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ネット炎上事例300 なぜ企業や個人は失敗を繰り返すのか?

著者:小林直樹

個人SNSユーザー、企業の広告宣伝、SNS担当必読
300件の実例トラブルから学ぶ、ネット炎上対策

「ネット炎上」トラブルは、スマートフォンとSNSの普及が両輪となって一貫して増え続けてきました。新型コロナウイルス禍では、在宅率が高まったことで一段と炎上は増加し、正義感が暴走した「自粛警察」や、「ワクチン推奨vs.反ワク」のバトルを生み出しました。アフターコロナを迎えて炎上件数は頭打ちになり、2024年は前年比(2023年比)で22.6%減と、大幅に減少しています(出所:デジタル・クライシス総合研究所「デジタル・クライシス白書2025」)。
では、ひと安心かといえば、そうとも言えません。炎上1件当たりの規模、インパクトは以前にも増して大きくなっています。X(旧Twitter)の仕様変更で、フォロワー数が少ない小規模アカウントの投稿でも、投稿内容によっては「おすすめ欄」に表示されるようになり、数百万~数千万単位のインプレッション数を弾き出すケースも出てきています。これが本書の表紙帯に記した、「誰もが『万バズ』する時代」の到来です。
これによって、炎上の情報流通も変わりました。かつては、炎上の火種を「J-CASTニュース」などの”ミドルメディア”が見つけて記事化することで世に知られる流れでした。その後、インフルエンサーが力を持つことで、インフルエンサーへのタレコミが効力を持つようになり、そして現在はインパクトのあるネタであれば弱小アカウントであっても当人発の投稿が日の目を見るようになりました。企業アカウントの運用側にとっては、いつ何時、”拡散爆弾”を抱えた個人Xが突撃してくるやもしれぬ、シビアな時代を迎えています。
以上は、Xのアルゴリズム変更がもたらした変化です。炎上の起こりやすさの要因はもちろん、それだけではありません。
社会における「分断」は一段と加速しているように見えます。政治的なスタンスが保守寄りか、リベラル寄りかであれば、まだ落としどころはあるでしょう。いま起きている分断は、兵庫県における斎藤元彦知事の支持派vs.アンチ斎藤派のように、どこまでいっても交わりそうにない分断です。国の財政はどうあるべきか?積極財政派と緊縮財政派の分断も交錯する点が見えません。
他国に手本を求めようにも、米国社会が分断の際たる国になっているのが現状です。さまざまな論点で相いれない者同士が共存している状態は、非常に着火しやすい、”可燃性”が高い環境と言えるでしょう。
もう1つ、国内でもこの10年でコンプライアンス順守、ならびに多様性(D:ダイバーシティ)、公平性(E:エクイティ)、包括性(I:インクルージョン)の意識はだいぶ進展、浸透しました。例えば性的な広告(エロ広告)はほとんど見られなくなりました。
しかしながら変化が起きているときには、「まだ遅れている」と旗を振る人と、「昔は良かった」と回顧する人の間に大きな分断が生じています。2023年暮れの松本人志騒動からフジテレビ騒動を巡る議論を見ても、両者の分断、溝は広がりこそすれ埋まる気配は一向に見えません。そんな中、米国はトランプ政権への移行で「反DE&I」に転じています。
様々な価値観がぶつかり合う、混沌とした時代を迎えました。そんな中で、企業の広告・SNS担当者は、企業の看板を背負って発信を続ける必要があります。
最後に「変わらないこと」を1つ。
炎上の引き金になるのは、ほとんどの場合、喜怒哀楽の「怒」の感情です。人気のSNSや投稿端末、コンテンツ形態(テキストか画像か動画か)、そして情報モラルも時代によって変化しますが、「何をされるとカチンとくるか?」――、「怒」の感情をもたらすものはほとんど変わりません。そのため、10年前と同じパターンの炎上が繰り返されています。
企業の広告・SNS担当者はもちろんのこと、一般SNSユーザーも、炎上が頻発している折、利用しながらも一抹の不安があるかと思います。
ガイドラインの策定やSNS研修なども用意はされています。が、安全運転の教則本における「スピードを出し過ぎない」のように、当たり前に感じる内容が多いでしょう。
自動車の運転でも、免許証交付の待ち時間に見る事故シーンのビデオは、身につまされるだけでなく、事故頻出パターンとしての学びを得られます。炎上も実例に学ぶのが最も効果的なのではないか。そうした考えから本書は企画されました。特に免許も不要で利用できるSNSですが、炎上事故は心に大きな傷を負う場合があります。本書がネット利用者の教則本としてお役に立てれば幸いです。

【目次】
Chapter 1 2025年、炎上事件簿
1章1 2025年も大型炎上が頻発
事例001「赤いきつね」CM動画は性的か?
事例002 OD(オーバードーズ)よりSD(相談)
事例003 客員准教授がキンコン西野氏を中傷
事例004 ドロドロ不倫看護師の着回しコーデ企画
事例005 「すっぴんを見られたくない女」動画
事例006 道路陥没事故を笑い飛ばしたモデル降板
事例007 レシピページに性的な広告表示
事例008 新人アイドル「鮮度」アピールに賛否
事例009 俳優の泥酔住居侵入、CM契約は?
事例010 ヤマトの不在連絡票、そっくりチラシ
事例011 高校生向け妊娠・出産の啓発冊子が物議
事例012 CEO発言が「移民促進」と誤解され不買
事例013 看護師が医療事故隠蔽を示唆するX投稿
事例014 美容外科医が解剖研修でピースサイン
事例015 テレビCMがACジャパンと番宣だらけに
事例016 就活学生にわいせつ行為で指針見直し
事例017 鶴瓶の広告削除、冷酷対応と批判続々
事例018 異物混入相次ぎ、全店休業・一斉清掃
事例019 ストリートピアノ、下手な初級者禁止?
事例020 屋外から生配信、居場所特定される恐怖
事例021 “結婚できない”17歳が結婚CMモデルに
事例022 ライス販売停止というエイプリルフール

Chapter 2 ジェンダー炎上
2章1 男性差別型、イジリ・からかい型炎上
2章2 性別役割の固定化型炎
2章3 性的、セクハラ型炎上
2章4 萌えキャラトラブル型
2章5 不安、ルッキズム助長型
2章6 炎上未遂型
2章7 その他ジェンダー炎上

Chapter 3 不適切な投稿、行為、広告
3章1 不適切な「投稿」による炎上
3章2 不適切な「行為」による炎上
3章3 不適切な広告、コンテンツなど

Chapter 4 バイトテロ
4章1 2005年から今なお続くアルバイトの暴走

Chapter 5 炎上エトセトラ
5章1 生成AIトラブル
5章2 ステルスマーケティング…
5章3 告発、クレーム
5章4 イベント不手際
5章5 フェイクニュース
5章6 情報管理不備
5章7 誹謗中傷

ネット炎上のお話300!
多種多様な炎上。

さまざまな論点で相いれない者同士が共存している状態は、非常に着火しやすい、”可燃性”が高い環境と言えるでしょう。(p.5)

0か1か、右か左か、上か下か、といった二元論になっているのは確か。そうなるとまさに「相いれない」ですね。

300の炎上案件、多種多様ですが「一部ネットユーザーからの不快感」という言葉がよく出てきます。まだにこれがキーワードな気がしました。

筆者も言っていますが、

この10年でコンプライアンス順守、ならびに多様性(ダイバーシティ)、公平性(エクイティ)、包括性(インクルージョン)の意識はだいぶ進展、浸透しました。・・・しかしながら変化が起きているときには、「まだ遅れいている」と旗を振る人と、「昔は良かった」と回顧する人の間に大きな分断が生じています。(p.5)

まさにこれなんだと思いました。マーケティングではSTP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)が基本中の基本。CMもそうで、どちらかに寄ってしまわざるを得ない。となると反対側が騒ぎ出すという図式なのでしょう。

盛り沢山な300の事例。その中でも炎上に対して、「相手にしない」「早期謝罪」ではなく、弁証論的にうまく解決してWinWinになった3事例については筆者も是非読んでほしいと言ってます。

この3事例について気になる方はぜひ手に取ってみてください。

ネットの炎上が大テーマですが、一種の社会学的な書籍としても接することができました。

 

 

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