著者:三河 進 ….
「5つの問題解決パターンから学ぶ実践メソッド 」というサブタイトルがついており、実践メソッドをしっかり学びたいと思います。(Inobe.Shion) |
内容紹介
BOMとは、製品を構成する部品リストのこと。グローバル化による製品バリエーションの増加、開発期間短縮、開発・生産プロセスの分散化、またコンプライアンスの強化、IoT、AIに代表される新しいテクノロジーの登場などなどにより、BOMが果たす役割は多様化し、再構築の機運が大きくなっています。本書は、実際のBOM再構築プロジェクト事例をモチーフとして整理した5つの問題解決パターンを解説します。 内容(「BOOK」データベースより) 「本編」では、事例に基づいたプロジェクトの推進経緯について、一貫してBOM再構築が必要な背景と環境変化、それにより発生した問題点、問題点に対する解決方法、プロジェクトの進め方と活動体制を問題解決パターン別に整理する。「解説」では、目的別BOM、部品番号のあり方、BOMの履歴管理、BOMの管理システム機能、モジュラー設計手法、業務要件定義の方法、RFP(提案依頼書)の記載方法など、一般に流通していないBOMに関するノウハウや、プロジェクトの現場で生まれた実践的なツールに関する情報を提供する。 |
まず、BOM(Bill of Material)とは、部品表や材料表と呼ばれる製品を構成する部品のリストである。
サブタイトルの5つの問題解決パターンとして、以下のように類型化されています。
- グローバル開発・生産への適合型
- シングルBOMから目的別BOMへの変革型
- 技術情報のグローバル一元管理型
- 仕様の多様化とリードタイム短縮の両立型
- 図面文化からの脱却型
製品の品質やコストは、設計の段階で大部分が決定されると言われる。開発の初期段階から製品構成を模したBOMを作成するのは、それに付随する情報を追加することで、設計の成果や進捗を共有することがねらいである。(p.12) |
製品コストの80%は、出図前に決まると言われる。出図後にコストダウンを検討するよりも、出図前に十分に検討する方が、制約がはるかに小さいからだ。BOMにコストの目標や見積値、実績値を登録し、達成度を管理するのである。コストは、生産技術や購買が実際の見積を行うので、出図前のBOMに付与されたコスト情報を共有しながら部門横断で検討を行う。(p.12) |
BOMは生産管理プロセスにおけるマスター情報であり、生産はこれに基づいて計画的に実行される。設計部門からリリースされたBOMを完成させる。…BOMの精度が高いと、生産プロセスの精度は高くなる。逆に精度が低いと、マニュアル管理が増加し、管理負荷の増大やミスの発生など、円滑に生産が進まないという問題が発生する。(pp.12-13) |
BOMはサービスパーツとして供給可能な部品のリストを提供する。また生産設備などの受注生産型のメーカーでは、保守・サービスの場面で、出荷した製品構成を正確に特定することで、メンテナンス時間の短縮、保守履歴の綿密な管理が可能となる。このようにして、継続的な顧客との関係性を築くすることに貢献するのだ。(p.13) |
●BOMの各業務プロセスにおける目的
業務プロセス | 目的 |
開発・設計 |
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生産 |
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保守・サービス |
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開発・生産プロセスのグローバル化がBOM再構築の契機になっている。これは、グローバルにビジネスを展開する多くの自動車業界のメーカー、電機メーカー、産業機械メーカーなどで発生数する課題である。(p.14) |
●コードの原則(p.42)
- 環境変化に左右されず、過去~将来にわたって可能な限り「一元性の原則を保証」できること
- コードに「固定的意味を持たせず」、変動項目はすべて「属性」として扱う
- 「1物1コード」の原則
●品番方式の比較(p.47)
フェーズ | 特徴 | メリット | デメリット | 適用企業 |
方式1(意味なし品番) | 1物をユニークに識別することだけに役割を果たす |
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多数の事業を有する大手グルーバル製造業 |
方式2(一部意味あり、一部意味なしのハイブリッド) | 意味なし連番と意味ありコードの組合せで構成 |
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複数の事業を有する中堅グローバル製造業 |
方式3(意味ありコード) | コードに意味を持たせ、それ自体で分類や意図を伝達 | 視認性が高い |
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事業数が少ない中堅製造業 |
●設計BOMと生産BOMの違い
- 設計BOMはE-BOM(イー・ボム:Engineering BOMの略)、生産BOMはM-BOM(エム・ボム:Manufacturing BOMの略)と呼ぶこともある。
- 設計BOMは開発部門がリリースするBOMのことで、技術的な観点で製品構成を階層的に表現したものである。PLMシステムの中で管理されることが多い。
●設計BOMと生産BOMの比較
比較観点 | 設計BOM | 生産BOM |
生産管理、生産技術、購買 | 開発、設計 | 生産管理、生産技術、購買 |
管理システム | PLM | ERP、生産管理システム |
表現する構成 | 技術的な観点の製品構成 | 実際に生産するための生産構成 |
管理、付随情報 | 図面、3Dモデル、仕様書、実験結果など技術検討資料 | 製造LT、調達LT、サプライヤー、生産ライン、有効期間、取引価格、梱包形態など生産、調達、物流に必要な情報 |
●改革プロジェクト成功7つの法則チェックリスト
- 明快な改革コンセプト
- 本質的な問題へのアプローチ
- 定量的な成功基準と結果指標のマイルストーン管理
- 意思決定を迅速にする実行体制
- 改革への関心を持続する経営幹部
- 部門間調整を円滑にする事務局
- 改革を定着・継続する情報発信
結局は適切なデータ管理方法というところに行き着くのではないでしょうか。