藤田 岳彦 (著), 本多 滝夫 (著)
【内容紹介】 銀行や証券会社、保険会社などで取り扱う金融商品を作る上で必要不可欠な数学理論である数理ファイナンス。本書は数理ファイナンスの基礎を担う確率論から、著者の一人・藤田岳彦氏が提唱する離散確率解析の理論とその応用までを解説する。 旧版刊行から15年経過しているが、内容は古びることなく需要はますます高まっている。増補版では新たに「離散アゼマ-ヨール・マルチンゲール」と「ランダムウォークのエクスカーション」の解説を加えた。 また、ルーレットの“red or black”などのギャンブルを事例に、損益やファイナンスの無裁定といった考え方を直感的に理解できるよう、自身も馬主でありギャンブルの本質を見極めた著者(藤田氏)ならではの工夫が随所に見られる。 確率解析や数理ファイナンスの理論を学びたい人はもちろん、実際に数理ファイナンスを扱う現場に携わる人にも必携の書となろう。 【目次】 第2章 コルモゴロフの確率空間と鏡像原理 第3章 基本離散分布と初到達時間分布 第4章 母関数とランダムウォーク 第5章 条件付期待値と公平な賭け方 第6章 いろいろなマルチンゲール表現定理 第7章 離散確率解析 第8章 ギャンブラーの破産問題とマルチンゲール 第9章 確率差分方程式 第10章 期待値と無裁定 第11章 無裁定とマルチンゲール 第12章 賭け方を変えることのできるギャンブラーの破産問題 第13章 再生性と確率・期待値の計算 第14章 逆正弦法則 第15章 ランダムウォークの局所時間,レヴィの定理 第16章 ランダムウォークから作られるマルコフ過程とピットマンの定理 第17章 ランダムウォークと分枝過程,離散レイ-ナイトの定理 第18章 離散アゼマ-ヨール・マルチンゲール 第19章 ランダムウォークのエクスカーション 第20章 ランダムウォークからブラウン運動へ |
もともとは雑誌「数学セミナー」に掲載されていたものらしいですが、非常に興味深く読めます。
大学の授業の教科書にも使えそうな感じ。ランダムウォーク専門の科目があればですが、、、あるのだろうか???
単なる説明だけでなく、この説明って分かりやすいかった?というように問いかけるようになっているところは面白いアプローチでした。これも雑誌掲載が元になっているからなのか、数式が多いのですがそういったトーンなのが面白かったです。
昔からマルチンゲール・システム(倍儲け法)がギャンブルの必勝法とされてきた。今でも日本語・英語問わずギャンブル系の怪しいサイトにはこのマルチンゲール・システムやその変形が紹介されているのだが絶対に信じてはいけない。マルチ商法やねずみ講なども同じで、本来有限のもの(金額、人口、寿命、・・・)をあたかも無限のように思わせて騙すというものであるので十分注意しておきたい。(p.52) |
数式も多いですが、読み物的な部分もところどころ挟んでくれていますので興味深く読めると思います。