グロービスMBAで教えている 交渉術の基本

グロービスMBAで教えている 交渉術の基本―――7つのストーリーで学ぶ世界標準のスキル

グロービスMBAで教えている 交渉術の基本
―7つのストーリーで学ぶ世界標準のスキル
著者:グロービス

★読書前のaffirmation!
[きっかけ・経緯] 教科書的に改めて交渉術を学びたく思いまして。
[目的・質問] 交渉術をマスターする。

さて、まずは、交渉の二つの型について書かれています。

一方の要求(得)がもう一方の譲歩(損)になるような関係を「ゼロサム」状況と言います。また、ゼロサム状況の中である一定の価値をそれぞれがどれくらい得られるか分配し合う交渉を「価値分配型」交渉と言います。交渉事はすべてこの価値分配型交渉だと見なしてしまう傾向がしばしばあります。こうした傾向のデメリットは、目先の短期的な損得勘定にとらわれてしまうことです。これに対して、双方が得られる価値の合計を最大化する、いわば「お互いの得られるパイの大きさ自体を大きくする」ことを目指す交渉を「価値創造型」交渉と言います。もともと交渉前に見えていた価値に、新たに生まれた価値を加えたうえで、双方でそれを分配することになります。(P.8-9)

交渉は、価値分配型交渉と価値創造型交渉があるということです。常に創造型で模索するアプローチでいきたいですね。

 

ペンシルベニア大学ウォートン校で交渉術を担当し『無理せずに勝てる交渉術』の著者であるG・リチャード・シェルによれば、優れたネゴシエーター(交渉者)に共通する姿勢として以下の4つがあると言います。(P.11)

  1. 積極的に準備する
  2. 目標を高く設定する
  3. 相手の話に耳を傾ける
  4. 誠実である

この4つの姿勢、身につけたいですね。

 

さて、以下はこういった交渉関連のお話の際に出てくる用語解説です。

BATNA
交渉において、もしこの交渉が決裂したらどうなるか、自分はどう行動するか、相手はどう行動するかを、あらかじめ見極めておくことは極めて重要です。これは交渉に関する最も重要な古典的概念のひとつで、BATNA(Best Alternative To Negotiated Agreementの略)と呼ばれています。(P.27)
留保価値(Reservation Value)
留保価値とは、これを下回れば絶対に交渉で妥結しないという最低条件を指します。通常は、BATNAの条件イコール留保価値です。(P.27)
ZOPA
双方の留保価値の間は、言い換えれば、「この範囲であれば交渉が妥結する可能性がある」という範囲です。これをZOPA(Zone Of Possible Agreementの略)と呼びます。(P.28)
アンカー
実際の交渉では、交渉者が最初から目標値を相手に表明していくとは限りません。つまり、最初の言い値は、その後の譲歩分をあらかじめ織り込んで、目標値プラスアルファの値を言ってみることがしばしばあります。・・・こうした行為は、交渉ではごく一般的にみられることで、アンカリング(Anchoring)と呼ばれており、そのようにして表明された点はアンカー(Anchor)と呼びます。(P.29-30)

これら用語は覚えておきたいですね。関係性については、こちらで検索される図をご覧ください。

 

交渉術の古典ともいえる著作『親版ハーバード流交渉術』の共著者ロジャー・フィッシャー、ウィリアム・ユーリー、ブルース・パットンは、交渉において相手の力が強いときにすべきこととして、次の二つを挙げています。

  1. 受け入れられない合意を押しつけられないように守り固める。
    ⇒自らのBATNAを正確に認識する。
  2. できるだけ自分の利害を満足させるように手持ちのカードをフルに活用する。
    ⇒自らのBATNAを積極的に開発する。すなわち、見込みのある代替案にさらに改良を加え、実際的な代替案とする。

フィッシャーらは「BATNAを認識し、これを発展させることは、見るからに強力な相手と交渉するときに取りうる、おそらく最も効果的な方法である」と述べています。(P.37-38)

この本、名著ですよね。機会を見つけて、読まないと・・・・。

これから相手とどう交渉していこうかという戦略を立てるうえでは、ZOPAの中で目標値をどう置くかも、以下の理由から重要になってきます。(P.39-41)

  1. 不用意な譲歩を避ける
  2. 自信に裏打ちされた言動が相手への説得力につながる
  3. 自分側の利害関係者に安心感を与える

この「不用意な譲歩を避ける」という部分ですが、次のことも重要です。

 

気持ちで負けてしまうと、しなくても済む譲歩を様々な場面でついしてしまいがちなものです。この積み重ねが、価値を譲っていないように見えて、気が付くと不利な状況(本来の論点でも譲らざるを得ない状況)を作り出してしまうのも、よくある話です。・・・そこで、気持ちで負けないようにする一つのアプローチとして、高い目標値を意識することで自分を律してみましょう。(P.40)

テクニックもありますが、「気持ち」は思っている以上に交渉では大事ですね。

交渉の現場において相手との価値の違いを発見するのは意外に難しいものです。その理由として、以下のような思い込みが挙げられます。(P.69-70)

  1. 自分と相手で環境が同じだという思い込み
  2. 立場が解決策を規定するという思い込み
  3. 自分と相手で時間に対する感覚が同じだという思い込み
  4. 論点は所与のものだという思い込み

こういった交渉はやはり場数を踏まないとなかなかうまくいくものではありません。

私の通っていた大学院では交渉のロールプレイイングの授業があってこれは非常によかったです。2回受けました。やはり、座学だけでなく実際にやってみると難しいものです。このときも「準備」の重要性は教えられました。大きな勝負の時は、どれだけ「準備」できているか・・・ですね。

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