの未知の自分を発見していけるということでしょう。
三人のアンバサダー(p.117) ●エリートスーパーマン(天才×秀才) 創造性あり 再現性あり ビジネス大好き ●最強の実行者(秀才×凡人 会社のエース どこでも大活躍するが、革新は生まれない ●病める天才(天才×凡人) ・天才と凡人を橋渡し、構造的に捉えるのが苦手 |
天才、秀才、凡人、この三者のコミュニケーションは、「軸」が違うから永久に交わることがない。その理由の根源は「主語の違い」である。主語が、「人」「組織」「世界」の3つに分かれる。(p.125)
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●凡人・秀才・天才の7タイプ(p.133)
タイプ | 主語 | |
凡人 | I | 自分 |
Y (You) | 相手 | |
W (We) | 家族や仲間 | |
秀才 | K (Knowledge) | 知識 |
R (Right or Wrong) | 善悪 | |
天才 | X (存在) | 世界は何でできてるか |
Y (認識) | 人々は世界をどう認識するか |
最強の実行者を巻き込む質問は、「あなたなら、どうしますか?」というのがキラークエスチョン。この質問はまさに、主語を変えるためのものやから。・・・凡人が秀才を説得できないときの解決方法は「主語」を変えること。それがこの質問。「あなたならどうするか?」で聞いてみる。その上で「自分の想いを伝える」。最強の実行者は、共感性もあるから、自分をサポートしてくれる。(pp.134-135) |
この「あなたならどうしますか?」というのは、天才と話す時にも有効や。ただ、天才と対峙するときは、「問い」の準備が必要。魅力的な問いを用意すること。天才の好奇心を刺激するような問い。これとセットで初めて、あなたらどうしますか?という質問の価値が出る。(p.136) |
大人が使う言葉を見てみい。ほとんどの言葉は「他人が作った言葉」なんや。たとえば、利益とか、会社とか、マーケティングとか、こんな言葉はそもそも、この世には存在してない感情や。会社や組織、国家という「幻想」が作り出した、便利な言葉なんや。自らの言葉と、便利な言葉。この2つ、両方あってはじめて、社会は回る。でもな、人の心を動かせるのは、便利な言葉ちゃう。魂を揺さぶる、自分の腹から出た言葉や。そして「便利な言葉」は、秀才の武器や。でもな、「自らの言葉」は、凡人の武器なんや。凡人こそが抜くことが許された、最強の剣、エクスカリバーなんや。(p.179) |
凡人が「最強の武器」を手にするための、二つの方法(p.180) 1.他人の言葉をデトックスすること 2.白状すること |
なぜ、人が他人の言葉を使うか、わかるか?それはな、楽やからや。圧倒的に。他人の言葉は便利や。自分が主語じゃないから、意思もいらない。究極的に、他人のせいにもできる。それはそれで悪いことちゃう。人が生きていくために生み出した、技術やからな。でもな、ホンマに人を動かしたいと思ったら、そんな言葉じゃあかん。自らの言葉を使うんや。(p.189) |
武器には組合せがある(p.191)
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才能を信じ、活かすことの最大のメリットは、過去最高の自分に出会うこと。(p.197) |
この言葉、力強いですね。上にも書きましたが、私も以前転職したときのテーマとしては、「まだ見ぬ自分を発見すること」ということを一つのテーマとしていたのですが、そのことを思い出しました。そうです、「未見の我」です。常にその「未見の我」に出会うため、チャンレンジングなところに身を置くように心掛けなければと改めて思いました。