(著者:玉塚元一・解説 プレジデント書籍編集部・編)
★★★☆☆
現ローソン社長の玉塚氏は、ユニクロ時代に柳井氏から毎月2冊ほど「これを読むように」と経営書を手渡されていたようです。その中の一冊に、柳井氏も貪るように読んだというハロルド・ジェニーンの「プロフェッショナルマネジャー」があったそうです。
今回の書評はこの「プロフェッショナルマネジャー」(以下、「PM」)を玉塚氏が解説するという体裁の書物です。「ノート2」となっているのは、同じような企画で「ノート1」があり、それはユニクロの柳井氏のバージョンですでに販売されていますのでご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
さて、第1章・第2章は、玉塚氏のこれまでに感じられた経験と「PM」に書かれていることを関連させながら、この「PM」がマーフィーの法則ではありませんが、真実を突いていることを述べています。第3章は、「PM」のポイント集、第4章はジェニーン氏の金言集といった構成です。「超訳」「図解」とありますが、「図」はまったくないという驚きの書です。(笑) 「速習」というのはこれは、まさにそうでしょう。
「『PM』はすごいぞ!読みなさい!」というダイヤモンド社の宣伝物とも捉えられますが、そこは玉塚氏の「ローソン戦略」(第2章)を入れることで商品価値を出しています。玉塚氏自身の書物も今はまだありませんから、そういう意味では貴重な存在なのかもしれません。
柳井さんと玉塚さんがこの経営書のどこに魅了されたのかと言えば、それは以下のようにずばりと説かれた「組織は仕事をするためにあり、組織のために仕事をするのではない」というメッセージがちりばめられていたからでしょう。・・・そして、二人が影響を受けたといわれるジェニーン氏の「三行の経営論」とは―。「本は読む時は、初めから終わりへと読む。ビジネスの経営はそれとは逆だ。終わりから始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをするのだ」というフレーズです。(P.4)
「三行経営論」は戦略を考える際に、非常重要な忘れてはいけない考え方ですが、これをズバリとこのように言い切っているものはあまりないですので、ここは押さえておかないといけません。
第3章で、「PM」の核心部分を24のポイントに整理してくれており、これについては日々“クレド”として噛みしめていきたいものである。(P.81)
そして、最後の第4章は、ハロルド・ジェニーンの金言集ということで、先の24のポイントと類似する金言を7つの要素に分けて整理している。(P.177)