著者:一田 和樹, 齋藤 孝道, 藤村 厚夫, 藤代 裕之, 笹原 和俊, 佐々木 孝博 (著), その他
「事実」を知ることはできるのか
世論工作、認知戦、分断、炎上、誤導、プロパガンダ、ディープフェイク…… 第一線の研究者、専門家による知見を集約した 第一線の専門家がそれぞれの視点から浮かび上がらせるデジタル社会の「見えざる手」。日常生活から政治・軍事にいたる手法や対応を、豊富な実例と図表を交えてわかりやすく総覧す る。これからを生きるための必読書。 ◆目次◆ 第1章 デジタル影響工作とはなにか 一田和樹 |
多くの人がd美田素と考える統計や実験、ビッグデータは必ずしも客観性を担保しない懸念がある。なぜなら研究にあたって必要なデータや資金あるいは人材などには提供元が存在し、そこに偏りや問題があれば、研究成果に影響を与える。いわば研究サプライチェーンの問題が存在する。それは2005年から叫ばれている再現性の危機(多くの論文を追試したところ同じ結果が得られなかった問題)の原因の一つでもある。偏った研究サプライチェーンから生まれた成果は偏り、当然再現性の問題も起きる。偏った科学は陰謀論と何が違うのだろう?(p.13)
これはちょっと衝撃を受けましたね。ここまで思い切って言ってくれると気持ちいいですね。
ちなみに、グローバルサウスは(こちらより引用)
グローバルサウスとはインドやインドネシア、トルコ、南アフリカといった南半球に多いアジアやアフリカなどの新興国・途上国の総称で、主に北半球の先進国と対比して使われる。世界経済における格差など南北問題の「南」にあたる。実際に領土が南半球に位置しているかにかかわらず、新興国全般を意味する場合が多い。特に近年、民主主義と権威主義の分断のなか中立を貫くスタンスをとる特徴で注目されている。また冷戦期に東西双方の陣営と距離を置いた「第三世界」を表現するときにも使われる。 |
グローバルノースは、(こちらより引用)
グローバルノース(Global North)は、グローバル化の恩恵を受け経済的な発展を遂げている先進国を指します。アメリカやヨーロッパ、日本はグローバルノースに含まれます。 |
デジタル影響工作の戦術(pp.61-68)
トロール | |
クリックベルト | SNS利用者が興味あるトピックを選択的に投入する |
ボット活用 | SNSボット |
ソックパペット | 複数のアカウントを使って別人になりすます |
インフルエンサー活用 | より多くのSNS利用者にリーチ |
フレーム架橋 | ハッシュタグなどで架橋し、似たような意見や不満を持つ運動を拡散する手法がある |
認知誘導 | |
偽情報拡散 | 文字通り偽の情報を拡散する手法 |
ドキシング | 組織や個人に関する非公開または機密の情報を公開・公表し、対象を公的に貶めたり困惑させたりする手法 |
フレーミング | 物事の解釈のフレーム(枠)を悪用すること |
アストロターフィング | 隠れた意図を持つグループが隠密裏に自発的な草の根運動に見せかけてい行う手法 |
マイクロターゲティング | プロファイリングに基づきカテゴライズされた特定のターゲットに向けた広告の配信方式 |
アカウント間連携 | SNSアカウント間で連携して、ミームやナラティブの拡散を試みる手法 |
害のある情報(p.95)
誤り | 誤情報 ミスインフォメーション |
勘違い/誤解により拡散した間違い情報 |
ニセ情報 ディスインフォメーション |
意図的/意識的に作られたウソ虚偽の情報 | |
悪意 | ||
悪意ある情報 マルインフォメーション |
情報自体は正しいが、誰か(何か)を攻撃する目的で共有された情報 |
共著でそれぞれの方が専門分野を書かれているのですが若干冗長な感じはありましたが、知らないことが多くて大変勉強になりました。