価値の探究者たち

価値の探究者たち

価値の探究者たち
著者Ronald W.Chan

内容紹介
株式投資を志すファンドマネジャー、株式取引に携わる金融マン、株主との対話に臨む企業経営者など株式市場の役割に関心をもつすべての人々に送る、日米欧アジア12人の「バリュー投資家」からのメッセージ!◆株式投資の諸流派のなかに、ひときわ異彩を放つ「バリュー投資」(value investment)という一派がある。『証券分析』の著者ベンジャミン・グレアムを祖として1920年代のアメリカで生まれ、ウォーレン・バフェットというスターを生んだ。本書はグレアムやバフェットと同じ時代を生きたウォルター・シュロス、アービング・カーンをはじめ、長年にわたって卓越した業績を残した日米欧アジア12人のバリュー投資家へのインタビューを通じ、バリュー投資家の生きざま、人間性、投資哲学を浮き彫りにしている。

◆「バリュー投資」とは、「株価が本質的な価値を大幅に下回る株式を購入し、株価に本質的価値が反映されるまで保有し続ける」手法である。株式は企業のビジネスの価値を体現し、企業価値の算定については多くの洗練された手法がある。しかし、驚くべきことに、本書に登場するバリュー投資家のなかにそうした数量的な手法に依存する者はいない。「価値」のとらえ方は、あくまで投資家独自のものである。そして、その独自にとらえた価値が現実の株価に反映されるまで、ときには10年以上にわたって株式の長期保有を続けるのだ。

◆効率的市場仮説、短期的な株価の変動を収益源とする高頻度取引、人工知能を活用した銘柄選択などが脚光を浴びる現在、バリュー投資家は特異な存在かもしれない。しかし、彼らは生き残り、いまでも優れた業績をあげ続けている。株式市場が企業の本質的な価値を見出し、リスクマネーを供給するという本来の機能を果たすために、バリュー投資家という存在が必要なのだ。バリュー投資家の実像を知ることは、株式投資家のみならず株式市場の役割に関心をもつすべての人々になんらかのヒントを与えてくれる。

著者について
ロナルド W.チャン(Ronald W. Chan)
香港を拠点とする資産運用会社チャートウェル・キャピタル・リミテッドの創設者。アジア太平洋地域の金融の専門紙や雑誌に多くの寄稿をしている。また、『バフェット合衆国―世界最強企業バークシャー・ハサウェイの舞台裏』(パンローリング刊)の著者でもある。ニューヨーク大学スターン・スクールで、ファイナンスと会計の学位を取得。自らの投資家としての人生に疑問をもったことが、本書執筆のきっかけになった。

★読書前のaffirmation!
[きっかけ・経緯] タイトル「価値の探究者たち」・・・に惹かれました。どんな価値なのでしょうか。
[目的・質問] どうやらここでの価値は「投資」目線での価値のようです。原題も The Value Investors なので、まさに「バリュー投資」です。うーん、タイトルから受けるイメージ、、、少し違いますねぇ。
[分類] 338.1: 金融市場.資金, 資金

 

冒頭に「発刊に寄せて」というところでおもしろいことが書かれています。

投資家の回想録も、投資について学ぶ者を失望させることがほとんどだ。多くのページは投資の哲学を述べることに割かれていて、どうやって銘柄を選べばいいのかといった実践的なアドバイスは少ない。とはいえ、成功をおさめた投資家たちの回想録は十分に読む価値がある。一般論ではあるが、こういった著作には実際に通用した投資のアプローチが記されている。また、投資の成功にとって重要な一側面、すなわち、投資の成功は数学的あるいは技術的な能力より投資家の人間性にかかっていることを示している。これこそ、投資家の回想録が一貫して伝えているメッセージなのである。(p.3)
バリュー投資のコンセプトは、ベンジャミン・グレアムがファンダメンタル分析の考え方を提唱した1920年代後半のアメリカで生まれた。このコンセプトは数十年間にわたって進化し、今日のバリュー投資家が投資対象を探す方法は50年前のバリュー投資家のそれとは異なっている。「バリュー」は時間の経過とともに変化するのだ。私はこの「バリュー」の進化を研究するため、世界中を旅して、さまざまな地域の、異なる世代に属するバリュー投資家にインタビューすることにした。(p.6)

なるほど。そういう主旨だったのですね。「バリュー投資」というのが進化していった過程を探求すると。

私は以前、前コカ・コーラ社長のドナルド・キーオに、よりリーダーになるために必要なものは何かと尋ねたことがある。リーダーといってもさまざまで、だれがよいリーダーになるかを言い当てるのはむずかしいというのが彼の回答だった。私は、本書を書いたことで、彼の言葉が投資にも同様に当てはまると思うようになった。よい投資家といってもさまざまで、だれのアプローチがいちばんなのかを決める厳格なルールなど何もないのだ。(p.255)
本書で取り上げたバリュー投資家を特徴づける表現として、“謙虚”という言葉が最も適切だろう。謙虚さそのものが美徳であるが、投資においては不確実性に備える安全息の概念と結びつく。・・・謙虚さは、投資家に安全域を求めることを促すだけではなく、オープンマインドにもさせてくれる。マーク・モビアスが言った通り、「先入観がなく広い心でいれば、世の中が変化することを受け入れ、変化に後れをとらうよう新しいことを絶えず学んでいくことができる」。(p.256)
ファイナンスの本を読んだり、企業価値評価の講義を受けたりすれば、誰でも投資対象の公正な価値を評価できるようになる。難しいのは定性面からの分析だ。よいバリュー投資家には、ビジネスの持続可能性を予測する経験やノウハウが必要とされる。(p.259)
よい投資アイデアは、単純に幸運によるものだと考える人もいるが、昔ローマの哲学者セネカが「幸運とは準備とチャンスが出会うときに生まれる」と書いていることに留意すべきだろう。(p.262)

この上の言葉は、あらゆることに言えることですね。

本書に登場するバリュー投資家は、少なくとも3年~5年の投資期間を設定する傾向にある。売れどきを決める際に彼らが重視するのは、投資の保有期間よりも投資の価値評価である。(p.264)
最後に、バリュー投資の父ベンジャミン・グレアムの言葉で締めくくろう。「投資家にとって一番厄介なの存在、最も悪しき敵でさえあるものは、自分自身であろう」(p.270)

最後の言葉は含蓄がありますね。自分自身・・・・これまたあらゆることにおいて、最大の敵であり、最大のライバルなんでしょうね。

帯にある「人工知能にはたどりつけない境地がある」というのはまったくもって、関係のない話のように感じましたね。

 

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