著者:中田行彦 …
著者の中田さんは、ここ何年間のシャープ関連の書籍をいくつか出されていますが元シャープの方のようで内情についても詳しく深く・広い視点で分析されていて、勉強になります。(Inobe.Shion) |
内容紹介
激変するアジアの「ものづくりネットワーク」 周知の通り「シャープ」は、債務超過に陥り、台湾の鴻海精密工業の傘下となった。液晶の勝ち組であったシャープが、巨大構想により液晶の堺工場を建設したことをきっかけとして一気に債務超過にまで至ってしまったのだ。 内容(「BOOK」データベースより) 周知の通り「シャープ」は、債務超過に陥り、台湾の鴻海精密工業の傘下となった。液晶の勝ち組であったシャープが、液晶の堺工場を建設したことをきっかけとして一気に債務超過にまで至ってしまったのだ。日本の大手電機メーカーが、外資系企業に買収されるのは、これが初めてのことであった。それから2年の時を経て、鴻海の傘下でシャープは驚異の復活を遂げた。なぜ鴻海の傘下でシャープは復活することができたのか―。これが、この本の主題である。 |
経営基本方針の根幹となる3つの構造改革方針
- ビジネスプロセスを根本的に見直す
- コスト意識を大幅に高める
- 信賞必罰の人事を徹底する
3つの構造改革方針にブレはない。3つのキーワードは、次のように整理されている。
・Be Original.(誠意と創意)
・One SHARP(以和為貴)
・Responsibility(有限実現)
クーゼスとボスナーは、「リーダーシップ」とは人間関係でありサービスと捉えた。そして、「喜んでついてくる(willing follow)」人達、つまりフォロワーの存在が重要であり、基礎としての「信頼感(credibility)」を見出した。そのために必要な、共通の価値観の確立等の「6つの規範」を提唱した。その「6つの規範」とは次のように示される。
①自らの本質を見極める |
戴社長の場合は、「創業の精神」を改めて社内に根付かせるなど、伝統的な日本の価値観と重なるところが多く、これが社員から「信頼」を得られるリーダーシップにつながっている。しかしその一方で「信賞必罰」のよに、従来の「日本的経営」に”トランスフォーメーション(転換)”を迫る鴻海流のマネジメントも並立していて、そこに戴社長のスタイルである鴻海流「日本型リーダーシップ」の特徴があり、それこそがシャープ復活の最も大きな原動力となったと言える。(pp.80-81) |
「8KとAIoTで世界を変える」のスローガン。「人に寄り添うIoT」と「8Kエコシステム」がこれからのシャープの二本柱になるという。8Kは高精細の映像技術だが、「8Kエコシステム」として、放送・映像分野だけではなく、医療やセキュリティ分野への事業展開も進める。(p.88) |
郭董事長の「経営理念」を今まで述べてきた事例から整理すると次のようになる。
この郭董事長の「経営理念」を「規範破壊経営」と名付けた。この考え方が戴社長の考え方や行動、そして「日本型リーダーシップ」に影響を与えていることになる。(p.135) |
この後は東芝さんとの比較や、液晶だけでなく有機ELのことなど、新しい戦略や挑戦について書かれています。
日産との比較もなかなか興味深く、日本人以上に日本人らしく鴻海がシャープに入り込んできたことがよくわかる形で書かれていました。