著者:大阪大学ショセキカプロジェクト …
サブタイトルに「越境する学問―穴からのぞく大学講義」とあります。本当にこういうことがまさに学問だと思うんですよね。ある世界に入ってしまうと、その世界の常識に染まってしまいがちです。ですが、越境することで、新しい見方を得て、「疑問」が湧いてくる。そこが面白いところですよね。最近、大学の先生にも「サバティカル」という使途を離れて自由に使える長期休暇制度があるらしく、こういうのはその人のポテンシャルを広げるのに非常に役に立つと思います。(Inobe.Shion) |
内容紹介
「あなたは、ドーナツをアカデミックな眼差しで見つめたことはありますか?」 web上で話題になった「トンチ問題」に、阪大教員が本気で挑みます。 人文科学・自然科学・社会科学。学問領域を問わず、各学問の専門家である阪大教員が、専門知識を駆使して、ドーナツを穴だけ残して食べてしまいます。その他、ドーナツにちなんだコラムを収録し、世界各国のドーナツも紹介します。 第0章ドーナツの穴談義のインターネット生態学的考察(松村真宏) |
このプロジェクトなんですが、大阪大学の学生と大阪大学の教員、大阪大学出版会の三者が一緒になって、大阪大学の知を世の中に魅力的にプロデュースする本を作りたい、という想いから作られたもののようです。2014年2月に出版されているようなんですが、第二弾はまだ出ていなさそうです。なかなか書籍化は大変だと思います、書籍化することが目的ではないと思いますが、毎年、コンスタントに出していくような活動になっていってほしいと希望します。
文化を構成する要素として人から人に受け継がれる情報は「ミーム」と呼ばれている。「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」という定型文や冒頭で紹介したコピペも、進化と淘汰の末に生まれた一種のミームとみなすことができる。ミームが生まれたということは、見方を変えればそこに我々が共有するに値する新たな価値観が見出されたということでもある。(p.12) |
さて、以下では様々な分野の専門家が真面目にしかしユーモラスな面も出しながら、それぞれの専門の観点でこの命題「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」について執筆しており、楽しませてくれると同時に、知的好奇心を刺激してくれる一冊です。
冒頭にも書きましたが、こういったタイプの書籍をいろいろな人が読んでほしいし、質の良い本がどんどん出てきてほしいです。