超先進企業が駆使するデジタル戦略

超先進企業が駆使するデジタル戦略

(著者:ボブ・ロード+レイ・ヴェレズ)

★読書前のaffirmation!
[目的] デジタル戦略立案の勘所について吸収する。
[質問] デジタル戦略の障害は何か?

アメリカの広告会社レイザー・フィッシュの二人による著書。レイザー・フィッシュがデジタル起点の広告戦略を立案する上での成功例と、その裏で試行錯誤された考えるプロセスなどについて、説明している。

特に共感できたのは、当たり前であるが、何よりも「顧客がすべて」という考え方を随所に記載しているところである。テクノロジーを活かすのも顧客のためということを前提にしなければならない点は、実は大切なところです。こういったテクノロジーの話になると、他社がやっているから、という理由で 上意下達で実行指示が降りてくることがありますが、これはまったくもってナンセンスで、顧客を中心に据えて考えるということは決して忘れてはならないことを改めて思い出させてくれた一冊。

以下、重要なポイントをピックアップしておきました。

デジタル戦略に強い組織を作る5原則
◎常にユーザー中心で考えろ
◎縦割り構造を廃止せよ
◎スタートアップのように素早く動け
◎部門間の壁を越えて、協力せよ
◎スローガンで売るな、サービスで売れ
(カバーより)
本書で言うコンバージェンスとは、大きな力を持つ3つの要素―メディア、テクノロジー、クリエイティブ―を一つにまとめ、企業の要求を満たすことをいう。・・・それは、企業が生き残り、力強く発展するためには、速やかに、かつ劇的に変わらなければならない、ということだ。企業は、どのように顧客とコミュニケーションを取るか、どのような顧客体験を生み出すか、そのためには会社をどんな組織にすべきかといったことを、考え直す必要がある。(P.23)
数値やデータのために質を犠牲にしているわけではないことも確認したい。どんなに優れたデータ戦略も、力強い右脳思考の代わりにはならない。だがデータは、どんなクリエイティブをいつ、だれに提供すればいいかを教えてくれる。大切なのは、クリエイティブ・ディレクターが、データに基づく知見に従って行動することだ。(P.93)
リアルタイムで有意義な体験を提供するためには、企業にその準備ができていなければならない。顧客戦略、テクノロジー、分析、データに基づく動的な広告配信といった面での準備である。そこで、企業がターゲティングを行う能力があるかどうかを評価するための枠組みを策定した。・・・この調査により以下のことが判明した。
・企業の責任者は、デジタル時代以前の従来の顧客セグメンテーション(属性や特徴が類似する顧客をグループ分けすること)方法を利用している。これは主に過去の販売データをもとにしており、顧客の行動データを利用する機会を逃してしまっている。行動データこそが、有意義がデジタル経験の核となる。
・従来のデータを使っていることが現状維持の原因となっている。現状では、第一の目的は顧客獲得にあり、顧客にあった体験を生み出すことにはあまり関心が置かれていないため、顧客との対話は少なく、広告費が無駄になっている。
・デジタル世界は急速に変化しているため、企業はどのデジタルチャネルを利用すべきかを決めかねている。その結果、ユーザー経験を幅広い視野でとらえられなくなっている。
・技術支援・統合支援コストへの反発など、企業内の障壁が、顧客ターゲティング能力を発展させる妨げになっている。(P.110-112)
既存の顧客セグメントに対し、行動データなどの分析を厳密に行い、検証や最適化の作業を続けていけば、セグメントがさらに細かくなり、マイクロセグメントが現れる。セグメントが細かくなれば、顧客に応じた経験の持つ力がそれだけ増し、企業はより顧客に寄り添う形で対応できるようにある。(P.116-117)
ユーザー経験を向上させていく方法を理解してもらうために、わが社では5つのステップを用意している。
1.ターゲティングの青写真を作成する。
―4つの段階があり、、収集、分析、編成、経験の構築のこと。
2.ターゲティングのレベルを発展させる。
―4つの段階における実績を絶えず再評価するプロセスを始める。
LVL1:チャネル横断的な知見
LVL2:データに基づいたメディア選択
LVL3:単一チャネルによる動的なターゲティング
LVL4:多チャネルによる動的なターゲティング
LVL5:多チャネルによる販売・サービス。
3.クリエイティブとテクノロジーの連携を推進する。
4.利益率を早く上げたければ、大手テクノロジー・ベンダーによる一括ソリューションよりも、専門ごとのソリューション設計を考える。
5.ビジネス戦略を忘れない。
(P.121-127)
現代のマーケティングは、企業と消費者が絶えず対話を行う双方向プロセスである。マーケティング担当者は、消費者に影響を与える人とブランドが交流する機会を絶えず提供する必要がある。そして、消費者と交流するあらゆる機会を、ブランドの好機ととらえなければならない。顧客が苦労して稼いだお金を最終的に手放す決断をする瞬間もまた、例外ではない。残念ながらマーケティング担当者の多くは、顧客の購買プロセスの中で、実際に購入するこの段階もまた、それまでの段階同様の配慮が求められることに、なかなか気づかないでいる。(P.174)
現代はさまざまな意味で、販売のあり方が変わりつつある混乱期になる。現在、以下の二つの大きな流れがある。
・顧客は製品を購入する前に、これまで以上に多くの情報を望んでいる。
・顧客は、店舗、オンライン、電話、アプリなど、どんなチャネルでも一貫した経験を望んでいる。(P.175-176)

 

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