仕掛学

仕掛学

仕掛学
著者:松村 真宏

内容紹介
「ついしたくなる」にはシカケがある。
スタンフォード大学の講義でも用いられている、日本発のフレームワーク、仕掛学【Shikakeology】。押してダメなら引いてみな。一言で言うとこれが仕掛けの極意です。
人に動いてほしいときは無理やり動かそうとするのではなく、
自ら進んで動きたくなるような仕掛けをつくればよいのです。
ただ、言う は易し行うは難し。そのような仕掛けのつくり方はこれまで誰も考えてきませんでした。
本書では仕掛けの事例を分析し、体系化。
「ついしたくなる」仕掛けのアイデアのつくり方についてご紹介します。

内容(「BOOK」データベースより)
「ついしたくなる」にはシカケがある。スタンフォード大学の講義でも用いられている日本発のフレームワーク。

★読書前のaffirmation!
[きっかけ・経緯] 非常に興味深いです。
[目的・質問] 仕掛学、私もマスターしたいと思います。VE(バリュー・エンジニアリング)に通じるところを感じました。
[分類] 141:普通心理学.心理各論

 

仕掛けは見えているのに見えていない、聞こえているのに聞いていない生活空間の魅力に気づかせるための仕組みである。仕掛けによって計算機で扱える世界の外、つまり日常の生活空間を対象にできるようになる。(p.11)
「したほうが良い」と直接伝えても効果がないことは明らかなので、「ついしたくなる」ように間接的に伝えて結果的に問題を解決することを狙うのが仕掛によるアプローチになる。(p.16)
どのようにすれば自分自身の行動を変えることができるだろうか。人から言われて素直に従うほど従順ではないし、上から目線で指示されると反発したくなる時もある。周りの人がしていないから自分もしなくても変わらないと思う心境は誰もが心当たりがあるだろう。楽をしたいのは人間の性であり、個性であり、権利なのだ、と開き直っている人は著者だけではないはずである。(p.26)
マーク・トウェインの名作『トム・ソーヤの冒険』やイソップ寓話『北風と太陽』の話には人の行動を変える奥義が記されている。無理やり行動を変えさせようとするのではなく、つい行動を変えたくなるように仕向けるのである。このように「ついしたくなる」ように仕向けることは不確実性を含むので遠回りに見えるかもしれないが、正攻法が効かない場合には有望なアプローチになる。(p.27)
「良い仕掛け」と「悪い仕掛け」の区別は簡単である。仕掛ける側と仕掛けられる側の双方の目的を知った時に、「素晴らしい、こりゃ一本取られた」と笑顔になるのが良い仕掛けであり、「だまされた、もう二度と引っかからないぞ」と不快にさせるのが悪い仕掛けである。
本書では、問題解決につながる行動を誘うきっかけとなるもののうち、以下の3つの要件からなる「FAD要件」(それぞれの要件の英語の頭文字をつなげたもの」をすべて満たすものを「仕掛け」と定義する。

  • 公平性(Fairness):誰も不利益を被らない
  • 誘因性(Attractiveness):行動が誘われる
  • 目的の二重性(Duality of purpose):仕掛ける側と仕掛けられる側の目的が異なる

本書では、FAD要件を満たすものを「仕掛け」と呼ぶ。一般的な意味で用いられる「仕掛け」よりもかなり限定されていることに注意されたい。(pp.36-37)

仕掛けの良いところは、あくまで行動の選択肢を増やすだけで行動を強要しないところにある。もともと何もなかったところに新たな行動の選択肢を追加しているだけなので、最初の期待から下がることはない。どの行動を選んでも自ら選んだ行動なので、騙されたと思って不快に思うこともない。つまり、仕掛けは誰の期待を下げることもなく問題を解決することができる方法になる。・・・仕掛けは選択肢を魅力的に見せることで自ずとそちらの行動が選ばれるように仕向けたものであるといえる。(p.48)
直感的に注意を引くためには、人が何に対して興味を抱くかを理解しておく必要がある。そのために仕掛けでは私たちがすでに知っている知識や経験を利用する。仕掛けの考え方をいったん身につければ、これまで見えていた世界がちょっと違ってみえてくるはずである。なお、行動の選択肢を設計する方法論に「ナッジ」(そっと肘で突いて行動を促すという意味)がある。ナッジでは、人はそれほど合理的に判断するわけではないという前提に立って、あまり考えずに選択しても損をしないように選択肢を設計する。(pp.53-54)
ゲーミフィケーション分野では上達できる、適度な何度に設定されている、他の人に認められる、射幸心があおられるといった要素があると飽きにくくなることが知られており、仕掛けの飽きやすさを考える際にも参考になる。(p.68)
仕掛けは装置によって問題解決をはかるのではなく、人々の行動を変えることで問題解決をはかる。この発想の転換が仕掛けの肝であり、装置中心アプローチの視点を行動中心アプローチの視点に変えることで新しいアプローチが見えてくる。(p.72)

 

仕掛けの原理

物理トリガ フィードバック 聴覚
触覚
嗅覚
味覚
視覚
フィードフォワード アナロジー
アフォーダンス
心理的トリガ 個人的文脈 挑戦
不協和
ネガティブな期待
ポジティブな期待
報酬
自己承認
社会的文脈 被視感
社会規範
社会的証明

仕掛けは物理的トリガによって心理的トリガが引き起こされ、それによって行動が変わるという順序を経て機能する。(p.89-90)

人の行動に応じて視覚的にフィードバックすると、仕掛けと「遊べる」ようになるので、仕掛けの誘引力はぐんと強くなる。(p.102)
アフォーダンスは見ただけで使い方がわかる「物の特徴」のことである。これだけではアナロジーとの区別がつきにくいが、「事前知識がなくても」という条件下でも伝わる特徴のことである。イスを見たことがない人でも、イスを見ると「座れる」ことがわかる。この場合、イスは「座る」ことをアフォードしているということができる。(pp.105-106)
アイデア発想につまったときは視点を切り替えるのが良い。そのときによく使われるのが以下の9カ条からなるオズボーンのチェックリストである。

  1. 他の使い道は?(Put ot other uses?)
  2. 他に似たものは?(Adapt?)
  3. 変えてみたら?(Modify?)
  4. 大きくしてみたら?(Magnify?)
  5. 小さくしてみたら?(Minify?)
  6. 他のもので代用したら?(Substitute?)
  7. 入れ替えてみたら?(Rearrange?)
  8. 逆にしてみたら?(Reverse?)
  9. 組み合わせてみたら?(Combine?)

このチェックリストの覚え方として「ださく似たおち」(代用・逆さま・組み合わせ・似たもの・他の用途・大きく・小さくの頭文字をつなげたもの)というのもある。(pp.156-157)

これはおもしろかったです。
ついしたくなる、してしまう、その発見の意義はすごく大きいように思います。私もここに出てきた製品、サンプルなどを軸にお客様を探っていきたいものです。

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