[amazonjs asin=”453231657X” locale=”JP” title=”経営は「実行」〔改訂新版〕”]
2015年の9月に読んだ本です。
もう3年前で、ちょうど大学院博士前期課程の修士論文に本格的にかかり始めた頃でしょうか。
当時はまだ転職の前で、仕事もかなりハードにやっていたころだと思います。
当時、抜き出して考えていたことをそのまま貼りますので、興味のある方は読んでみてください。
●以下、序文より
実行の中核をなす3つのプロセス
・人材プロセス
・戦略プロセス
・業務プロセス
リーダーが取るべき7つの基本行動
・人を知り、仕事を知る
・現実主義を徹底する
・明確な目標と優先順位を見極める
・フォロースルー
・成果を上げた者に報いる
・社員の能力を伸ばす
・己を知る
今後の良きリーダーを特徴づける資質
・自分を取り巻く世界について圧倒的な知識を持っている
・学ぶことをやめない
・驚くほどの柔軟性があり、状況が変化すれば素早く適応する
・自分についてくる者たちが元気になれるように前向きに指導し、自信を与える資質
●ラディ・ボシディは、主にゼネラル・エレクトリック、アライド・シグナル、ハネウェル・インターナショナルでの経営幹部としての経験をもとに語っている。ラム・チャランは、世界中の企業リーダーや取締役会のアドバイザーとしての35年にわたる幅広い経験をもとに語っている。(P.39)
●根本的な問題は、実行がビジネスの戦術だととらえられ、リーダーは実行を他人に任せ、もっと「大きな」問題に注力すべきだと考えられている点にある。この考え方は完全に間違っている。実行は単なる戦術ではない。ひとつの必修科目であり体系だ。企業の戦略や目標、文化に根付かせなければならない。そして、組織のリーダーは、深く関与しなければならない。その中身を誰かに任せることはできない。企業リーダーの多くは、最新の経営手法を学び、社内に広めることに膨大な時間を費やしている。しかし、実行を理解せず、実践しなければ、学び、主張してきたことの価値がなくなる。土台をつくらずに、家を建てているようなものだ。(P.43)
●実行は、現代の企業が直面する最大の問題というだけにとどまらない。いまだに実行について、満足できる説明はされていない。(P.43)
●実行とは、単に何かがされることでも、されないことでもない。実行とは、具体的な一連の行動やテクニックであり、企業が競争優位を手に入れるために習得しなければならないものである。実行は、ひとつの独立した専門分野なのだ。大企業、中小企業を問わず、いまや、成功するための必修科目になっている。(P.44)
●実行は、企業リーダーにとって確固とした戦略を選ぶのに役立つものでもある。意味のある戦略を立てるには、適切な資源や適切な人材など、戦略の実行に必要なものが組織に揃っているか、手に入れられるかを同時に確認しなければならない。実行の文化が根づいた企業のリーダーは戦略を、細かい道筋まで決めた分厚い企画書で権威付けするのではなく、道路地図に近いものにする。それによって、予想外の事態に、迅速に対応できるようにしている。実行されるように戦略がつくられているのだ。(P.44)
●どんな企業も、あらゆる段階のリーダーが実行のプロセスを実践しない限り、目標を達成することができないし、変化に対応することもできない。実行は、企業戦略の一環であり、目標とすべきものだ。実行は、目標と結果の間の失われた環である。だからこそ実行は、真の意味でリーダーにとって大きな、ほんとうに大事な仕事になる。実行の方法を知らなければ、リーダーがさまざまな取り組みをしても、それに見合った成果は上がらない。(P.58)
●全米企業経営者協会は2001年初め、経営者が自身の業績を評価する際に重視すべき項目に「実行力」を付け加えた。自社にどの程度の実行力があり、目標と結果のギャップをもらたしてるのは何なのか、経営者は自問する必要があると同協会は語る。これを実践している経営者は、現段階ではほとんどいないという。(P.59)
●実行とは何かを理解するうえで、念頭においておくべき点が3つある。
・実行とは体系的なプロセスであり、戦略に不可欠である。
・実行とはリーダーの最大の仕事である。
・実行とは、企業文化の中核であるべきである。
(P.60)
●実行は企業の戦術に関わるものだと考えられている。そもそもこれが大きな誤りだ。戦術は実行の柱ではあるが、実行は戦術ではない。実行は戦略に不可欠なものであり、戦略に形を与えるべきものだ。自社にどの程度の実行力があるかを考慮しなければ、意味のある戦略は立てられない。もっと小規模で具体的な点について語るのであれば、「実行」ではなく「実施」や「細部の詰め」などの言葉を使うべきだ。実行を戦術と混同してはならない。(P.61)
●実行とは、何をどうするかを厳密に議論し、質問し、絶えずフォローし、責任を求める体系的なプロセスだ。経営環境を想定し、自社の能力を評価し、戦略を業務や、戦略を遂行する人材と結びつけ、さまざまな職種の人々が協調できるようにし、報酬を結果と結びつけることである。また、環境の変化に応じて想定を変更し、大胆な戦略でぶつかる課題を克服できるように、企業の能力を引き上げるメカニズムでもある。(P.61)
●もっとも基本的な意味では、実行とは、現実と向かい合い、現実に働きかける体系的な方法だ。(P.61)
●実行の本質は、コアとなる3つのプロセス、すなわち人材プロセス、戦略プロセス、業務プロセスにある。3つのプロセスは密接に結びついており、スタッフ部門内のそれぞれの専門部署が抱え込むものではない。戦略は人材と業務の実態に即したものでなければならない。人材の選抜や昇進は、戦略や業務計画に照らして行われる。業務は戦略上の目的や人材の能力と結びついている。(P.62)
●何より重要なのは、経営者や経営幹部が、3つのプロセスすべてに深く関与している点だ。プロセスを統括しているのは経営陣であって、企画部門でもなければ、人事部門や財務部門でもない。(P.62)
●実行力のあるリーダーは、経営の観点から許容範囲を逸脱しているものを探す。利益率から昇進させる人材の選抜まで、シックスシグマと同様に、実行の体系も、社員が習得し、絶えず実践しなければ、うまくいかない。一部の社員が実践するだけでは、うまくいかない。実行は企業文化の一部であり、あらゆる段階のリーダーの行動を促すものでなければならない。(P.71)
●実行における知的な挑戦とは、建設的で一貫性のある質問をし続けることによって、問題の核心をつかむことにある。たとえば来年の市場全体の成長率は横ばいであるにも関わらず、ある部門の責任者が8%の売り上げ増を目指しているとしよう。たいていの経営者は予算の検討段階では、反論や議論もせず数字を受け入れる。しかし、実行力のある経営者は、業務計画の検討段階で、目標が現実的かどうかを知ろうとする。(P.73)
●経営者は、業務計画書にただ署名するわけではないのだ。説明を求め、答えが明確になるまで追求する。経営者の力量は、その場にいる全員の参加を促し、全員の意見を引き出し、広く評価し、取り入れる点にある。(P.74)
●経営者自身が現実を直視できてない場合もある。経営者に自社の強みと弱みを説明するよう依頼すると、強みについては立て板に水のごとく答えてくれるが、弱みについてはきちんと把握できていない。そして、弱みについてどんあ対策を講じるのかと尋ねると、明快な答えや一貫性のある答えが返ってくることはまずない。「利益を上げなければならない」と言う。もちろん、そうだ。だが問題は、どうやって利益を上げるかだ。(P.113)
●現実を直視するのとは、つねに自社を現実的に見ること、それを他社と比べることだ。世界中の企業でいま何が起こっているのかに常に注目し、自社の進歩の度合いを内側からではなく外側から測るのだ。「去年に比べて進歩したか」ではなく、「他社と比べてどうか。他社はもっと進歩したのかどうか」を問う。
これが、自社を現実的に見る方法だ。(P.114)
●実行力のある経営者は、誰にでもわかる優先課題ををごく少数に絞り込んでいる。なぜ、ごく少数なのか。第一に、経営の論理を考えらば、優先課題を3つか4つに絞り込んだ場合に、既存の経営資源から最高の結果を引き出せるのは明らかだ。第二に、いまの企業組織では、優先順位をはっきりさせなければ、従業員がうまく実行できない。旧来の階層型企業では、優先順位はそれほど問題ではなかった。指揮系統に沿って命令が下されるので、何をすべきかがわかったからだ。しかし、マトリックス組織で意思決定が分散化され、細分化されると、さまざまな階層の従業員が、つねに何を優先させるべきかを考えなければならない。(P.115)
●私はリーダーとしての経験を積むにつれ、その経験をプロセスに生かすようになった。たとえば人材プロセスでは、当初は、仕事の出来に注目していた。結局、それが企業を動かしているからだ。その点は相変わらず注目しているが、時が経つにつれて、その人材がどんあ将来性を持っているのか、について考えるようになった。以前より多くの質問をして、長期的な可能性について議論するようになった。(P.157)
●私は根っからの現場人間であり、いつも自分の仕事に懸命に取り組んできた。仕事に情熱をもち、惹かれ、好奇心を持ち続けてきた。この点が組織を変えられるかどうかの決め手になる。組織を変革するのは厄介で骨が折れると思えば、うまくいかない。過程を楽しむことだ。そうでなければ企業の変革はできない。(P.158)
●人材プロセスは、戦略プロセスや業務プロセス以上に重要なものだ。結局のところ、市場がどう変化するかを判断し、その判断に基づいて戦略を策定し、戦略を個別の業務に落とし込むのは、組織のなかの人間なのだから。要するに、人材プロセスが適切でなければ、企業の潜在能力を生かすことはできない。(P.193)
●しっかりした人材プロセスでは、以下の3つのことが実践されている。第一に、各人を正確に深く評価する。第二に、幹部となる人材を見極め、育成する枠組みを作る。どんな企業でも戦略を実行するには、あらゆるレベルであらゆる種類のリーダーシップを発揮できる人材が必要になる。第三に、強力な後継計画の基礎となるリーダーシップ・パイプライン(補給線)を確保する。(P.193)
●これらをすべて実践している企業はほとんどない。従来の人材プロセスの最大の欠点は、過去に目を向け、現在のポストでの仕事の評価を重視している点にある。はるかに重要なのは、明日の仕事ができるかどうかだ。(P.194)
●しっかりした人材プロセスは、長期的にどのような人材へのニーズがあるかを確認し、それを満たすための行動計画を策定する強力な枠組みを提供する。その前提になるのが、以下の構成要素だ。(P.200)
・戦略計画や、短期・中期・長期の中間目標、具体的な業績などの業務計画と結びついている。
・継続的改善、後継者層の充実、離職リスクの軽減を通して、リーダーシップ・パイプラインを形成する。
・業績不振者の処遇を決める。
・人事部門の役割と業務を変える。
●戦略を現実的なものにするには、人材プロセスと連動させなければならない。戦略の実行を担う職に、適切な人材を配置しているだろうか。配置できていなければ、どうやって適切な人材を確保するのか。戦略計画の具体的な項目は業務計画と連動させ、組織内の各部分が協力して目的地を目指すようにしなければならない。(P.236)
●戦略計画をまとめ、そのあとは丸投げして、うまくいくかどうかを見ているだけではいけない。まず目標を定めなければならない。「何を実行するのか。理解を深めるべき重要な問題とは何か。最終的にこの戦略が有効なのはなぜか。」こうした問いをもとに、戦略計画を固めていけば、目標を達成できる可能性が出てくる。(P.246)
●しっかりした戦略計画を策定するには、以下の質問に答えなければならない。
・外部環境をどう評価するか。
・既存の顧客や市場をどの程度、理解しているか。
・利益を上げながら事業を成功させる最善の方法は何か。成長を妨げているものは何か。
・競争相手は誰か。
・自社に戦略を実行できる能力があるか。
・戦略計画を実行するうえで、何が重要な中間目標になるか。
・短期と長期の整合性が取れているか。
・事業が直面している重要な問題は何か。
・どうすれば持続的に利益を上げられるか。
(P.246)
●従来型の予算策定の最大の問題は、現実とかけ離れた目標が、その達成を担う人たちにとって何の意味も持たない点にある。この問題を解決するのが、実行の社会的ソフトウェアで行われる業務プロセスだ。業務プロセスでは、関係者自身が現実的な目標を立てる過程に参画するからだ。そして、この目標は報酬と連動しているため、業務計画を完全に自分たちのものにしたいと考える。これによって責任感が育まれる。(P.324)
●ビジネスの仕組みの本質は、人材、戦略、業務という3つのプロセスがいかに結びついているかにある。リーダーは個々のプロセスと、それが全体としてどう関連しあっているかを学ばなければならない。それが実行という体系の基礎であり、戦略を策定、実行する上での柱になる。それらが、競争相手に差をつける手段になる。(P.329)
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この著作ですが、かなり読みこんだのを記憶しています。多くの気づきを得られた記憶がありますが、何度も繰り返して読んでいかないと身につくというか、自然に出てくるまではなかなかやはり努力がいるように思いました。