「いつ、どこでも求められる人」の仕事の流儀

「いつ、どこでも求められる人」の仕事の流儀 (単行本)

著者:岩田 松雄 … 

岩田さんの本はもう何冊か読みましたが、それぞれ同じようなエピソードが書かれてはいますが、読むたびに「気づき」を与えてくれます。(Inobe.Shion)

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内容紹介

スターバックス、ザ・ボディショップで
CEOを務めた著者が明かす
「価値ある人材」になる働き方。

仕事への取り組み方、コミュニケーション、
時間の使い方、リーダーシップ……
できる人は「経験」をどう活かすか?

*「そこまでやるか!」というインパクト
*人の心を動かす「ストーリー」の力
*「やらないこと」を明確に
*人は「チャレンジする人」についていく
*オンリーワンの鉄則――「好き」で「得意」で「人のため」

仕事の成果は「人」によって大きく変わる。
期待を超える、活気を生む、人を育てる……
あなたが生み出すべき「功績」は、もっとある!

内容(「BOOK」データベースより)

目的がいつも明らかな人、「しっかり伝わる」話をする人、楽しそうに働く人、「問いかける力」がある人。できる人は、「経験」をどう活かすか!スターバックス、ザ・ボディショップでCEOを務めて実感した、「価値ある人材」とは。期待を超える、活気を生む、人を育てる…あなたが生み出すべき「功績」とは。

「はじめに」に書かれているのですが、この考え方は素敵です。

私は、「仕事」は本来、「志事」であるべきだと考えているからです。つまり、仕事を通じて自己実現をする。仕事こそが人を磨き鍛えてくれる修練の場であり、自分の志を遂げる手段だと思っています。もし時間を忘れて打ち込める仕事が見つかれば、それはとても充実した人生が送れるのではないかと思います。(p.1)

また次のこともなるほどそういうことだったのかと気づかされました。

仕事の成果は「人」によって大きく差が出ます。その差はどこから来ているのでしょうか?

  • 「何をするのか」ではなく、「なぜするのか」をきちんと考えている
  • 相手の気持ちになって、とことん奉仕することができている

こういうことを意識して働いているかどうかで、成果が違ってくるのだと思います。(p.2)

昨今、IT(情報技術)関連産業などのことを「第四次産業」と呼ぶそうです。そうだとすると、リッツ・カールトンやディズニーランドのような「感動体験」を提供する産業は、その次の段階の「第五次産業」であると思います。・・・日本は多くの「もの」に溢れています。こんな時代だからこそ、「もの」ではなく「感動体験」を提供する第五次産業が、今後、大きく成長していくのだと思います。(pp.20-21)
たとえ失敗しても、それが前向きなチャレンジであれば、必ず何かプラスになることが得られるはず。逆に何もしなければ、何も得ることはできない。「座して死を待つ」などできない。・・・何か大きな決断するときは、誰しも大いに悩みます。何もしなければ、大きなリスクは発生しませんし、失敗の責任も取らずにすみません。しかし、それでは何も得ることはできません。「脱皮できない蛇は滅びる」のニーチェの言葉通り、組織も、人も、現状に安住することなく、常に自分を再生、深化させていく必要があります。リーダーがリスクを取って前向きに挑戦する姿勢を示せば、社員やメンバーも積極的にチャレンジするようになり、組織やチーム全体が活性化していきます。自ら意識的にチャンレンジをすること。逃げずに決断する勇気を持つこと。ただし、万が一、失敗したときは、自分が全責任を取る覚悟を持つことが大切です。(pp.54-55)
人はブランドの裏にある「ストーリーとしてのレガシー」を求めて、商品を購入するのではないでしょうか。創業の経営理念やミッションは、時間とともにどうしても薄れていってしまいます。事あるたびに、創業の志をもう一度確認してみることが大切です。そこには必ず、「再生」や「復活」のヒントが隠されているはずです。(p.81)
私はよく新入社員研修などで、こんな話をしています。
「皆さんは今、新人だから教えてもらう立場だけど、来年はあなたたちが、今学んでいることを教えないといけないんですよ」
先輩の話をただ何となく聞いて、分かったような気になっているだけでは、自分が教える立場になったときに、絶対に教えられません。しかし、「来年は自分が教えるのだ」と自覚すれば、話を聞くときの意識が変わるはずです。大事なポイントをメモし、理解が曖昧なところは質問をして、次は自分が後輩たちに教えられるように、真剣に取り組みます。(pp.88-89)

これはなかなか深いです。「学び」の最終のカリキュラムがが「教える」というように考えるといいでしょうか。これがベストなカリキュラムだとすると、会社でも教わっただけで教える機会がなかったものは気づきが少ないままずっと業務を続けることになります。そうでなく、一度教えることで学べているか、わかっているかを自分で確認するという機会があるかないかはその後の仕事の仕方にも大きく関わってくることでしょう。考えさせられます。

 

今、目の前にある仕事でスキルを積み重ねていけば、まったく違った未来も見えてきます。まずは今やるべきことに全力投球し、自分のスキルをきちんとした形にまとめておき、「レガシー化」しておく。これが自分の知的財産となっていくのです。(p.92)
「一流になるためには、一流のものに触れる」一流のサービスを行うためには、「一流」や「本物」に直接触れることです。本物の「輝き」や「品格」とは何かを理解しなくてはいけません。一流のおもてなしをするには、サービスを提供する側の人間自身が、「10」のおもてなしを受けたら、「10」のすべてを察することができるような「感度」を高めていかなければなりません。・・・一流と呼ばれているのはどんな人なのか。本物と呼ばれているのは、どんなものなのか。背伸びしてでも、そういった一遊に触れる努力を続けることがとても重要です。そういう姿勢が「おもてなしの心」や「レガシー」と言われる作品を生んでいくのではないでしょうか。(p.111)
大切なことはとりあえず目の前の仕事を一所懸命やって、履歴書に一行でも書けるような「実績」を上げるようにすることです。言い換えれば、まずは目の前の仕事で「レガシー」をしっかりと残しなさいということです。たとえば、自己紹介するときに、「私は車のセールスマンをやっていました」と言うのと、「車のセールスで『社長賞』を取りました」では、相手に与える印象がずいぶん違います。・・・若い人に限らず、仕事をする上で重要なのは、目の前の仕事に全力投球して、履歴書に書けるような何らかの実績(=レガシー)を残していくことです。「私は〇〇という部署にいました」というのは「経験」であって、「実績」でへあありません。「私は商品企画にいました」ではなく、「私は〇〇という商品を開発し、50万個売りました」「私はエリアマネージャーとして10人の店長を育てました」など、具体的な実績を残すことを目標にするのです。(pp.116-117)

これは分かりやすいです。人生100年時代にいて、よりよく生きていくためには、「証」となるものを積み上げていく必要があります。具体的に伝わりやすいもの、それが「実績」なのでしょう。

目の前の仕事に対して、全力投球をして履歴書に書ける「実績」を残せば、必ず次のステージへの大きなチャンスがやってきます。履歴書の実績に関しては、できるだけ「定量的」に書いた方が説得力があります。○億円とか△パーセントとか具体的な数値で語るようにすべきです。その実績がやがて、あなたの「レガシー」となり「ブランド」となっていくのです。(p.117)
企業戦略やマーケティングでは、一般的には、何をするのか?誰に売るのか?を決めることになりますが、その一方で、「何をしないのか?」「誰に売らないのか?」を決めることも重要となります。・・・何かを「あきらめる」というのは、決してネガティブなことではありません。どんなお店にしても、商品にしても、あらゆる人々の期待に100%応えることは不可能です。だったら「内をしないのか?」「誰に売らないのか?」をはっきり決めて、選んだお客さに対してのサービスを徹底する。これがまさしく「こだわり」を明確にする戦略であり、マーケティングです。・・・何かを得るために、別の何かをあきらめる。こういう考え方はどんな企業、どんな個人でも重要なことだと思います。あなたは仕事で、「何をやらないのか」をきちんと決めていますか?(pp.120-121)
「レガシー」を残すことは、まさしく「自分がそこにいた証」をつくることです。目に見える「志事」(作品)だけではなく、人を感動させた言葉や文字もレガシーとして残っていきます。記憶に残る「言霊」が、人々に大きな影響を与えるのです。(p.126)
上司の言葉一つで、部下のやる気は変わります。そして、私がそうだったように、ずっと心の支えになります。そして「この人のために」と頑張れるのです。仕事をしていて、とてもつらいのは、「こんなことをしていて何か意味があるのか・・・」と、仕事の意義が見出せなくなる時です。リーダーは、「この仕事は何のためにするのか」と、仕事の目的や意義をしっかりと伝えないといけません。それなしに、ただ「やっておけ!」と言われても、部下にとってやらされ感しかなく、モチベーションは上がりません。(p.135)
「伝える」と「伝わる」は違うのです。相手に「伝わる」ようにするためには、何度も何度も同じことを繰り返す。さまざまな角度から伝え方を工夫して、相手の心に響くように言い続けていく。そうしてはじめて「言葉のレガシー」となっていくのです。(p.153)
私たちの人生において「仕事」が多くの時間を占めています。だからこそ、その仕事をどう捉えるかによって、人生の充実度や満足度が大きく違ってきます。この点、西洋では、仕事についてどちらかというと、やりたくないもの、苦痛なもの、というように思われています。・・・一方、日本語では、仕事は「事」に「仕える」と書きます。仕事の語源は単に「為す事」という意味で、生きていくためにすることであり、そこに拷問とか、苦痛というニュアンスはありません。私は、この仕事をさらに前向きにとらえ、自分の志を遂げる手段として「志事」にすべきだと考えています。私たちは何か世の中の役に立つ仕事を通じて自己実現していくべきです。逆に仕事を「私事」という、「わたくしごと」にしてはいけないのです。・・・本来、周りにいる人を幸せにするために「働く(=傍を楽にする)」のに、自分の私利私欲のために働いてしまっている。これでは、「志事」とは言えないのではないでしょうか。(pp.156-158)

フランス語の仕事:travail(トラバーユ)の語源→ラテン語の「trepalium」拷問の道具
アルバイト:ドイツ語 arbeitの語源→ゲルマン語の「arba」下男、奴隷、家来
英語:labor の語源→ラテン語の「toil」苦痛

とのことで、西洋では「苦痛」系なんですね。

『ビジョナリー・カンパニー2』の中に、「ハリネズミの概念」があります。「情熱をもって取り組めるもの」「世界一になれるもの」「経済的原動力になるもの」という、この3つの輪が重なり合う部分を事業戦略の中巣に据えなさい、と書かれています。この考え方は、個人のミッション(志事)を考える上でも、とても参考になります。

  • 情熱をもって取り組めるもの=好きなこと
  • 世界一になれるもの=得意なこと
  • 経済的原動力なるもの=人のためになること

というふうに読み替えれば、個人のミッションを考える上での参考になります。(pp.171-172)

誰しも、自分でさえ気がついていない大きな可能性を秘めています。それは何か分かりませんが、自分の可能性(未見の我)を信じることがとても重要なのです。自分にはまだまだ無限の可能性がある。そう信じることが新たな「レガシー」につながる扉を開く鍵になります。いくつになっても「未見の我」を信じて、まだ見ぬ自分を発見する旅に出ていくのです。自分探しの旅は、実はあなたの中にある「未見の我を探す旅」なのです。(pp.184-185)

さて、次は第5章の「組織を強くしていく」なのですが、ここで引用されている名言が心に刻んでおくべきものばかりです。

  • 植木を植えて、30年たたなければ材木にはならない。だからこそ後世のために木を植えるのだ。今日用いる材木は、昔の人が植えたものだとすれば、どうして後世の人のために植えないでよかろうか(二宮尊徳)
  • たとえ明日、世界が滅亡しようとも今日私はリンゴをの木を植える(マルティン・ルター)
  • 金を残して死ぬ者は下、事業を残して死ぬ者は中、人を残して死ぬ者は上(後藤新平)
  • 人は、自分自身のために生きるより、他人のために生きる方が満足が、大きい(ヘルマン・ヘッセ)
『ビジョナリー・カンパニー2』には、「良い(GOOD)会社」が「偉大な(GREAT)起業」に飛躍した理由が書かれています。その飛躍に向かう変化点には、必ず「第5水準のリーダー」が存在していたことを挙げています。「第5水準のリーダー」とは、うまくいったら「窓の外」を見る。つまり、運がよかった、仲間に恵まれた、環境に恵まれていたと考える。うまくいかなかったら「鏡」を見る。つまり、自分自身を見つめ直して、自分に原因があったと県境に反省するのです。(pp.216-217)

色々な気付きを得られました。本文にもありましたが、少し俗物的かもしれませんが、履歴書に書ける1行を作っていくというのは分かりやすく感じました。しかも、その1行は単なる経験ではなく、実績として書ける数値を伴わせられるようなものにしていくことが大切なのだと。

去年、私も転職をしましたが、新しい、様々な経験をずっと得てきています。ここで経験値を広げて、深め、単なる経験でなく実績として履歴書の行数を増やしていきたいと思います。

そして、目指すところに近づいていきたいと思います。

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