「読書レビュー 2018」カテゴリーアーカイブ

ジョブ理論

ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶブックランキング第3位! ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

著者:クレイトン M クリステンセン,タディ ホール,カレン ディロン,デイビッド S ダンカン…

クリステンセン教授の久しぶりの著作。そして、サブタイトルに、「 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム 」とあれば、読まないわけにはいきません。そして、ハーバード・ビジネス・レビューが選ぶビジネス書でも2017年3位を獲得。(Inobe.Shion)

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内容紹介
★破壊的イノベーション論のクリステンセン教授が
「人はなぜそれを買うのか?」を解き明かす最新作!★ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶブックランキング2017年第3位!★世界で最も影響力のある経営学者クレイトン・クリステンセンが、
人がモノを買う行為そのもののメカニズムを解き明かす、
予測可能で優れたイノベーションの創り方。なぜあの商品は売れなかったのか?
世界の経営思想家トップ50(Thinkers50)連続1位。
「破壊的イノベーション論」の提唱者、クリステンセン教授による、待望の最新刊!顧客が「商品Aを選択して購入する」ということは、
「片づけるべき仕事(ジョブ)のためにAを雇用(ハイア)する」ことである。

『イノベーションのジレンマ』の著者による、21世紀のベスト・オブ・ビジネス書!

イノベーションの成否を分けるのは、
顧客データ(この層はあの層と類似性が高い。顧客の68%が商品Bより商品Aを好むetc)や、
市場分析、スプレッドシートに表れる数字ではない。
鍵は「顧客の片づけたいジョブ(用事・仕事)」にある。

世界で最も影響力のある経営学者クレイトン・クリステンセンが、
人がモノを買う行為そのもののメカニズムを解き明かす、
予測可能で優れたイノベーションの創り方。

・顧客が商品を買うこととは、片づいていない「ジョブ(用事・仕事)」を解決するために何かを「雇用」することである。
・ビッグデータは顧客が「誰か」を教えてくれても、「なぜ」買うのかは教えてくれない。
・数値化できない「因果関係」にこそ、成功するイノベーションの鍵がある。
・自社製品も他社製品も買っていない「無消費者」を取り込め。

[本書で取り上げる事例]
イケア、ゼネラルモーターズ(GM)、サザンニューハンプシャー大学、
プロクター&ギャンブル(P&G)、エアビーアンドビー、アマゾン他

【目次より】
序章 この本を「雇用」する理由
まちがったことに上達する /どんなジョブのためにそのプロダクトを「雇用」したのか

[第1部 ジョブ理論の概要]
第1章 ミルクシェイクのジレンマ
朝のミルクシェイク/マーガリンのレジュメ/ジョブ理論とイノベーション

第2章 プロダクトではなく、プログレス
「何を」ではなく、「どう」考えるか/ジョブの定義/機能面、社会面、感情面の複雑さ/ジョブとは何か/ジョブでないもの/ジョブを見きわめるには/競争の勢力図の変化/ジョブ理論の限界/コペルニクス的転回

第3章 埋もれているジョブ
無と競争する/ジョブの適用範囲は深くて広い/B2Bにおけるジョブ/価格2倍で機能半分/顧客の人生に寄り添う

[第2部 ジョブ理論の奥行きと可能性]
第4章 ジョブ・ハンティング
ジョブはどこにある?/1生活に身近なジョブを探す/2無消費と競争する/3間に合わせの対処策/4できれば避けたいこと/5意外な使われ方/感情面の配慮/魔法は必要ない

第5章 顧客が言わないことを聞き取る
顧客のストーリーをつくる/マットレス購入までの道程/衝動買いの裏に/アドビルかレッドブルか、新しいマットレスか/ジョブとインサイト

第6章 レジュメを書く
ジョブを解読する/体験とプレミアム価格/障害物を取り除く/ウーバーの体験/ジョブに適していることをどう伝えるか/パーパスブランド

[第3部「片づけるべきジョブ」の組織]
第7章 ジョブ中心の統合
秘伝のソース/ジョブ中心に組織をつくる/測れることは実行できる/オンスターのジョブ

第8章 ジョブから目を離さない
イノベーションのデータの3つの誤謬/1能動的データと受動的データの誤謬/2見かけ上の成長の誤謬/3確証データの誤謬/データの出所が問題をつくり出す/受動的なデータを能動的に捕まえる

第9章 ジョブを中心とした組織
直観的な作戦ノート/両面コンパス/だいじなことを測定する/ジョブがすべてを変えた/文脈を見失わない

第10章 ジョブ理論のこれから
本当に理論と呼べるのか/理論が〝誤って〟いるとき/理論の限界/ジョブ理論の適用範囲の深さと広さ/個人的なジョブ/公教育/医療/人生のジョブ/ジョブ理論とともに

内容(「BOOK」データベースより)
イノベーションの成否を分けるのは、顧客データや(この層はあの層と類似性が高い。顧客の68%が商品Bより商品Aを好むetc.)、市場分析、スプレッドシートに表れる数字ではない。鍵は“顧客の片づけたいジョブ(用事・仕事)”にある。世界で最も影響力のある経営学者が、人がモノを買う行為そのもののメカニズムを解き明かす、予測可能で優れたイノベーションの創り方。

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勉強の哲学 来たるべきバカのために

勉強の哲学 来たるべきバカのために

著者:千葉 雅也…

非常に刺激的な著作です。ものごとの新しい見方を提供してくれると言っても過言ではないかもしれません。切れ味の鋭い書です。おすすめです。(Inobe.Shion)

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メディア掲載レビューほか
哲学者・千葉雅也「世間に迎合も孤立もせずに生きていくためには“勉強”が必要だ」博士論文を改稿した『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』でデビュー、翌年、ツイッターでの140字内の短文考察を再編成した『別のしかたで ツイッター哲学』が話題を呼び、3冊目の単著となる本書は何と「自己啓発本」。発売2カ月を待たずに5刷4万5000部と快進撃中だ。「“勉強する”ということを面白くポジティブに言えないかな、と思ったんです。雲行きの怪しい今の世の中で、世間に迎合も孤立もせずに生きていくためには勉強が必要です」日常の中で「周りのノリ」に合わせることが苦しくなってきたら勉強を始める好機。そして勉強を始めると必ずますます「ノリが悪い人」になる。「日本は同調圧力が強いけれど、たとえば大学教育は安易に同調させないようにするための教育だし、安易に同調しないということが知性の正しいあり方なんです」勉強を進めるにあたり「ツッコミ=アイロニー」と「ボケ=ユーモア」の二方向の方法を説くが、喩えが面白い。「アイロニー」とは、ケーキ・バイキングで盛り上がっている時、感想を問われ「おいしいって答え以外、許されてるの?(笑)」と返し、場を凍らせること。「ユーモア」とは、AとBの恋バナで皆がAを道徳的観点から槍玉にあげている最中「音楽なんじゃない?」と、恋愛の起伏を音楽にたとえる発言をし、周りをポカンとさせること。根拠を疑い見方を変えることで、状況を相対化し、慣れ親しんだ環境からはずれていく。

しかし、勉強で本当に大切なのは次の段階だ。その時の自分の趣味、嗜好、興味、必要等を手掛かりに小さな範囲を決めて新しい物事を学び、少し変身して、また皆のところへ「ノリを良くもできる人(来たるべきバカ)」として戻っていく。その後も脱出と帰還を繰り返すこと。

「締切がないと仕事が終わらないように、範囲を決めないと勉強は進まない。まずこの3冊の本を読み較べる、とか最初の範囲を狭くとることが大事。狭い範囲設定がむしろ生産性に繋がるという発想です」

社会人の論文指導をしていることも執筆を後押ししたかもしれない。

「勉強とは新しい言葉の使い方を学ぶこと。キャリアを積んだ方々は言葉遣いと人生がぴったりくっついている。それを引きはがすにはどうしたらいいか、工夫していますから」

評者:「週刊文春」編集部

(週刊文春 2017.06.08号掲載)

勉強とは、自己破壊である

千葉雅也『勉強の哲学』は、こんな刺激的なフレーズではじまる。『動きすぎてはいけない』で注目された気鋭の哲学者は、自己啓発系勉強本にありがちな、現状の自分に効率よく新しい知識やスキルを付け加える方法などは紹介しない。

まずは、〈勉強とは、別の考え方=言い方をする環境へ引っ越すことである〉として、自分を取り囲んできた環境(会社や学校や友人たち)に順応する言語ではなく、興味を持って得た新たな言語をとにかく使ってみることを勧め、〈深く勉強するとは、言語偏重の人になることである〉と説く。そうして言葉を玩具のように操作できるようになれば、周囲から「ノリ」が悪いと訝られようが、自由に考えられるようになる。そもそも勉強する目的はこれまでの環境から自由になるためなのだから、周囲から浮いても気にしない。

さらに千葉は、〈ノリの悪い語りが、自由になるための思考スキルに対応している〉と喝破し、アイロニーとユーモアという思考方法について解説。その上で、私たちひとりひとりの個性=「享楽的こだわり」にも言及する。

ここまでがこの勉強論の原理編で、後半は実践編となる。どのように勉強を開始すればいいか、千葉は自身の体験もまじえて語り、専門分野への参加の手続きも詳しく案内してくれる。哲学者らしく厳密な言葉によって書かれているが、斬新な視点と丁寧な論旨の展開に何度もうなずき、私は読後、勉強のもつ危険な魅力にあらためて興奮した。

もうお気づきのとおり、この本を読むことは、そのまま哲学の勉強にもなっている。

評者:長薗安浩

(週刊朝日 掲載)
内容紹介
勉強ができるようになるためには、変身が必要だ。
勉強とは、かつての自分を失うことである。
深い勉強とは、恐るべき変身に身を投じることであり、
それは恐るべき快楽に身を浸すことである。
そして何か新しい生き方を求めるときが、
勉強に取り組む最高のチャンスとなる。

なぜ人は勉強するのか?
勉強嫌いな人が勉強に取り組むにはどうすべきなのか?
思想界をリードする気鋭の哲学者が、
「有限化」「切断」「中断」の技法とともに、
独学で勉強するための方法論を追究した本格的勉強論。

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