編:阿部正治、前川孝雄 …
社会に出ると必要なのに体系的に学べていない技術。それらについて、5人のプロがエッセンスを披露。早く学べば、それだけ得るものも大きくなるはず。若い人にも是非伝えたい技術です。(Inobe.Shion) |
内容紹介 自ら課題を見つけ,解決できる人になる 大学で学ぶための技術と社会で働くための技術は同じもの──労働経済学者と人材育成コンサルタントが,プロとの対話からその極意を引き出す。楽しく読み進めるうちに,熟慮し,行動し,協働する,つまりは生きていくために大切なことを感じ取れる,実践の書。内容(「BOOK」データベースより) 労働経済学者と人材育成コンサルタントが、プロフェッショナルとの対話から、6つの技術の極意を引き出す。 |
「読み」「書き」「算盤」と同様の、大学生や社会人に必要とされる技術があるというわけです。
私たちが必要だと考えているの技術は、具体的には、
です。今回、これらの技術に長けたプロフェッショナルな人たちから話を伺って、改めてわかったことがあります。それは、私たちがこれらの技術を体系的には学んでいないということです。でも、私たちがこれらの技術をまったく身につけていないかというと、そういうわけでもありません。・・・周囲によいお手本があればよい技術が身につきますが、そうでないと、あまり良い技術を身につけることができません。・・・だからこそ私たち二人は、体系的にこれらを学べないかと思って、本書をつくったのです。(pp.ii-iii) |
■自己を知ってもらう技術
自己紹介は、簡単に言うと、自分の概要をシンプルにしゃべることだと思います。先ほど言いましたけど、「〇〇な時文」とか、「〇〇をやっている自分」というようなキャッチコピーが思い浮かぶようなものが、僕は一番いい自己紹介ではないかと思います。自己紹介で、自分のいいところをしゃべる人がいますが、自己PRをしすぎると自慢に聞こえて、意外と鼻についたり傲慢に思われたりします。僕は「PR]と「紹介」は全然違うと思います。(p.8) |
それから、自己紹介にはもう一つ役割がある。僕がよく心掛けているのは初対面というのはお互いに緊張しますので、互いの緊張を緩和するということをやらなくちゃいけません。僕は緊張の緩和にはお笑いがすごく効果的だと思っています。(pp.8-9) |
初対面のときの自己紹介では、緊張があるなかでそれを緩和させるための接点を探すことが大事だということだと思います。年配の非常に硬い感じの方が相手であれば、きっちりした中でもどうにか接点を探して、緊張を緩和していく。そうすると質問が出てきて、対話ができて、海渡できて、関係をつくっていくことにつながります。だから相手が誰であっても最初は、緊張を緩和する点がどこになるのかということしかないんです。それをすごく意識しています。(p.16) |
批判とか批評めいたことを話すのは第一印象が悪くなると思います。自分の端緒を話してその裏返しが長所にもなるというのであれば好感が持てますが、第三者の悪いところを話すのはよくないです。(p.18) |
僕は、運がいい人やチャンスをつかむ人って準備をしている人だと思っています。ちゃんと準備して待っている人って運がいいですから。準備をしていないと、自己紹介は名前・属性を言って終わってしまいます。ビジネスは準備がすべてですから。スタートラインに立った時点、つまりやる前からすべて決まっていると思います。やってみないと分からないというより、準備をしておかないとそれ相応の成果は出てこないと思います。想像するとかシミュレーションするとか仮説を立てるとか、要は全部準備なんですよね。(pp.19-20) |
自分を知ってもらうために、相当な準備と努力をしていることがよくわかりました。さまざまな企業で働き、社会人として経験を積むなかで、その重要性を実感されているからだと思います。(p.24) |
そもそも人は知らない人と対峙すると、緊張し警戒します。そのため自己紹介をおろそかにすると相手の緊張や警戒が解けず、そのまま仕事の本題に入ってもスムーズに進まないことが多いものです。自己紹介では、自分らしさが伝わることが重要です。それも客観的事実に基づいて、伝えられるとよいでしょう。社会人の場合、その「らしさ」についての情報のなかに、相手にとって好き嫌いのみならず、仕事上、役に立つか立たないかを判断できる内容が含まれることが欠かせません。相手が配属された先輩や上司ならば、あなたはこのチームのなかで役割を担えそうかどうか、相手が営業先の企業や個人ならば、あなたは自社課題の解決に役立ちそうかどうか判断してもらい、できるだけプラスの印象を抱いてもらう工夫をするのです。(p.25) |
社会人にとって、時間は貴重な資産です。相手の時間を奪わないためにも、最初から話しすぎるのはよくありません。自己紹介する相手のことを事前に調べて、どこに関心があるか仮説を立て、その仮説に沿って自分が役に立てることを匂わせるところでいったん留め置くことです。・・・ここで相手が関心を示し、質問などをしてくれれば、その質問に対して答えていくことで、コミュニケーションを深めていくのです。相手が会社や商品・サービスについて関心を寄せ質問してくれれば、あなた自身について深くお伝えする。こうして会社を代表するあなた自身を知ってもらうのです。(p.27) |
■相手を知る技術
ジョン・ガンサーというジャーナリストの書いた下記の著作がインタビューをするに際して、非常に役に立つ技術論・方法論が隠されているらしいです。
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しかし、残念ながら絶版のようですね。復刻を願いたいですね。
ギブの心構えとは、相手のお役に立とうとする姿勢です。そうはいっても、若手のうちは目上の相手にギブできることは少ないでしょうから、「私のために時間を割いていただき、ありがとうございます」と、まずは感謝の意を表することです。少しずつ経験を積んでいき、相手のお役に立てる情報提供や相談に乗ることができるようになってきたら、積極的に実践するようにしてきましょう。相手を知るには、相手の立場に立ちお役に立とうとする姿勢が大切なのです。(p.59) |
■記録する技術
「ノートを書くときも、自分の弱点はどこなんだろうとか、どうやったらもっといいノートになるんだろうとか、自分が必要としているものって何だろうとか考えながらノートをとらなきゃ意味がないんです」って言うんです。「ノートは、近い将来見直す自分のために書いているんです。だからこそ、未来の自分に気を遣って書かなければ、ノートって意味がない」。この「未来の自分に気を遣って書く」は名言だと思いました。その言葉で、私もノートを書く意味がようやく分かったと思いましたね。(p.69) |
私もこのブログはそういう意味があって、今の自分の「気づき」を未来の自分が「見直す」。その気づきがアクションとしてなされているか、知識が活かされているか、それを振り返る意味もあって、「いま」気になったことをピックアップしていっています。ですが、本末転倒になっているかもしれません。このピックアップ自体が目的になってしまっていて、見直せてないんですよね。これでは何のためにやっていってるか分かりませんね。改めて、気を引き締めて、目的を忘れずにやっていかなければと考えさせられました。
■プレゼンテーションの技術
プレゼンテーションにおいて、何よりも大切なのは、自分のなかに伝えたいことがあることです。問題意識を持ち、これは何とかしなければならない、または何とかしたい、と「自分ごと化」した、強い想いがあることが欠かせません。この強い想いがあると、おのずと自分の言葉で伝えられるようになります。他人からの受け売り、借り物の言葉では、相手に響きません。自分の言葉だから、相手に届きやすくなるのです。・・・強い想いがないのに、美しい資料だけつくってみせても、誰にも響きません。プレゼンの土台は、強い想いなのです。(p.120) |
2つ目の技術は、プレゼンテーションする相手への思いやりがこもっていることです。伝えたい内容が絞り込まれていても、それが自分本位で相手のためにならないものでは受け入れてもらえません。相手が何を期待しているのか、考え抜かなければなりません。(p.122) |
3つ目の技術は、ストーリー立ててプレゼンテーションを組み立てることです。いかに素晴らしい内容であっても、話があっちに飛んだりこっちに飛んだりしていては、相手は混乱してしまします。持ち時間を意識して、そのなかで、起承転結を考えるなど順序立てて組み立てることが大切です。(p.123) |
■自分の考えを伝える技術
人間の頭は非常に優れていますが、情報の整理は「外化」したほうがより分かりやすく、発見も多いんです。・・・アイデアの整理には数多くの方法がありますが、梅棹 忠夫さんの『知的生産の技術 (岩波新書)』で紹介されている「こざね法」です。(p.134) |
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ビジネスシーンにおいて自分の考えが相手に伝わるためには、 (1)伝えたいことを絞り込むこと (2)伝え方を工夫すること が求められます。(p.151) |
■問題を発見・解決する技術
問題解決に向けたリーダーシップには、どのようなステップがあるのでしょうか。最初のステップは、ビジョンを描くことです。第二のステップは、問題の先にあるビジョンに到達するために、周りを巻き込んでいくことです。第三のステップは、小さな成功体験を積み重ねることです。(pp.188-191) |
こちらの著作は、大学生~社会人なり立ての方向けに書かれていますが、聞いている人がその道のプロの方なので、それ以上の方でもいろいろな学びはあると思います。学べるか学べないかは、学ぼうとする意志があるかないかです。何か吸収しようというつもりで読んでいくと何かしら気づきはあるものです。