著者:アービンジャー・インスティチュート
『自分の小さな「箱」から脱出する方法』という著作がありましたが、それの《ビジネス篇》とのことです。原題は “The Outward Mindset”。なんて訳したらいいのでしょうか。「外向き思考」なのかなぁ?そのあたりも本文から感じ取っていきましょう。(Inobe.Shion) |
内容紹介 Google、Apple、Microsoft…… 数々の有名企業が研修に採用した150万部ヒットのベストセラー、待望のビジネス篇!!「上司のなかには、カリスマ性や意志力、 あるいは恒常的なマイクロマネージング(常に細かいことにまで指示を出すこと)によって、 マインドセットにかまわず部下を短期間に変える人もいるでしょう。 しかし、私の経験からいうと、そんなものは長続きしません。 その上司がいなくなれば、あっという間に元に戻ってしまうでしょう」*「自分から動く部下」になってもらうには? *「いい報告」でミスを隠す部下になんという? *会社の評価基準に振り回されずに自分の仕事をやり抜くには? *上司が正当に評価してくれないと思ったら? *外回りの営業が楽しくて仕方ない人の考え方とは? *社内の部署間対立を解決するには? どんなに組織論、リーダー論、モチベーションアップ法を学んでも結局うまくいかないのは、 内容(「BOOK」データベースより) |
ストーリーを交えながらですが、そこから大切なポイントを説明するというタイプの進め方になっています。
かつては問題社員のレッテルを貼られていた人たちが、新たなリーダーシップとアプローチのもとではスター社員になれるのなら、業績の好転を含めた組織の改善に必要なのは、問題のある人材を追い出すことではなく、彼らにやるべきことが見えるように手助けすることではないだろうか。つまりは、マインドセットをどう変えるのかということだ。(p.25) |
サーバントなタイプのリーダーということでしょうね。
たしかにリーダーはミッションを与え、今できることを指示することも必要ですが、謙虚で優秀なリーダーは指示するだけでなく、部下自身にもやるべきことが分かるように導くのです。状況を正確に理解できれば、部下たちはそれぞれが主体性と自発性を発揮するようになります。すると、自分で仕事を作るようにもなります。それぞれが現状にふさわしいと考えたことを実行に移せば、リーダーの指示を単に実行するよりも状況に応じて刻一刻と変化するニーズに即座に対応できるような柔軟なチームができあがります。こうしたスピード感や対応力といったものは、部下を強制的に管理し、組織をまとめようとしたところで、生まれてくるものではないのです。(p.26) |
以下、マインドセットの変化に伴う行動の変化が大きな意味を持つことについて説明されています。
行動モデルがうまくいかないという事実については、マッキンゼーが行ったいくつかの調査によって裏付けられている。ある調査では、「マインドセットの問題を認識せずに放っておくと、組織全体の改革も行き詰る」ことが分かっている。また別の調査では、「組織に浸透しているマインドセットの問題を最初から認識して改善に取り組んだ組織は、見過ごしていた企業に比べて組織改革に成功する率が4倍高い」という結果が出ている。(p.35) |
社員が共通して持ち合わせているマインドセットを変えずに行動だけを変えようとしても、抵抗されてしまいます。上から、指示されるままの行動をとらせるだけならある程度は可能かもしれませんが、彼らの意志による行動は、マインドセットを変えない限り起こりえません。そして、この“自分の意志による行動”こそが大きな変化をもたらすのです。(p.37) |
組織における報酬システムや社内指標、個人の出世や利己心といったものを重視してみんなが自分のニーズやチャンスなどのエゴを追い求めると、チームや事業全体に損害を与えることになる。要するに、組織もそこに属する人々も、みな内向きになるとすべてが行き詰ってしまうのだ。(p.42) |
そして、次には大変奇妙ですが、なるほどといった事例が書かれていました。これは非常に面白く感じました。
幹部たちにパ絵を組むことを提案した。そしてそれぞれのペアに、1対1で2時間ほどミーティングを聞いてもらう。やるべきことは2つ。まず第一に、相手の仕事内容をできるかぎり知る。第二に、互いに相手の仕事内容を知る過程で、それぞれが相手の仕事の主要部分を存続させるために、自分に何ができるかを考える。相手の予算を削る手伝いではなく、相手の予算を残すために、自分にできることを見つけることが課題となった。1億ドルのコスト削減を目指す方法として、「他のチームの予算をカットしない方法を考える」というのは、奇妙に思えるかもしれない。ところが、この1対1のミーティングのあいだに、意外なことが起こり始めた。仲間の仕事内容についていろいろ知っていくうちに、誰もが「仲間の仕事を助けたい気持ち」になっていたのだ。幹部たちはみな、仲間の仕事の主要部分を存続させるために、自分の仕事の領域でなんらかの削減をすると申し出た。(pp.43-44) |
マインドセットが内向きから外向きにシフトすることによって、人はより良い選択肢について考えられるようになることがわかったはずだ。それは、マインドセットが外向きになると、自分以外のものにも目を向け、自分にとって得か損かという狭い了見を超えた考え方ができるからだ。外向き思考へのシフトによって、周囲の人たちに対する見方、関心の持ち方、関わり方も変わってくる。(p.51) |
マインドセットが外向きへと変わっていくにつれ、彼らは自分にとって必要なことばかりでなく、自分以外の人―仲間やレイオフを実施した場合に影響を受ける人たち―にも目を向け、尊重するようになった。このとき突破口が開いた。他社への見方が変わったことで、彼らの考え方や行動も変わり始めたのだ。(pp.51-52) |
人がなかなか外向き思考になれない理由として次のような例が挙げられていますが、こういった覚えは自分自身にもありますので注意をしなければならないところです。
他人の欠点に注目することで自分を正当化する。それは現実の世界でも想像の世界でも同じこと。自分を正当化し、他人を責めることは、個人的にも社会的にも大きな代償を払うことになる行為だ。他人の失敗は、「本人が悪いんだから、手を貸す必要はない」と考える言い訳になる。自分の個人的な失敗は、「誰かが自分の邪魔をした証拠」になる。(p.77) |
これ、身に覚えがあるんですよね。ホントに注意しないといけません。
常に外向き思考で働く人たちを観察した結果、あるパターンが見つかった。
この3ステップが、外向き思考による仕事の仕方を身につけ、維持するための実践的なアプローチである。(pp.106-107) |
ボーイング社のビジネスプランレビュー(BPR)というのが紹介されています。BPR10か条というのがあって、下記のようなもののようです。(p.110)
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その他、この著作に載っていないような情報がWEBサイトにもあるようです。
https://www.arbingerjapan.com/