創造力を鍛える マインドワンダリング

創造力を鍛える マインドワンダリング-モヤモヤから価値を生み出す東大流トレーニング- (B&Tブックス)

著者:中尾 政之、井熊 均、上田 一貴、木通 秀樹、劉磊 … 

先日読んだ、『退屈すれば脳はひらめく』という本に、この「マインドワンダリング」という言葉が出てきましたので、それに関して深掘りしたく手に取ってみました。これからの時代、「自説形成」は必要不可欠であり、その能力を高める助けとなるのが「マインドワンダリング(心の彷徨)」と捉えておいていいと思います。そのマインドワンダリングの方法と実証実験の結果がまとめられています。(Inobe.Shion)

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内容紹介

本書は、ユニークで価値ある考えやアイデアを生み出し、それを具現化する能力を養う本。独創的なアイデアとは、どんなときに生まれ、より多くそれを生み出すためにどんな準備が必要なのか、実際のアイデアノートやワークを紹介しながら今日から何をすべきかがわかる本。

内容(「BOOK」データベースより)

仮説から創造へ。AIにはできない、人間の能力を磨く。

脳科学によると、自説形成は、何かに集中しているときでなく、無意識にいろいろな記憶を思い起こして脳の中にアチコチが発火している、「マインドワンダリング(心の彷徨)」のときに起こるらしい。自説形成には、演繹や帰納のような論理性は必要なく、脳内で想起している記憶群を使った直観、つまり「アブダクション(仮説生成)」だけで十分である。(pp.i-ii)
現代は、脳波が正確に測れるようになて、自分の脳が今、マインドワンダリング状態に入ったことがリアルタイムで見て取れる。このときに、違和感や感動をキッカケにして、閃きやアイデア、直観、夢、抱負のような仮説を立てる。さらに立証はあとでやるとして、忘れないうちにノートにメモしておけばよい。自説を多く「貯金」している人ほど、イザというときの交渉の場(学生ならば採用面接)で、過去に考えておいたものを取り出すだけで気の利いた解を短時間で提案でき、相手は「この人は地頭が良い」と感じるであろう。(p.ii)

マインドワンダリング状態に入ったことがリアルタイムで分かるというのはいいですね。また後で出てくると思いますので、そちらで。

 

研究者は、真実にいきなり近づくような、イントゥイション(intuition、直観)が必要である。これが身についていないと、アブダクションできない。(p.4)
アブダクション能力は、発明・発見のような世界レベルの仕事をするときだけに有用というわけではない。何の対象に対してもアブダクションは有用であり、面白い自説を創造できる。そして創造すると、結構、人生を楽しめる。(p.5)
っ雑念を除いて因数分解やデッサンに一心不乱に集中するときのような、いわゆるフォーカス状態では創造力を使っていなかった。・・・その集中時に創造を思いつくわけではなかった。それよりは、歩行中や電車内、トイレや風呂、布団のな中、食事中や酒場の中のような、どうでもいいところで思いつくのである。このとき、違和感を起点にいろいろなことを思い浮かべて思考対象を展開するので、その結果、脳は混沌としたモヤモヤ状態になる。つまり脳科学でいうところのマインドワンダリング(心の彷徨)状態が重要であった。(p.6)
雑念を捨てた集中から、違和感を拾った展開へと脳の動きを意識して移行させ、街に出て違和感を拾い集め、自説をノートに記すという循環を実行する。こうすると、少しずつ発見に近づいていくのである。(p.7)
イノベーションや創造という成功は、あるときに突然、不連続的に天啓のごとく閃くものでもなかった。その前に、ジタバタして怪しげな自説をたくさん考え出さねばならない、という前駆的状況が不可欠だったのである。(p.41)
ちょっと休んで「この実験の目的は何だったっけ?」を自問するのが肝要である。この“目的の再認識”も、成功のための”お作法”の一つであろう。(p.41)
一見無駄に見える時間内にとにかく自分の仮説を提案し続け、モヤモヤした状態を維持することが、次のイノベーションや創造を生み出すのではないか。(p.42)
設計者には「こうすると売れるはず」と、自信過剰であるが熱く語るようなアブダクション能力が求められる。だが、そのアブダクション能力はいつもどこでも誰でも発言するとは限らないのである。(p.51)
雑念を捨てて集中することはひとまずやめて、その逆に、脳の中であれこれと雑念をたくさん想起させ、マインドワンダリングの状態に脳を追い込むことを提案する。・・・次に、マインドワンダリング状態で生まれた雑念や妄想、思い付き、違和感、気づき、満足感のような漫然としたモヤモヤを、ノートに絵や記号、言葉で書き留めたり、レコーダに声を録音したり、カメラで写真を撮影したり、粘土やレゴブロックで形を作ったりして残しておく方法も加えて提案する。(p.52)
一般に創造を形成するには、論理的な導出である帰納(Induction)や演繹(Deduction)だけではなく、ときには思考の飛躍である仮説推量(Abduction)が必要である。・・・新しいアイデアには、夢のような突飛な思考のジャンプが有効である。問題は、どうやって意識的にジャンプするかである。(pp.59-60)
1日に10分間でも良いから、自説を考えてノートに書き込み、自分の持ち球を増やすような、日々の訓練が必要である。(p.60)

そしてその訓練として、「マインドワンダリングをしながらモヤモヤをノートに書き留めてみる」ということをこの本では推奨しています。

誰でも簡単に「マインドワンダリング」に移行できる方法が必要になる。脳科学によれば、呼吸を数えることが最も簡単に瞑想状態に移行できる方法であるらしい。・・・マインドワンダリング状態に移行後、アレコレと考えるのは長くても30分間である。それ以上は疲れるし外乱も入る。しかし、30分間と言わず、たった10分間でも、静かに考えられる場所というのは案外、無いものである。(p.61)
創造に一歩、近づくには、手帳でもノートでも1冊持ち歩き、マインドワンダリングの瞑想状態に入って、そのときに自説を思いつくままに書く癖をつければよいだけである。(p.62)
創造的思考は古くから多くの研究者の研究対象になってきた。研究者という職業がそもそも創造性を必要とするものであり、創造性を高めるための創造的思考のプロセスの解明は研究者にとって魅力的なテーマなのである。(p.70)
これまで、創造的思考について、さまざまな仮説モデルが提唱されている。代表的なモデルとして、アメリカの科学者であるワラスが提唱したもので、創造的思考を4つのプロセスに分けて説明している。

●準備(preparation)
●孵化(Incubation)
●閃き(Illumination)
●検証(Verification)

新しい価値観を創り出すような場合、自分が持っている論理を適用して推論を重ねていく「準備」段階も重要であるが、集中して考える状態からいったん離れて、アイデアを温める期間も必要になってくる。

また、人間の思考プロセスには大きく分けて2つのシステムがあるとして、(Evans, 2008)が挙げられている。

分析的処理 直感的処理
意識的 無意識的
顕在的 潜在的
統制的 自動的
時間をかけた処理 素早い処理
分析的・熟考的 経験則
言語的 非言語的
閃きは、この直感的思考システムに属するもので、この処理システムの性質上、良いアイデアを閃いた本人もどのようにして閃いたか言葉でうまく説明できない。閃きに至った無意識の暗黙知を形式知化することは難しいのである。(p.72)
創造的アイデアは、いきなり天から降ってくるように何もないところから生まれるわけではない。自分の記憶の中にある「知識」と「知識」をまく結び付けて、オリジナルで価値あるアイデアが生まれるのである。つまり、創造性とはものを結び付ける能力であると言えよう。(p.78)

著者の経験から下記が挙げられているので参考にしたいと思います。

脳の機能を高めたと思われるトレーニング
①社会の動きを定点観測のようなイメージでインプットし続けること
②ストーリーづくりを続けてきたこと
③現場に出続けていること
④体を鍛えてきたこと
⑤向上心を保ち続けること

マインドワンダリング・・・北宋の政治家、文学者であった欧陽脩は、良いアイデアが生まれやすい状況として、三上(馬上、枕上、厠上)を挙げていますが、まさにこう言ったリラックスした状態のこと。この状態のときに、自由に彷徨して、その思い付きをメモしていく。その小さな積み重ねで、アイデアストックを作っていくことは本文にも書かれていますが、意味多き活動だと思いますので、お勧めします。

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