グレートカンパニー

グレートカンパニー――優れた経営者が数字よりも大切にしている5つの条件

サブタイトル:優れた経営者が数字よりも大切にしている5つの条件
(著者:リッチ・カールガード)

★読書前のaffirmation!
[目的] 作者が言うところの5つの条件を理解し、活かせるところを吸収すること
[質問] 5つの条件って何?
5つの条件として、まさに数字ではないソフト、つまり定性的な要素を挙げている。
・信頼
・「知性」
・チーム
・テイスト
・ストーリー


これらを持つことで、持続性という要素が企業に加わる。もしこれらがなく、単なる財務諸表だけに表れる利益を達成したとしても、事業の持続性は望めない。結局、「人」であるということが著者は言いたいのだと思う。上に挙げた5つの要素もすべて「人」に関連する項目である。企業はリスク回避で、「誰に変わってもそれができる」という状態、それはそれで確かに重要なのですが、そうでなくスキルの高い社員にはずっといてもらわないといけない。そういう意味でも、マズローの5段階のすべてにおいて社員の満足を担保し、個人として実力を発揮するとともに、チームメンバーとしてチームにも貢献していかなければならない。合理的にはいかない典型的な事例であろう。

以下、重要ポイントを抜き出しました。

「数字」よりも大切な5つの条件とは、「ソフトエッジ」(無視されたり軽視されたりしがちだが、いかれたようなこの世界において、人間らしい価値としなやかな強さ―レジリエンス―をもたらす)であり、
・信頼
・「知性」
・チーム
・テイスト
・ストーリー
である。(序文 vi)

企業の長期的な成功の三角形とは・・・
目標「持続的な成功」
(1)三角形の底辺「戦略的基盤」
・変革者
・競争優位性
・競合他社
・顧客
・市場
(2)ハードエッジ・・・企業の実行能力を磨く
・スピード
・コスト
・サプライチェーン
・流通
・資本効率
(3)ソフトエッジ
・信頼―ソフトエッジの土台
・「知性」―経験から学び取る力
・チーム―柔軟でスピードのある小さな組織
・テイスト―データでは測れない人の感性をとらえる
・ストーリー―顧客やファンも企業の「物語」を語り始めた
(P.16~18をもとに作成)

ソフトエッジに時間と金を投資すべきであるその根拠を挙げよう。
・ソフトエッジで優位に立つと、ブランド認知が高まり、利益率が上がり、得意先が増え、熱心な従業員が増える。ソフトエッジで卓越することは、コモディティ化市場から抜け出す術でもある。
・ソフトエッジで秀でている会社は、戦略上大きなミスを犯しても、生き延びられる場合が少なくない。忠実さと情熱と献身が、強いソフトエッジの配当なのだ。
・ハードエッジがしっかりしていても、つかの間の利益しか得られない。ハードエッジは、技術やソフトウェアがより安く広く利用できるようになる場合は特に、ソフトエッジに比べて簡単に真似されてしまうのだ。
(P.27)

データ至上主義を覆した三冊の経営書(P.39)
・エクセレント・カンパニー(トム・ピーターズ、ボブ・ウォーターマン)
・シンボリック・マネージャー(テリー・ディール、アラン・ケネディ)
・イノベーションのジレンマ(クレイトン・クリステンセン)

グレートカンパニーが持つ「ソフトエッジ」の優位性とは
・成功し続ける優れた組織は、ハードエッジとソフトエッジの両方で卓越している。
・最高のパフォーマンスを得られるかどうかは、どんな状況に対しても、ハードとソフト両面のスキルのバランスを適切にできるかどうかにかかっている。
・結局のところ、ソフトエッジは今ようやく世間に認められつつある。現代の厳しくグル―バルな「グレートリセット」の時期を迎えている経済において、無視されることの多いソフトエッジで卓越することは、ハードエッジで卓越するのと同じくらい(あるいはそれよりはるかに)重要になるだろう。(P.44)

クレイトン・クリステンセンらのおかげで、今では、組織の文化こそがイノベーションのカギであることが広く認められている。そして、働きがいのある職場になるには、会社が革新的であること、とりわけ長期にわたって革新的であることもいっそう必要になっている。なぜだろう。それは信頼が知識の共有や学習成果に影響を及ぼすからである。従業員がみな互いを信頼するようになると、参加と学習と実験―いずれもイノベーションに不可欠なもの―が促進される。(P.58)

グレートカンパニーが持つ「信頼」の力とは・・・
・信頼は、社会においてその価値が低下してきているために、いっそう貴重なものになっている。
・信頼は二つの重要な要素から成り立っている。社外の人(顧客、サプライヤー、株主)との信頼と、社内の人(従業員)との信頼である。真に優れた会社はその両方に投資している。
・報酬でも特典でもなく、信頼こそが、「最も働き買いのある会社」のリストに名を連ねるのに必要なものである。
・信頼という基盤があって初めてイノベーションは起きる。アイデアは人々の頭のなかから無理に引っ張り出せるものではないのだ。
・信頼は販売効率の基盤でもある。営業マンが目標に向かって努力するのは、仕事の意義や会社の目的を信頼しているときなのだ。
・信頼は幹部の偽善によってたやすく打ち砕かれる。
・信頼は、ビジュアル・アナリスティックスを使って高めることができる。この分析によって、多様なグループのための共通語が生まれるからである。
(P.85)

グレートカンパニーが持つ「知性」の力とは・・・
・学者がgと表し、IQテストで測られるような知能は、ビジネスでは思うほど重要ではない。
・ビジネスにおける「知性」では、IQではなく粘り強さや気概のほうが重視される。気概があれば、環境に順応し、ひいては早く学べるようになる。
・「知能豊か」なリーダーは水平思考をする。彼らは業界を問わず革新的な考え方を持っている人から、どんどん学ぼうとする。
・「スマート」な企業はほかの「スマート」な企業と同盟関係を築く。付き合う企業によってその企業がどういう企業かがわかる。
・困難に対し、「スマート」な企業は匙を投げたりしない。ほんの少し緊張はする。ただし、動けなくなるほどではない。
・「スマート」な企業はさじを投げたりしない。ほんの少し緊張はする。ただし、動けなくなるほどではない。
・「スマート」な企業は、してしまったミスとその経験から学んだことについて話すよう、従業員に求める。
・「スマート」な組織はたとえ短期的には費用がかさむことになっても、あり方を根底から考えるほどのテクノロジーを受け入れ、活用する。(P.130)

グレートカンパニーが持つ「チーム」の力とは・・・
・チームは昔からあるが、ビジネスでチームワークという考え方が登場するのは、驚くほど最近である。
・チームは、大企業のチームでさえも、最も無駄が削がれたとき―10人前後である場合―に最高の業績をあげる傾向がある。
・少人数のチームのほうが、素早く行動できる。また、小さなチームでは、メンバーはほかのメンバーのために犠牲になるのを厭わないが、大きなチームではそうはいかない。
・チームが全力を尽くすのは、認知的多様性が―人種や性別や年齢の多様性だけでなく思考スタイルの多様性も―促進されているときである。
・チームはアイデアを、スポーツやアメリカ軍から借りるべきである。実際に行われているストレステストを使い、メンバーがプレッシャーを感じているときにどのような反応をするかを確かめよう。
・過去に困難を乗り越えた経験を持っている人をメンバーにすると、最高にしっかりとしたチームをつくることができる。
・チームリーダーは大きな期待というプレゼントをどんどん与えるべきである。素晴らしい業績をメンバーに求めよう。それこそが最高の褒め言葉なのだ。
(P.178)

グレートカンパニーが持つ「テイスト」の力とは・・・
・テイストはデザインを超えるものだ。それは私たちの心の最も深いところに響くもの、完成に訴えかけるものである。
・テイストは三大要素―機能、形、意味―から始まり、それらをすんあり統合する。
・テイストは無駄がなく、目的が明確である。また、テイスト主導の製品は、説明がなくても直観的に扱い方がわかる。
・テイストは新たにつくられたものである必要はない。実際、成功している過去の製品やサービスを真似ているものが少なくない。
・テイストには必ず、少し不合理や感じや、理想の世界というニュアンスが漂う。
・テイストは天才がたまたまひらめいて生まれるものではない。不断の努力と、規則の正しさと、粘り強さがあって初めて生まれるものである。
・テイストにはサービスの深いインテリジェンスが表れる。顧客というのは、自分が「知性豊か」になったことを実感するためなら、多少高くても購入するものである。
(P.227)

グレートカンパニーが持つ「ストーリー」の力とは・・・
・ストーリーを語ることは人間の普遍的な活動である。それは、人生がどのように、なぜ変わるのかを表現する。また、私たちが何者であるかを、私たちの人生にいみがあることを、はっきり告げてくれる。
・ストーリーは強力なリーダーシップ・ツールになる。説得はビジネスのまさに中核をなすものなのだ。
・ストーリーは、ビジネスに関して行うあらゆることに影響をもたらす。強い文化をつくるカギにもなる。要点を並べた一覧表や数字だらけの集計表と違い、ずっと記憶に残る。
・ストーリーは、顧客を支持者や賛同者に変えることができる。
・ストーリーは戦うことを必要とする。企業の最高のストーリーは皮肉なことに、広報部や法務部という難所を切る抜けなければならない。
・しばしば顧客のほうが、ときには批評家のほうが、ときには批評家のほうが、従業員より上手にストーリーを語る場合がある。そうした外部の人によるストーリーを受け容れよう。
・データ時代のストーリーには、人類学者や芸術家の能力を持つ統計学者が必要である。
(P.274)

 

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