好きなようにしてください ― たった一つの「仕事」の原則

好きなようにしてください―――たった一つの「仕事」の原則

好きなようにしてください―たった一つの「仕事」の原則
著者:楠木 建

★読書前のaffirmation!
[きっかけ・経緯] 楠木先生のセミナーで紹介されていましたので・・・。
[目的・質問] キャッチ―なタイトルですがこれはどういうこと?

楠木先生のNewsPicksでの読者とのやりとり記事をまとめたもののようです。

野生の嗅覚が成功の8割にしても、2割の理屈を突き詰めている人は、本当のところ何が「理屈じゃない」のか、野生の嗅覚の意味合いを深いレベルで理解しています。だからますます「気合」が入り、「野生の勘」に磨きがかかる。「理屈じゃないから、理屈が大切」なのです。(P.85)

こういった感じの切り口で質問者に対して、答えていくという感じです。かなり辛口で質問者に忠告していきます。

一橋大学の沼上幹さんは「どうすれば成功するのか教えて欲しい」という実務家の問いに対して、次のような説得的な答えを提出しています。

この問いに対して経営学者に用意されている答え方が一通りしかないということはもはや明らかであろう。すなわち、「法則はないけれども、論理はある」という答え以外に、社会科学の一分野としての経営学は用意できるものがないのである。

無意味とうその間に位置するのが論理です。経営や戦略を相手にしている以上、法則定立は不可能です。しかし、それで論理はある、「論理化」は可能だという主張です。(P.88)

戦略の論理化は実務家にとって重要な意味を持っています。ここでは3つの理由を強調しておきます。
第一に、けもの道で身につく嗅覚は決定的に大切なのですが、その一方で、限界もあります。それは日々けもの道を走っていると、視野が狭くなり、視界が限定するという問題です。走りながら考えている人は、どうしても視界が狭くなります。・・・
第二の理由が、経営者が経験に即して語る戦略論は迫力に満ちていますが、ユーザーがその知見を自らの状況に当てはめるのは困難です。いったん論理化して汎用的な知識にしておけば、(具体化能力のある)実務家は、その論理を異なった文脈に利用できるわけです。反対に、論理化のプロセスがなければ、知見の利用範囲が極めて狭くなってしまいます。
第三に、論理はそう簡単には変わりません。目前の現象は日々変化します。だからこそ「変わらない何か」としての論理が大切になるのです。(P.88-90)

僕も経営情報を勉強しているなかで、「データ」-「情報」-「知識」という関係でいつも考えていますが、ちょうど最近の考えの中で、「知識」の上に「理論」そしてその上に、「定理」、そしてさらに上に「真理」というようなことを考えていました。言葉遊び・・・かもしれませんが。

そしてそして、ここ最近の環境変化が激しい中では、「知識」というものも限定的な「知識」でしかないと思っていたのですが、ここで語られているように「情報」と「知識」をつなぐものとして、「論理」があるとすると、「情報」-「論理」という層があるとすると、ここ最近の状況の説明もしやすくなります。

このあたり、実に面白いですね。普段ここまで考えずに何気に言葉を使ってますが、注意深く意識したいです。

実際に考え、決定し、行動するのはあくまでも実務家です。本当の答えは一人ひとりの中にしかありません。しかし、新しい視界や視点を獲得すれば、背中を一押しされるようにアクションは自然と生まれるものです。この意味で「論理ほど実務的なものはない」と僕は確信しています。(P.90)

僕も起業を意識していますが、視界や視座の獲得を手助けするビジネス・・・・そんなのしたいと思っています。そのためにももっとしっかり勉強しないといけないと思っています。

投資の世界における神様の観もあるウォーレン・バフェットさん。・・・彼の名言に「リスクというのは自分が、それをリスクだと分かっていない状態を言う」があります。(P.98)

さすが、バフェットさん。分かってないから対策ができてないんですよね。

「研究」という仕事には次のような特徴があります。
①ふわふわしている:世の中の超間接業務。虚業中の虚業。
②人間の本性の発露:「知る」「考える」「それを人に伝える」は人間の本性。自然にやりたくなる活動。ノーベル賞の小柴昌俊先生いわく、「研究動機は精神の高揚」
③以上の自然な帰結として、慢性的な供給が需要を大きく上回る:人間の本性だから研究を仕事にしたいという人は少なからず出てくる。しかし、そこは社会の超間接業務、虚業中の虚業であるだけに実需が薄い。したがって仕事として折り合いがつくにくい。(P.155-156)

確かにそうなんですよね。需要が少ないんですよね。そういう意味でも価値があるにも関わらずニッチな研究分野・・・その切り口を見つけられるかということになってくるんでしょうねぇ。

仕事の原則10か条(P.157-160、163)
①「仕事と趣味は違う」の原則
②「自己評価はなしよ」の原則
③「客を選ぶのはこっち」の原則
④「誰もたんでないんだよ」の原則
⑤「向き不向き」の原則
⑥「次行ってみよう(ただし、近場で)」の原則
⑦「自分に残るのは過程」の原則
⑧「仕事の量と質」の原則
⑨「誘因と動因の区別」の原則
⑩「無努力主義」の原則

楠木先生自身が、「ふわふわした仕事」としての10か条を挙げられています。興味深い原則です。

何が自分の仕事の本丸で、何が周辺、付属品なのかをハッキリさせておくことが大切です。・・・要するに、自分にとってやりがいのある仕事をして成果を出す。これがすべてでありまして、周辺部分の検討は後回しにしてください。以下は20世紀の名経営者、ハロルド・ジェーン言葉です。

実績は実在であり、実績のみが実在である。―これがビジネスの不易の大原則だと私は思う。実績のみが、きみの自信、能力、そして勇気の最良の尺度だ。実績のみが、きみ自身として成長する自由をきみに与えてくれる。覚えておきたまえ。―実績こそがきみの実在だ。ほかのことはどうでもいい

(P.200-201)

ハロルド・ジェーンさんというと・・・・・

プロフェッショナルマネジャー

この本ですよね。ファーストリテイリングの柳井さんの座右の経営書として超有名ですね。でも確かに、プロセスも大事ですが、やっぱり実績を作っていかないとということですが、実績を作るのは「運」もあるので、言い訳をしてしまいがちです。ですが、そこは毅然とした態度で責任を持てるという形でいたいものです。(難しいですが・・・)

『道端の経営学』という本があります。3人の学者が書いているのですが、その中の一人であるマイケル・マッツェオが「マイクの法則」というものを提示しています。マイクの法則は2つの命題から成り立っています。

マイクの法則1 「すべては場合によりけりである」
マイクの法則2 「場合によりけりでなければ戦略ではない」

言うまでもないことですが、マッツェオは皮肉をこめて「法則」という言葉を使っています。戦略とは一般的な解が法則として特定できない世界であるということをよく示していると思います。(P.206)

『道端の経営学』はこちらです。
道端の経営学 戦略は弱者に学べ

内容(「BOOK」データベースより)
3人の経済学者たちが1台のクルマに乗り込み、全米の「小さな会社」をめぐる旅に出た―普通の会社の現場から経営の本質を学ぶ、名門ビジネススクール教授によるかつてないMBA「課外授業」

ということのようで、アマゾンのレビューもなかなか高いです。是非読んでみたいと思います。

経営学者の加護野忠男さんがハーバード大学に留学し、ジョセフ・バウアーという学者の講義を受けていた時の話です。加護野さんが「この命題が正しいということをどうやって証明するのか」とバウアーに質問したところ、彼は即座に「この命題を勘のいい経営者に説明して、その経営者が“I see”と言ったそれが正しい」と答えたそうです。加護野さんは言います。「経営学の知識は、経営者が実践できるだけの説得力を持った知識であるべきであり、『わかった。これでいこう』と思わせる力をもっていなければならない。『よし、それでいこう』という気持ちを起こさせないといけない」(P.207)

「経営学」の定義自体・・・・それに近いところもありますね。

仕事である以上、それは自分以外の他社のためにやることです。自分以外の誰かのためになって初めて仕事。自己評価には意味がない。価値があるかないかは、客が評価するべきことです。(P.210)

誰かが言ってました。「はたらく」とは、「『ハタ』を『楽』にすること」だと。また別の人が言ってました。「働く=人+動」と書くが、「『人』を『動かす』」ことだと。

 

さて、話は戻って・・・・・

たまたま条件が整っていたり、運が良かったり、自分に向いていて力が発揮できれば、何らかの成果や達成がすぐに実現するかもしれません。しかし、すぐにうまくいかなくても、そっちの方が当たり前。川の流れに逆らわず、機が熟すのを待てばよい。そのうちに自分の持ち場ややるべき仕事が新たにみえてくるはずです。世の中という川の流れにはそれだけの度量があるはずです。そうしているうちに、自分が流れている川がだんだん幅広くなってくる。流れる水の量も豊かになる。それが成長するということだと思います。それでも川の流れがどこに向かっているのかはわからない。どっちにしろ、いつかは海にたどり着きます。時の流れに身を任せ、川の流れに流れ流れて、結局のところ東京湾に至るのです。それがキャリアの終点です。(P.256)

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。 (「方丈記」より)

これを思い出しました。まぁ、どんな川になるかですねぇ。太い川、美しい川、いろいろあります。自分の価値観で自分らしく・・・そんなところなんでしょうが、考えさせられます。河口に出るまでに何度か、悩むときってあると思うんですよね。そんときどの選択をするか・・・・その悩むときまでにどれだけ地力をつけておくかなんでしょうね。

欧米の会社組織では仕事が長期にわたって特定の職能に固定されてしまう。転職をしたとしても、会社が変わるだけで「職」そのものは継続します。どうしてもキャリアの間口が狭くなりがちです。ある一つの職能の仕事に飽きて成長感や達成感を感じられなくなったり、その職能でのスキルが時代の変化とともに陳腐化して行き詰るという「ミッドキャリア・クライシス」は、アメリカでは昔から日本よりもはるかに人々の注目を集める問題です。アメリカ的な労働市場や組織の在り方の下では、マネジメントが意識的にジョブローテーションを行い、社員の間口を広げる必要がより強く認識されるという面があります。(P.304-305)

「ミッドキャリア・クライシス」・・・もう少し広く捉えると「ミッドライフ・クライシス」ということなんでしょうね。そう思うと、僕もそうかもしれません。中年期の思春期なんだそうです。

「論理」とは何でしょうか。それは二つ以上の物事の「つながり」を意味しています。論理とは「こうすればこうなる」「そうなるためにはこれが必要になる」という因果です。あっさり表現すれば「X→Y]の「→」の部分にあたるのが論理です。・・・さまざまな打ち手が自分なりに確信でき、人にも自然と説明できる論理でつながり、そのつながりの先に商売の成功がはっきりイメージできる、僕の言葉でいう「戦略のストーリー」が生まれたとき、人は自分のやろうとすることについて論理的確信を持つのです。(P.396-397)
僕の理解では、スキルというのは「マイナスをゼロのレベルまで持っていく」ためのものです。その仕事をするのであれば、みんなが持っていて当然のもの、それがスキルです。みんなが持っている。プロの世界では、それは極論すればゼロ、何もないのと同じです。その先のゼロからプラスを創るのは何か。・・・それはその人に固有のセンスとしか言いようがないものです。「フォーム」といってもよい。プロにとってはこのフォームこそが己の仕事のよりどころです。どんな分野でも、その道のプロが一番大切に懐に抱えているのは、誰もが使えるスキルやツールではなく、フォームなのです。このフォームばかりは「蛇の道は蛇」の最たるもので、長いこと時間をかけないと練り上げられません。フォームは千差万別ですから、人のを借りるわけにもいきません。借り物のフォームはいつか必ず破綻します。(P.408)

これについては同意しかねますね。「守破離」というのを考えると、最初はマネっこからでいいと僕は思っています。そこから自分流を出せるかどうかというのは共通ですが、まずはお師匠さんのマネから入るべきだと思います。お師匠さんがいれば・・・ですけどね。

どう書くかより、何を書くかのほうが断然重要です。大事なのは、「文章構成、抑揚、リズム」などのテクニックではありません。How はWhatについてくるもの。どうやったらうまく書けるのか、どういうしゃべり方がいいのかを考えるのは、二の次三の次です。自分が面白いと思っていることであれば、自然と文章にリズムが出てきます。人にどうしても伝えたいとことであれば、自然とうまい文章構成になるものです。(P.410)

「自然とうまい文章構成になる」そこはちょっと無理だと思いますが・・・・まぁ、「そうでないより」はもちろんそうなんでしょうけど。たまたま今日見ていたテレビで、ビートたけしさんがインタビューアーに「この映画で言いたいことは何ですか?」と問われ、「それが言えたら言っている。言えないから映画を創ったんだ、バカヤロー」というのに通じますね。まったくもってプレゼンテーションもそれがないと意味がない、そしてお互い(聞く方も話す方も)の時間の無駄になります。

さてさて、読み終わりましたが、まぁ、楠木先生も最初はまだそんなに弾けてませんが、読み進めていけばいくほど、弾け度合いが激しくなってきて面白かったです。

とはいえ、楠木先生ファンは気に入るでしょうが、そうでない人は書店でご確認いただくとよいかもしれませんね。(笑)

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