軍事システムエンジニアリング

軍事システムエンジニアリング―イージスからネットワーク中心の戦闘まで、いかにシステムコンセプトは創出されたか

軍事システムエンジニアリング―イージスからネットワーク中心の戦闘まで、いかにシステムコンセプトは創出されたか
著者:大熊 康之

★読書前のaffirmation!
[きっかけ・経緯] マネジメントプロセスのひとつとして、NCWというのが挙げられていたのを見て、NCWとは何ぞや?となってこの本に行きつきました。
[目的・質問] NCWとは何ぞや?を学ぶ。

NCWとは、Network-Centric Warfareの頭文字をとったもので「ネットワーク中心の戦闘」というものです。本書のメインタイトルにも“軍事システム”とあるところからも想像されるように、米軍の軍事システムでの話になります。

米軍は、凄まじい勢いで大変革(トランスフォーメーション)に挑戦している。その米軍の中でも、「“ソ連のミサイル”から“多様な非対称脅威”へ」という戦闘シナリオの大転換期に、先見性のある「コンセプト」を考え、費用対効果性のある「プロジェクト」を立ち上げ、指導し、一貫して全米軍の軍事革命および大変革を先導しているのは海軍のリーダーたちである。その彼らの代表格が、弾道ミサイル防衛の中核システムである“AEGISの父”マイヤー、軍事革命理論“System of Systems”コンセプトの創案・指導者オーエンス、そしてと濫訴フォーメーションの指導理論である“NCWの父”セブロウスキーの3提督である。(P.1)

さて、本書の内容とは少し離れますが、興味深いものの捉え方が書かれていましたので、引用します。

大規模・複雑なシステム(System-of-Systems、以後、S-o-Sと略記)のエンジニアリングを学び取り体系化するための基本的な方法は、東西2人の鬼才の叡智に倣うこととする。1人は、我が国の哲学史上最高の独創的学者として国際的評価も極めて高い西田幾太郎である。彼は、「偉大な思想家の書を読むには、その人の“骨というようなもの”を掴まねばならない。そして“多少とも自分がそれを使用し得る”ようにならなければならない。偉大な思想家には必ず骨というようなものがある」と述べた。・・・2人目は、数学市場の超難問「フェルマーの最終定理」証明の快挙を成し遂げた米プリンストン大学ワイルズ教授である。彼のアプローチの核心は、近年における世界の優れた数学者たちの“あらゆる成果を徹底して総動員し、これらのアイディアを結合して問題の未解決の空隙をジグソーパズルのように次々と埋めることによって、全体として全く新しい概念を創造した”ことである。(P.9)

思索と体験 (岩波文庫)フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

これはここに限らず、モノの見方・学び方・使い方に汎用的に使えそうです。良い情報を得ることができました。

NCWはConceptである。Conceptは、米軍全体としての兵力整備に関する中長期的な政策決定過程の「Vision(構想)-Concept(コンセプト)-Capability(能力)」の系統において位置付けられている。また、この過程は、中期から長期までの個々のシステム構築過程の「Strategy(戦略)-Task(任務)-Technology(技術)」と互いに密接に関連をもっている。2つの系統はそれぞれトップダウン(Top Down)/帰還・反復(Interactive)の思考過程に基づいて進められる。(P.222)

 

 

図示すると、下記のよぅな形になります。興味深い図です。(図47を修正)

NCW

この系統のリーダーである個々のシステム開発プロジェクトマネージャーは、政策決定系統の考え方との整合を図りつつ、自らの所掌システムについて、戦略 – 任務 – 技術の考え方の一貫性を確保することが重要である。本系統の思考/事業化過程のキーポイントは、当該システムのコンセプト策定を中心とする“Task(任務)”のシステムエンジニアリングである。(P223)
セブロウスキー提督とガルストカ氏は、NCWの潜在的影響力とナポレオン時代の“フランス国民召集”(という大変革)の影響力とを比較した。損考察から、NCW及びこれに関連する軍事革命の決定的な“力”の源が、アメリカの社会における「情報技術」並びに「ビジネスの過程と組織」に関する下記の3つの枠組みの転換によって生み出されると発想した。(P.2223-224)

  1. Platform-Centric Computing から Network-Centric Computingへの転換
  2. ビジネスの競争行為を行う人々を「個々の独立的な人」と観ることから「とぎれなく適応する生態系の一部」と見なすこと
  3. ビジネス界の奏者たちの特長が、強力な情報基盤グリッド、センサーグリッド及びトランザクショングリッドからなる緊密に結合された組織を有し、それらが情報を共有していること。
NCWの理論体系は、独創的発想の核心部分の外に、次に述べる多くの先人たちが築き上げた指揮管制に関sる先進的な考え方を組み合わせて構築されている。(P.225-226)

  1. Speed of Command(意思決定・実行サイクルの迅速化)
  2. Effect-based Operations(効果中心の作戦)
  3. 指揮構造の平坦化
  4. 「CWCコンセプト+ドクトリン」×「指揮官の意図」×「交戦規程+指揮官の拒否権」
  5. Infostraucture System(情報構造システム)

以上のように、これまでの情報基盤の充実によって、より動的に動く組織というような感じでしょうか。

奥が深く、これだでは学びきれていませんが、いかんせん参考書物が少ないということもあり厳しいところもありますが、また機会があったらこの知識を深めていって、活用していきたいと思います。

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