経営者が絶対に「するべきこと」「してはいけないこと」―50「Do’s」&「Don’ts」FOR BUSINESS SUCCESS
著者:新 将命
★読書前のaffirmation!
[目的] 経営の絶対的法則を学ぶ
[質問] 原理原則と、臨機応変、その違いは何でしょうか。
筆者は、多くの外資系企業の社長を務めたいわゆるプロフェッショナル経営者。彼の経営経験から導き出された「Do=するべきこと」と「Don’t=してはいけないこと」のリストとその説明です。
企業とは生き物であるが故に経営には共通した正解は存在しない。しかし、逆に絶対に「するべきこと」と「してはいけないこと」が存在することも事実。(帯) |
最近、「経営学とは何ぞや?」ということを考えます。企業はまさに生き物であって、他の本にも書いてましたが、ある企業の成功を法則化しようとすると一般化しなければならず本質が見えなくなったり、逆に本質をできるだけ残そうとすると法則化できないというトレードオフな関係から逃げられない学問なんだと。
原理原則の対極には我流、自己流がある。自己流のみに溺れると企業の成長は早晩止まってしまう。優れた経営者は、自分の個性やアイデンティティは大切にしながらも、原理原則を見事に身に付けている。これが第一の能力であり、第二がバランス感覚だ。(P.3) |
そういう意味でも経営者は、先達が体系化した最低限のセオリーは身に着けていないといけないということなのでしょう。そしてそのセオリーをより深く理解できているほど応用も効くということを考えると、MBAはそれをするところというのは一つの位置づけなのでしょう。
下記は、P24に掲載の表ですが、非常に興味深い表です。立場によっての考える視点の違いです。
管理者と経営者の違い
2つのPDCA
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どこに向かっているのか、今どこにいるのか、何をどうするのか、結果はどうなったのか、それらが分からないと社員はトンネルの中でさまようことになる。疲労感、疲弊感、閉塞感が生まれる。・・・社員をトンネルの中に迷わせてはならない。光となるの方向性(理念+目標+戦略)である。その後に戦術が続く。(P.25) |
先が見えないと、管理者も「短期」、対処療法に追われることになります。「お先真っ暗」ではなく、「闇の先の光」は提示し続けるということが経営者(リーダー)の役割だと述べています。
優れた企業理念は次の5つのメリットをもたらす。 ①求心力 ②社員の誇りと動機 ③ステークホルダー(利害関係者)からの信頼 ④求人力アップ ⑤業績向上 である。最後の⑤業績向上には、このようなデータもある。アメリカの研究機関で、起業離縁のある会社とない会社の20年間の経常利益額を比較したとき、ある会社はない会社に対して約2倍強の差をつけた。経常利益率で比較した場合には4倍近くの差がついたという。経営者は理念・信条を疎かにしてはならない。理念=使命感(ミッション)+ビジョン+価値観(バリュー)である。会社は何のためにあって、何をして社会に貢献するのかという使命感(=ミッション)、我が社のあらまほしき理想像(ビジョン)、何が大切かという(価値観)・理念、それらに共鳴・共感する社員が、勝ち残る企業を創るのである。(P.30) |
企業理念・・・・先日読んだ「競争優位としての経営理念」でも同じようなことが述べられているのでご参照ください。こちらはさらに具体的に生きた企業理念の10条件が示されていました。
生きた企業理念の10条件 評価表(P.34)
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コミットメント目標の上手な作り方として、SMART目標が提案されています。うまくまとめられています。
SMART 目標評価表(P.40)
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そもそも戦略とは何か。次に述べるのは、戦略に関する私の定義である。「戦略」とは、企業理念に基づいた中長期の目標を達成するために、顧客に歓迎される差別化とコアコンピタンスを伴った経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報・時間・技術)の最適化を図ることだ。これにより、企業の継続的な利益を伴った成長を実現するための青写真なのである。 「意図では山は動かない。山を動かすのはブルドーザーである。戦略がブルドーザーである。戦略が山を動かす」(ピーター・F・ドラッカー) 山とは組織のことであり、意図とは理念と目標のことである。(P.41) |
そして、生きた戦略となっているかをチェックする13条件が掲載されています。非常に考えさせられる深い内容となっています。
生きた戦略の13条件 評価表(P.44)
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あらためてですが、戦略と戦術の違いが書かれています。戦略は一貫性、戦術は臨機応変というあたりが肝だと思います。現場へもしっかり理解させていかないと、その臨機応変が「ぶれている」と捉えかねられません。
戦略(Strategy)と戦術(Tactics)の違い(P.52)
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「ゆでガエル」にならないためのいくつかの箴言がまとめられています。(P.147)
Insanity is to continue to do what you have been doing until yesterday and expect tomorrow to be a better day. (狂気とは昨日までと同じことをやり続けて、明日がより良い日になることを期待することである) If you continue to do what you have always done, you will only get what you have always got. It’s not the strongest species now the most intelligent that survive, but the one most responsive to change, Revenge of success.(成功の復習) The best way to predict the future is to create it. The greatest enemy for your future success is your past success. The only constant is change. |
“CHANGE”(変化)のGという文字からTという部分を取り除くと、“CHANCE”(機会)になる。Tとは変化に対する恐れ“Threat”のTである。変えるべきときに変えなければ、それこそ「ゆでガエル」になってしまう。(P.169) |
こういうネタは講演などで使えますので、チェックです。(笑)
ピーター・F・ドラッカーは「強みを伸ばし弱みを除くこと」(Accentuate the positive, Eliminate the negative)が経営の要諦であると喝破している。(P.236) |
チェックリストなどもあり、うまくまとめられており、分かりやすかったです。本当だと自分の頭のなかにこれらが熟成されて使いこなせるといいのですが、それも難しいと思います。なので、たまに読み返して、チェックするには良い本だと思います。