〈未来〉のつくり方

〈未来〉のつくり方 シリコンバレーの航海する精神 (講談社現代新書)

著者:池田純一

そもそも「未来」ってどういう定義で話をしているのでしょう。そこに気づかせてくれます。(Inobe.Shion)

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内容紹介

なぜイノベーションはシリコンバレーで起こるのか? IoT時代に入り、Googleはどんな未来を描いているか? 大望を語る起業家、それを後押しする若き投資家、そしてITの巨人Google、Amazon、Facebook……彼らの合い言葉は「Better World」「Better Future」。彼らを突き動かす力の源を解き明かす渾身の論考!

シリコンバレーで今、何が起きているか?
Google、Amazon、Facebookが目指すものとは?

そもそも、なぜアメリカは〈未来〉を語り続けるのか?
なぜ、ウェブ文明はアメリカで生まれたのか?

知っているようで知らないアメリカの不思議を解き明かす。
イノベーションの聖地からウェブ文明の根源を問う渾身の論考!

【プロローグより】

未来とは、待てば自ずからやって来るものなのか。
それとも、未来は、自らの手で引き寄せ、築くものなのか。

……イノベーションの聖地であるシリコンバレーでは、圧倒的に後者の態度が取られる……彼らは、未来は自分たちで築くものだと信じている。では、なぜ彼らはそう信じきることができるのか。本書で扱うことは、突き詰めればこのことである。

【目 次】

第1章 ムーアの予言
第2章 月を穿つ
第3章 投資するビジョナリ
第4章 大望を語る
第5章 交歓するコマース
第6章 鏡としての東海岸
幕 間 ―西から東へ―
第7章 ソーシャルの磁場
第8章 反射するバーチャル
第9章 分散社会への郷愁
第10章 探究する思考習慣
第11章 アメリカというOS
第12章 二周目の近代

内容(「BOOK」データベースより)
なぜアメリカは“未来”を語り続けるのか?Google、Amazon、Facebookが目指すものとは?なぜ、すべてアメリカで生まれたのか?イノベーションの聖地からウェブ文明の根源を問う渾身の論考!

筆者は未来の「つくり方」というよりは「建て方」と呼ぶ方がよいのかもしれないと書かれているように悩んだ末のタイトルだったようです。

生活に行き渡ったテクノロジーは未来の台座になる。その台座に基づき、次なる未来に対する予見/構想が新たに紡がれる。その予見/構想に賭ける人々が絶えず現れることで、次なる未来が現実になる。(p.4)

また未来を語る上で根本的な視点があり、二択の問いを支える未来観、すなわち、未来は「やって来るもの」か、それとも「築くもの」か、という問いを分ける未来観ということです。

そしてそれを語る上で「未来」という言葉自体が肝になるようです。

実は、この日本語の「未来」と、英語tの“future”との間には違いがある。「未来」は「未だ来らざるもの」で、何か未来に属するものが目の前にやってくることを意味する。対して、”future”の原義は、ラテン語由来の”to be”であり、端的に「成る」「成長する」ことで、ある存在が自ら変容することを含意している。つまり、「何かが来る」と「自分が変わる」の違いが、「未来」と”future”の間には横たわっている。(p.312)
となると、アメリカ人ないし英語常用者にとってのfutureは、現在の存在の延長線上で「成る」ものなのだろう。だとすれば、その「成長」に自身がどう関わるかは”future”の根幹である。(pp.312-313)
こうした未来観の理解への補助線になるのが、文芸評論家の加藤周一による時間論だ。加藤の『日本文化における時間と空間』によれば、日本社会では、未来については「明日は明日の風が吹く」、過去については「過去は水に流す」という言葉がある通り、未来も過去も現在との接点を持たない。その意味で、日本人の時間の時間並びに空間感覚は「イマ・ココ」に集約されるという。であれば、未来が「何か(自分とは関係なく)やって来るもの」と思えても仕方がない。(p.313)
未来のつくり方という問いは、いくらでも範囲が広げられる大きな問いだ。オープンエンドで尽きることがない。その分、どのような舞台を設定するか、その初発の視点の取り方が大切になる。(p.314)

未来を描くシナリオプランニングにしても、「未来」の捉え方、まさにそこが一番の論点なのでしょう。

こういった議論は結構多いです。同じ認識だと思っていても意外と違うスコープであったりすることもきっと多いように思います。

先にその定義をしっかりしておくことは非常に大事だと改めて思い直させてもらった一冊です。

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