著者:細谷 功、井上 和幸、西本 伸行 …
ビジネスモデルを整理した本はこれまでにもいろいろとありましたが、それと「仕事術」を絡めたのがこの本の新しい視点でしょう。そのあたりを見ていきたいと思います。2014年に上梓された本ですが、残念ながらすでに絶版のようです。(Inobe.Shion) |
内容紹介
◎「ビジネスモデル」とは、企業が収益を上げ、競争力を維持するための仕組みを類型化したもの。 ◎本書では、定番から最先端のものまで、ビジネスモデルを20取り上げて、その仕組みをやさしく紹介するとともに、 内容(「BOOK」データベースより) 仕事の効率化、キャリアアップなど、自分の仕事やキャリアで活かすヒントを紹介。新規事業をはじめたい人、起業したい人のために、ビジネスモデルの概要と、上手な「使い方」を解説。20のビジネスモデルの使い方。 |
ビジネスモデルとは、企業が長期的に利益を稼ぎ続けるためのしくみのことであり、単品の製品ではなく、会社同士やそこでの関係者とのつながりのあり方、つまり「関係性」ということになります。この関係性を企業のビジネスモデルの仕組みから「借りてくる」ことによって個人が単品のスペックで勝負するのではなく、継続的に稼ぎ続ける仕組みを構築するためのヒントが得られます。(はじめに) |
ビジネスにおける利益を生み出す仕組み=構造がビジネスモデルでした。ビジネスモデルを理解することは、ビジネスの構造を理解しようとするものであるため、まさしくアナロジー思考と言います。ビジネスの構造を見抜き、構造を理解し、それを利用しようとすることが「ビジネスモデル思考」です。それは、「要するにこの会社は何で儲けているのか」を考えることで見えてきます。ビジネスモデルもアナロジーで考えれば、進んだ世界から学ぶことが可能です。他の業界から「借りてくる」ことで、自分のビジネスに活かすことができます。(p.26) |
●ビジネスモデル
ビジネスモデル名 | 生み出す | 活かす | |
1 | トライアルモデル | 使ってもらえば後発でもチャンスがある | 百聞は一見に如かず。とにかく一緒に働かせてもらう |
2 | マッチングモデル | 両側の顧客をマネージすることが重要 | マッチング力が自分の価値を底上げする |
3 | 冠婚葬祭モデル | 「高くても仕方ない」と思える業界・市場を選ぶ | 自分だけの「高くても仕方ない」価値を作る |
4 | 特売モデル | 1つおトクなものを作れば、ビジネスが広がる | 得意技が一つ目立てば、全体が目立つ |
5 | ベータ版モデル | 作り込むより、顧客と一緒に作る発想が必要 | 未完成版のリリースこそ、成功の秘訣 |
6 | オンデマンドモデル | 「すぐやります」を技術で可能に | 技術トレンドにのれば下剋上もあり得る |
7 | 多産多死モデル | 下手な鉄砲数打てば、でヒットを作り出す | 戦略脳だけでなく、柔らかいアイデア脳も必要 |
8 | ワイドレンズモデル | どのエコシステムの中で生きていくのがよいのか見極める | 自分の所属する会社だけを見ず、ワイドレンズで |
9 | オープンソースモデル | 仲間に入ることで利益を生み出すことができる | フラットな組織では、命名でなく「理由」を伝える |
10 | アウトソースモデル | 得意でないことは外部に回してビジネスを立ち上げる | プロジェクトマネジメントのニーズが高まる |
11 | ミルフィーユモデル | ミルフィーユ化する産業に勝機はある | 独立して生きていくのか、インフラの一分となるのか |
12 | ロングテールモデル | いかに情報を集めるかがカギになる! | 希少価値のある人材を目指す |
13 | 稼働率最大化モデル | あまり使っていない身近なものにチャンスがある | 業務を効率化しクリエイティブな時間を生み出す |
14 | 二次利用/模倣モデル | 起業の多くは真似から生まれる | 旬の成功事例を真似続けることが成功の要素 |
15 | アズアサービスモデル | 「所有から利用」の流れの中でチャンスを見出す | アズアサービスから抜けるか、その中で生き延びるか |
16 | 中抜きモデル | 「何を抜けるか」を考えてビジネスチャンスを見つける | 「中抜きされない」ためのキャリアプランを考えよう |
17 | 早熟モデル/成熟モデル | 起業するなら成熟モデル。大企業の新規事業は早熟モデル | 成熟型人材は、おトク人材となって生き抜け |
18 | O2Oモデル | エリアを限定して、リアルと融合する方法がポイント | どれだけ進歩しても、結局は対人スキルが勝負を分ける |
19 | オプトアウトモデル | リピート客獲得のために「原則送る」 | 「反対なきは賛成とする」で迅速な意思決定 |
20 | 複合モデル | 会社の発展の中で目指していくモデル | 経験を活かしながら新しいキャリアを切り拓こう |
上記のようなビジネスモデルの話を踏まえた上で、今後、有効な人材=ビジネスプロデューサー型人材になるための9つの要件について紹介されており、そのカギは3つと書かれています。
・新しいものを生み出す力
・それをカタチにする力
・新しいものを受け入れてもらうコミュニケーション力
①T型プロデューサーを目指せ
②「&」な人材であれ
③「メジャー志向」を持つ
④「ありそうで、ない」を見つける
⑤相手の価値にロックインする
⑥「それはできない!」という声にどう対抗するか
⑦相手の頭の中に「絵」を描く
⑧ビジネスプロデューサーは「演出家」になる
⑨自分だけが「最終責任者」である
この書を読んで、いろいろと気づきがありました。
最後のビジネスプロデューサーになるための9つの要件は肝に据えていきたいと思いました。最終責任者のつもりで腹をくくってやっていきたいものです。