武器としての経済学

武器としての経済学

著者:大前 研一…

最近の大前本はレビューを見ても、極端な評価が多いですね。さぁ、あたりかはずれか・・・結局、評価なんてどれだけ自分が吸収できるかですから、方向性が合わなければ「がっかり」ということになりますが、結果は如何に。(Inobe.Shion)

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内容紹介
あなたは「経済の教養」に自信があるか?「円高と円安だったら、輸出大国の日本にとっては円安のほうが有利」–そんな“古い常識”を信じていないだろうか。
「失業率が低くなったのに、景気が回復しないのはなぜか」–この質問に、あなたは答えられるだろうか。

経済の常識が、大きく変わりつつある。そして、「新たな経済知識」を身に付けていることが、ビジネスパーソンにとって欠かせない条件になってきた。

為替、株価、物価、金融政策、雇用、景気、GDP、不動産市況……経営コンサルタントの大前研一氏が、これら25の視点から「武器として使える経済学」を指南する。

「2020年の経済」を見通す、ビジネスパーソン必読の1冊。

知識がなければ、戦えない。

【編集担当からのおすすめ情報】
学校や会社では、「経済の教養」は教えてくれません。

「マイナス金利」について何となくわかったつもりになっていても、「なぜ日銀がマイナス金利にしたのに日本経済は浮揚しないのか」を論理的に語れる人は多くはないと思います。

「自動運転」が注目されていることは知っていても、それが日本の自動車業界にどんな影響を与えるか、先を見通して語れる人も少数派でしょう。

本書では、そんな「新たな経済学」を1テーマ5分で身につけることができます。

内容(「BOOK」データベースより)
あなたはビジネスに使える「経済の教養」が身に付いているか?2020年の経済が見える、25の新しい視点。

 

日銀が発表した2017年1月~3月期の資金循環統計によると、家計が保有する金融資産は3月末時点で1809兆円に達し、年度末としては過去最高を記録した。そのうち932兆円が「現金・預金」である。人々は買いたいもの、欲しいものがないから、それをスズメの涙ほども金利がつかない銀行などにジーッと置いたままにしている。だから、消費が一向に増えないのだ。企業も255兆円の「現金・預金」を後生大事に抱え込んでいる。(p.5)

そこを何とかするようにしないと国家としての日本はダメになっていきますね。どう使ってもらったらいいんでしょうかね。

マクロ経済学とミクロ経済学という言葉があるが、もはやケインズ的なマクロ経済学は”終わった”と言っても過言ではない。経済は「生き物」だ。理論は現実から導き出されるものだから、現実が変化したら理論も変化しなければ役に立たない。経済の変化を的確に把握して現実のビジネスに生かすためには、1世紀も前に外国の学者が考えた理論を暗記するのではなく、“観察者”の視点を持って、個々の人々の財布と個々の企業の財布がどのように動いているのか、それが全体としてどういう振る舞いをするのか、ということを知らなければならない。ミクロ経済の集積体としてのマクロ経済を組み立てる「経済頭脳」がなければ、新たなビジネスを考えることもできないはずだ。(pp.6-7)

そこは納得ですね。ただ、先人の知恵は大いなるレガシーですから。それを昇華させるという視点が正しい考えだと思います。こういった大前節・・・昔は響きましたが、いまは私も響かなくなりました。でも言い方だけなんですけどね。

ハイパーインフレに備えるためにということで次のことが挙げられています。
①資源国の通貨によるタンス預金
②資金を「金(ゴールド)」または「金に準ずるコモティティ(商品)」に換える
③「稼ぐ力」を身につける
とのことです。①は政治・治安など、その問題がありますし、現行資産としては②がいいように思います。あと③、これはもちろんです。これはやっておかなければなりません。そういう意味では、それを身につける機会をもっと増やさせるような政策を推進すべきでしょう。たとえば、副業の許容などはそれにあたるように思います。

日本経済新聞社(2016/8/29)によると、今や日銀とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を合わせた公的マネーが、東証1部上場企業約1970社のうち4社に1社にあたる474社の実質的な筆頭株主になっているという。これは明らかに不健全な歪んだマーケットであり、「日銀とGPIFのおかげで底堅い」と喜んでいられない。・・・上場企業の経営者は、努力して投資家に自社株を買ってもらい、そして保有し続けてもらうのが本来の姿である。しかし、今は企業の経営戦略の業績よりも「時価に対する配当利回りはどれくらいか」が最も重視されるようになった。少なくとも3%以上の配当利回りが得られないと、年金基金を主とした機関投資家に買ってもらえないのである。そこでは将来性はあまり重視されない。(pp.32-33)

この日経の報道からは1年たっているわけですが、いまはどれくらいになっているのでしょうね。

こちらにありました。ご確認ください。

1800兆円の個人金融資産が消費に向かうようにすることが、日本の経済政策の根本である。言い換えれば、金利やマネタリーベース(資金供給量)をいじる20世紀型のマクロ経済政策ではなく「心理経済学」こそが、いま求められている成長戦略の要なのである。(p.44)

そうでしょうが、それをどうするかですね。問題点の指摘はそりゃそうなんですが、問題解決策、切れ味の鋭い問題解決策ですよね、必要なのは。それを国レベルでしかできないのか、地方からでもできるのか。

収益が出ていなかったとはいえ、実は最も売却してはいけなかったのが、家電部門だ。アニメ「サザエさん」という格好の宣伝媒体を持ち、「TOSHIBA」ブランドは世界でも名が通っていた。打ち手はいくらでもあった。ところが極端な「選択と集中」によって残すべき根幹―自分たちのアイデンティティを手放してしまった。この時点で、東芝の終わりは見えていたのである。東芝の終焉は、誤った「選択と集中」の結果なのだ。(p.122)

ここもそう言い切ってしまうのはどうかと思うのですが、「誤った選択と集中」というのはさまざまな企業で見られると思います。

20世紀の経営の3要素は「ヒト・モノ・カネ」と言われたが、現在はそれが3つのクラウドで代替できるようになり、すべて自前で持つ必要がなくなったと言っても過言ではない。21世紀の経営資源は、新しい事業環境が見えていて良いアイデアを生み出せる一握りの傑出した人間だけでよいのである。言い換えれば、3つのクラウドを理解しているかいないかで、見える景色は全く違う。3つのクラウド時代の景色が見えている人にとっては、これほど事業機会があふれている時代はない。実際、そうした人たちに聞くと、少し考えただけでも、新しい事業アイデアが10も20も簡単に出てくるという言う。(p.131)

タイトルと内容には、どうもギャップがある感じでした。経済学ではないですね。いつものように政府の政策などについておかしい、間違っているという指摘、そして自論の展開という流れでした。賛同できるところは半分くらい、残りは少し極端だなぁというような感じのところもありました。

それぞれ、ご自分でも読まれてみて、そのあたりはそれぞれご自分のご意見を持たれたらいいのではと思います。

人の意見と自分の意見を比較して、そしてまた考える。そういうきっかけ、投げかけをしてくれる著作として利用するといいのではないかと思います。まるまる全部を受け入れるというような使い方はお勧めできません。

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