生産財マーケティング戦略

生産財マーケティング戦略―アマダに学ぶ売れる仕組みづくりと実践マニュアル

生産財マーケティング戦略
―アマダに学ぶ売れる仕組みづくりと実践マニュアル
著者:浜中 憲一,角澤 明

内容(「BOOK」データベースより)
顧客に利益をもたらす。だからまた売れる。不況時には力を貯める。だから好況時に躍進できる。工作機械トップメーカーが実践で培った顧客密着必勝戦略の全貌。著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
浜中/憲一
1949年1月3日生まれ。株式会社アマダでマーケティング部門の責任者として商品・販売・開発・市場戦略など幾多のマーケティングを実践。2009年にアマダを退職し現在は中小企業などへ「売れる商品と売れる仕組みづくり」についてコンサルティングや講演、(独)中小企業基盤整備機構及び(財)神奈川県産業振興センターの販路開拓支援活動など

角澤/明
1960年9月11日生まれ。株式会社アマダで新商品開発、マーケティング、戦略構築に携わる。2002年に起業し、行政・民間への経営コンサルティング活動および大手企業マネジメント層を中心とした人財開発研修を展開。株式会社コンサルトネット代表取締役、中小企業診断士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

★読書前のaffirmation!
[きっかけ・経緯] 消費財と生産財、どう違うのか?という問題意識。
[目的・質問] 消費財と生産財、どう違うのか?・・・顧客の違いなど。
[分類] 675:マーケティング

アマダで享受されたマーケティング戦略は、①付加価値の高い商品を「探して」「仕込んで」「育てる」を、②顧客コミュニケーションから「売れる仕組みを作り上げる」へと実践することである。商品は究極、「顧客が買いに来る商品」であり「コンセプトと投資効果提案」で「欲しい」「買いたい」と思わせるプロモーションであると教えられてきた。(p.3)

 

アマダの主業務は「板金加工機械」ということですので、ここでいう顧客というのは、「企業」としておいていいでしょう。

BtoBのマーケティングですので、私はBtoCの知識がメインですので、学ぶべきところはいろいろとありそうです。

顧客に「買う理由」を訴求する場として展示場や研修棟、顧客から「買った理由」を訴求してもらう場として事例研究会やユーザー見学会、顧客に「買い続けたい理由」を訴求する場として接待施設を活用している。この仕組みが、ブランド構築とファン化を支えている。(p.10)
究極のマーケティングは、顧客ニーズと顧客満足を満たし、顧客成功に導くことで、顧客に「欲しい」「買いたい」「買い続けたい」と思わせるプロモーションである。(p.14)

アマダのマーケティング・アクションサークル(p.26)

探して
  • 顧客ニーズ
  • 市場動向
  • 競合動向
  • 販売動向
  • シーズ動向
  • 顧客満足度
仕込んで
  • 仕様/機能
  • 顧客メリット
  • 価格
  • コスト
  • 市場規模
  • ターゲット市場
  • 機能確認
  • コスト確認
  • 内見会
  • 顧客反応
  • 見込み度測定
  • 販売ツール
育てる
  • 稼働状況
  • 市場反応
  • 課題把握
  • 競合比較
  • 従来機比較
  • 成功事例

アマダのマーケティング・プロセス(p.27)

探して
顧客ニーズ
顧客密着
仕込んで
技術革新
差別化
育てる 提案営業
(買う理由の訴求)
生涯顧客
(リピート)

◎販売戦略―「買う理由」「買い続ける理由」を訴求
販売におけるマーケティングは「買う理由」「買った理由」「買い続ける理由」を訴求する仕組みを作り上げた。

(1)顧客に「買う理由」を訴求する仕組み

  • 顧客課題を顕在化し、商品知識を得てもらい、解決策提案と不安解消から納得してもらう仕組みを作り上げた。
  • 顧客課題探索には顧客の現場に入り込み、データ収集・分析を実施して改善提案委つなげる。
  • 顧客ニーズを満たす優れた商品でも、それが顧客に伝わらないと売れない。

(2)顧客に「買った理由」を訴求する仕組み

  • 顧客が設備導入後、満足度が高く納得されれば、各種ゼミで講師になっていただき成功事例として発表してもらえる。

(3)顧客に「買い続けたい理由」を訴求する仕組み

  • アマダの基本戦略は顧客との人的関係構築からの「リピート」ビジネスであり、また、継続的に少しでも高く買てもらうための仕組みである。
  • アマダファンづくりの仕組みは、競合他社との最大の差別化になっている。

「マーケッターの条件」というのが書かれています。BtoBマーケッターとしては下記のような条件が挙げられています。(p.91)

・戦略的な思考能力
・コミュニケーション能力
・顧客の変化を読み取る感性

これについては、BtoCであろうが変わりませんね。さらに以下についても書かれています。(pp.90-92)

実践では、説得力のある商品企画マーケッターに求められるものは、次の9つである。

①知ること
a モノづくりを知る
・現場を知る
・使い方を知る
・加工製品を知る
・加工時間やコストを知る
b 競合を知る
c 新技術を知る
d 売り方を知る(仕込んだ商品を自ら売る力)
・売るための販売促進ツールを作る
・顧客に提案し契約まで持ち込める

②聞き上手であること

③明日のことを常に考えていること
[考えること]
   ・市場変化は
   ・顧客は何を求めているか
   ・何の商品なら買ってくれるか
・なぜ、買ってくれるのか(買ってくれる理由)
   ・納入後の商品評価は
   ・新たな使い方はないか
   ・販売動向は(伸びているか)
・競合は、シェアは
・競合商品との違いは
   ・競合を倒すために何をするか
   ・既存商品を陳腐化させるには
   ・新たな技術革新は
・商品を「欲しい」「買いたい」「買い続けたい」と思わせるには

④仮説のゴール(目的地)を決めること

⑤経営幹部の派閥に入らないこと

⑥マーケッターは強いリーダーシップが必要

⑦何でも相談できる自分の顧客を持つこと

⑧マーケティングは科学であることを認識すること

⑨マーケッターは、顧客利益向上の代弁者としての役割を持っている

つぎに、「商品企画への着眼点」というテーマで書かれています。(p.94)

新商品の企画、および既存商品の改善から更新需要を喚起する商品を企画するには、顧客ニーズの収集から始まり、「顧客のモノづくりを知る」「競合を知る」「新技術を知る」「売り方を知る」が原点であるが、生産財には次のような特有の着眼点がある。

  1. 市場環境の変化から、何をしたいのかの方向性である商品ビジョンを持つ
  2. そのビジョンからの顧客への付加価値を明確にする
  3. それを発見するために、「なぜ」を追及する

この3つのそれぞれの着眼点は以下の通りである。(pp.94-95)

①商品ビジョンの明確化
・生産性を追求する
・新しい使い方を追求する
・不良撲滅を追及する
・操作性を追求する
・環境改善を追及する
・内段取りの外段取り化を追求する②求める付加価値の明確化
・段取り時間の差
・加工時間の差
・検査時間の差
・品質の差
・不良の差
・人件費の差
・ランニングコストの差
・二次作業の差

③「なぜ」を調べる
・なぜ、プログラムを修正するのか?
・なぜ、機会を止めているのか?
・なぜ、内段取りをしているのか?
・なぜ、調整・補正をするのか?
・なぜ、ベテランが作業をするのか?
・・・

以上の3つの着眼点を頭においていただきたい。

やはり、BtoCにはないような切り口もありました。今後、こちらの業界でも対応できるように、もっと血肉にしていきたいと思います。

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