UXの時代――IoTとシェアリングは産業をどう変えるのか

著者:松島 聡 … 

内容紹介

「読み応えのある本であり、その論旨は明解だ」
内田和成(早稲田大学ビジネススクール教授)
(日経ビジネス、17/02/06)

「企業、組織、そして私たちの働き方が どのようにリデザインされるべきかを解説」
宮野源太郎(丸善ジュンク堂書店営業本部)
(日経MJ、17/01/25)

「これこそ、次のビジネストレンドだと確信しました」
土井英司(ビジネスブックマラソン編集長)
(ビジネスブックマラソン、17/01/08)

「すごく基本的なことをわかりやすく書いてある」(30代、女性)
「とにかく面白くて一気に読んでしまった! 」(70代、男性)
「社会人の教養として押さえるべき一冊」(20代、男性)
「IoT×AI×人間で何が可能になるのか、もの凄く考えさせられました」(30代、男性)

IoTとシェアリングは、産業を、企業を、個人を、どう変えるのか?
――すべての鍵は、UX(ユーザーエクスペリエンス)にある。

▼ 5ドルPC、人差し指第二関節大のセンサー、月額数十円のMtoM通信…
IoTテクノロジーは「値段が気にならない」くらい安価で、便利で、手軽だ。
▼ UberやAirbnbは地殻変動の前触れに過ぎない。モノ、空間、仕事、輸送…
産業のあらゆるリソースがIoTで共有される、究極のリソースシェアリング社会が到来する。

▼ 垂直統制から水平協働へ――。企業・産業の枠組みを超えて協働し、
ユーザーに新しい体験を提供する、UXビジネスを創造する企業だけが生き残る。

物流改革からロボット研究、ヘルスケアイノベーション、シェアリングビジネス、トライアスロン事業までを手掛ける
日本ロジスティクス大賞受賞の起業家が、今起きている変化の本質と、〈共有型経済のビジネスモデル〉を描出する。

序章 地殻変動の予兆――世界のビジネスシーンで起きている変化の本質
1章 垂直統制型から水平協働型へ――ビジネスも社会も歴史的転換点にある
2章 あらゆるリソースがIoTでつながる――水平協働型シェアリングエコノミーの到来
3章 UXビジネスにどう移行すべきか?
4章 シェアリングエコノミーを支えるIoT
5章 UX創造のビジネス戦略――リソースシェアリングによる新しいビジネスモデル
6章 UXビジネスの障壁――行政との交渉、働き方の改革
終章 ネクスト・メイン・フィールドへ

出版社からのコメント
(以下、「序章」より一部抜粋)

私は外資系コンサルティング会社で8年間、起業して15年間、ロジスティクスとテクノロジーを軸として、あらゆる産業の課題 解決・組織改革に携わってきた。しかし次第に顧客企業と向き合うだけのBtoBサービスに限界を感じるようになった。顧客の向こうにいる消費者と直接向き合わなければ、顧客にとって何が本当に必要なのかが見えてこないからだ。

そこで、それまでの事業とまったく関係のないスポーツとウエルネスの分野でBtoCの事業を始めた。この事業の立ち上げでまず見えてきたのは、UX(ユーザーエクスペリエンス)の大切さと、それに応えるビジネスの難しさだった。

今起きているユーザーの反乱は、彼らが企業の提供するものに価値をあまり認めなくなったことから生まれている。これまでの企業はユーザーのニーズを把握して、そのニーズを満たす商品やサービスを提供してきたつもりでいるが、それはあくまで設備や組織といった企業のリソースの都合で生みだしてきた商品・サービスにすぎない。

これからの企業はそうした既存の枠組みから脱却し、ユーザーが何に感動するか、価値を得るか、つまりUXをいかに最大化するかを基準に、ビジネスモデルを再構築しなければならない。

そのためにはこれまでの産業分類が邪魔になる。古いビジネスモデルは製造業やサービス業など、企業が効率的にビジネスを行うために専業化されている。しかし、UXを基準にビジネスを考えた場合、こうした産業の分類は意味をなさない。ユーザーがモノを使うのも、サービスを利用するのも、自分が求める体験をするためであり、それを提供する企業の業種が何なのかは関係ないからだ。

そこで私が始めたスポーツとウエルネスの新事業では、雑誌メディア、ネットメディア、SNS、ユーザー目線の商品開発、レースやスクールの企画・運営などを総合的に提供する仕組みを、ユーザー起点でゼロから作り上げた。そこから生まれたのは、ユーザーがただ商品やサービスを買うのではなく、イベントやネットワークを通じて自分たちのコミュニティを形成し、事業を牽引していく、シェアリングエコノミー型の活動形態だった。また、この事業では企業コンサルティング事業で磨いたIoT、SI、ロボティクスなどのテクノロジーを、BtoCビジネスの切り口から新たなかたちで活用することにも挑戦した。

このユーザー起点の仕組みと、様々な先端テクノロジーが複合的に作用するビジネスを通じて、UXを最大化するための仕組みをどうすれば構築できるか、それが単なる一企業のビジネスを超えて、どのように産業や社会のシステムを変えていくかが少しずつ見えてきたのだった。

シェアリングとはものを所有するのではなく共有することだ。今はまだニッチなサービスをに支えられている現象・行為かもしれないが、その奥にはこれまで資本主義経済を支えてきた価値観を根底から覆す可能性が秘められている。(p.3)
モノを買い所有する経済から、必要な時に必要な分だけ利用する共有型経済(シェアリングエコノミー)への転換を告げる予兆なのかもしれない。変化に敏感な人たちはすでにこのキーワードに注目し、これから起きる変化を読み解こうとしている。(p.4)
シェアリングエコノミーの根底にあるのは、産業が大量に生産したものを所有するという行為の拒絶・否定だ。そこにはいくつかの同期が考えられる。まずものがあふれている時代に育った世代は、欠乏の時代に育った世代のような所有の欲求がそもそも乏しい。せっかく稼いだお金を使うなら、1つのものを買うより必要な時に必要な分だけ使うことで、複数のものから価値を得た方が良い。その方が消費スタイルとしてクールだという価値観もそこにはある。(p.4)
従来の賃貸・レンタルにはないこうした便利さを可能にしたのはテクノロジーの進化だ。ユーザーはモノを買って所有しなくても、シェアリングサービスのみのサイトやスマホアプリを使って必要な時間だけ、必要な場所で手軽に使うことができるようになった。これがユーザーの消費行動を大きく変えた。これまで購入・所有にかけていたお金のある部分をシェアリングに切り替えることで、より有効にお金を使うようになったのだ。シェアリングと購入・所有にかけるお金の比率は、人によって異なるが、この先シェアリングのサービスが多様化し、社会に広がっていけば、シェアリングの比率は高まっていくことになるだろう。(p.6)
もちろんシェアリングの比率が高い人でも、所有した方がより便利なもの、どうしても所有したいものというのはある。特に機能や性能、デザインなど、その人がこだわっているハイレベルなもの、特殊なものなどは、買って所有する方を選ぶだろう。(p.6)
今起きつつある変化で注目すべき点は、消費者・ユーザー自らが主権者として、製造・消費という経済活動の様式を変えようとしているということだ。これは産業革命以降の近代社会が初めて経験する変化であり、その意味で新たな「革命」と呼ぶべきものなのだ。「革命」というと過激な感じがするが、すでに紹介したような多様な形で、経済社会に広く生まれつつある動きでもある。そこに共通しているのは、大企業支配型からPtoPのコラボレーション型へ、垂直統制型から水平協働型への移行・変化だ。(p.12)
カーシェアリングが普及すれば自動車の売れ行きは鈍化する。個人が太陽光発電システムなどで再生可能エネルギーを安価に生み出し、PtoPで取引するようになれば、化石燃料や、電力会社がそこから生み出す電気は売れなくなっていく。こうした変動が産業界に与える影響は計り知れない。特にコモディティー化した製品やサービス、限界費用が低いビジネスモデルやトランザクション(商取引などビジネス上の行動)で運営されている事業は、従来とは全く異なる仕組みで極端な低価格を打ち出してくる新たな勢力に駆逐されてしまう危険性が高い。そうしたビジネスが主力事業である場合、会社は存続の危機に陥るだろう。こうした危機を回避し、会社を、事業を存続させるにはどうずればいいのか?答えは明らかだ。今起こりつつある経済社会の変化に適応し、新たなモデルを取り込んでいくしかない。(p.14)

以上の序章に本質が書かれている気がしますが。

あとは、上の内容紹介にあるような流れで展開されています。
2016年12月に初版ですが、どんどんこの流れになってきているような感じもして、参考になりました。

(気に入ったら投票をお願いします!)

にほんブログ村 経営ブログへ
にほんブログ村

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください