HRテクノロジーで人事が変わる


HRテクノロジーで人事が変わる

著者:労務行政研究所[編] … 

なかなかここまでHRについて、事例も含めて書いてくれているのはなかったので、大変参考になり勉強になりました。(Inobe.Shion)

「human resources」の画像検索結果

 

内容紹介

これからの人事の必須ツール
HRテクノロジーの可能性と法的留意点を多角的に徹底解説!

■政府、学識者、コンサルタント、弁護士が、HRテクノロジーの可能性と法的留意点を多角的に徹底解説。
■「勘と経験」から「データ分析・活用」へと人事の変革をサポートする1冊!

2017年12月に閣議決定された「新しい政策パッケージ」においても、「人づくり革命」と「生産性革命」が二大政策課題として掲げられている。これらはいずれも、人材への投資や人材育成、生産性の向上に向けた取り組みであり、まさに「人材」を重視したものである。そして、その動きは、ますます加速している。このように、「人材」が重要テーマとされる背景には、現在我が国が直面している二つの大きな構造的変化が存在する。一つは、AI(人工知能)・データに代表される技術革新、つまり「第4次産業革命」の進展だ。そしてもう一つは、少子高齢化による「人口減少」や「人生100年時代」を迎えることによる「人口動態の変化」である。(pp.14-15)

経済産業省・中小企業庁「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」にて幅広く調査・研究されています。p.33の図表が引用されていますが、うまくまとめられています。

HRテクノロジーのサービスは、グローバルでは「HCM(Human Capital Management:人的資本マネジメント)アプリケーション」と呼ばれている。HCMアプリケーションの2016年の世界市場規模はUS$16.4B(1US$=110円の換算で約1.8兆円)と巨額である一方、市場シェアは欧米企業10社が市場シェア52%を占めている。この市場に新たに参入すべく、HCMアプリケーションのスタートアップがこの数年で急増している。

元々はオンプレタイプのSAPとOracleが市場を占有していたようですが、SaasタイプのWorkdayがそれらを食っていく図式になっているようです。このWorkdayなのですが、Oracleに敵対的買収されたPeopleSoftの創業者が立ち上げた企業とのこと。ドラマですね。

また日本では2016年より「HRテクノロジー大賞」実行委員会が主催となり、HRテクノロジー活用で先進的な企業が各種紹介されているようです。

やっているところはやっているんだなぁって思います。上場企業でもこのあたりに踏み込んでやっているところはどれだけいるんでしょうか。

私はマーケティング部門でしたので、マーケティング関連のテクノロジーに関してはいろいろと情報収集してきましたが、HRのほうも最近勉強しはじめておりますが、こうやって体系的にまとめられているのを見て、やっと全貌が見えてきたような気がします。ニッチな部分を創り出して展開しているように感じます。

ニッチではあるものの、全企業に共通するところなので市場規模としては、かなり大きいようにも思います。

また「HR-Solution Contest」なるものも経産省主催で行われているようです。

■HRテクノロジーが実現する4つの機能

①自動化 RPAによる、複雑でもルール化が可能な人事業務(人員・人件費集計、福利厚生手続等)の自動化
人事システムの直感的な分かりやすさ・操作性の向上のよる思考の効率化
行うべき手続き内容をシステムが提案することによる、判断の自動化
②いつでもどこでも化 ビジネス型チャットツールによる、ストレスのないリアルタイムなコミュニケーションの促進
eラーニングコンテンツの双方向化による学習効果の向上
コンテンツの細分化・最小化(Micro-learning)による利便性の向上
より対面に近い環境を提供するWEB会議システムによる、コミュニケーションコストの低減
③見える化 パルスサーベイを通じた、従業員のリアルタイムな意識の把握
音声情報を解析して感情を可視化・分類するシステムや、目の動きを測定して集中力や落ち着きの程度を測る眼鏡型のデバイス等による、感情や行動の可視化
健康状態・その日のモチベーション等を入力・管理できるモバイルアプリや、多様な人事・検診データを集約して俯瞰・分析できるシステムによる、生産性向上や健康経営の推進
 質問内容や人の動き・コミュニケーション履歴に基づく、組織内の人的ネットワークの見える化
④モデル化 従業員満足度の構成要因や退職の発生原因に関するモデル化・将来予測
AIによる、各企業のニーズにマッチする面接候補者の提案

 

近年、「エンプロイー・エクスペリエンス」と呼ばれる”人材が企業の中で得られる価値ある体験”を重視する考え方が世界的に注目を集めている。・・・効率的なオペレーションや高機能な製品だけでなく、イノベーションが事業の成長エンジンとなる現代では、多様な人材を活用し、生き生きと課題に取り組ませ、企業に引きつけることが欠かせない。そのために、価値ある体験をデザインし、提供することが企業にとって重要な課題になりつつある。(p.53)
人事部門が新たな施策や仕組みを導入する場合、及び腰になるか、あるいは非常に時間をかけることが多い。・・・HRテクノロジーの発展は、二つの面でこの状況を打破する可能性を秘めている。一つは、前述したデータ分析を通じた施策の命中率の向上だが、もう一つ強調したいのは、クラウド技術の発展がもたらす情報システム導入のハードルの低下である。(p.54)

先進各社の事例が掲載されています。
・日立製作所:ハイパフォーマーの特徴分析
・パーソルホールディングズ:
退職予測モデル、異動後活躍組織予測モデル
・セプテーニ:活躍予測モデル
・ソフトバンク:AIによるえとりーシート選別
・ミライセルフ:カルチャーフィットの可視化
・カシオニューマンシステムズ:
人財データの「見える化」
・リンクアンドモチベーション:
エンゲージメントの測定と組織力強化
・NECソリューションイノベータ:
健康診断検査値の予測と不調者の予兆検出

人事におけるテクノロジー導入に際して直面しがちなハードルとして、以下の5つが典型的なものとして挙げられています。(p.252)

  1. 「データは経験値や現場の肌感覚を否定するもの」と誤解される
  2. 人事のデータは量的に十分でないことがあり、かつデータを集めようとすると従業員の反感を買う
  3. データ分析やITツールの導入をリードする人材がいない
  4. 新しいITツールを使うよりも、昔からなじんでいるやり方のままがよいと反発される
  5. データ分析をしても打ち手自体は変わらないし、事業にどこまでプラスの影響があるのか評価できない

この5つですが、人事におけるだけではないと思いますが、非常にうまく言い当てていると思います。まさにそうです。

アナリティクス導入のステップとして、トーマス・H・ダベンポート氏によって提唱されたDELTAモデルが掲載されています。(pp.255-256)

Data:
質の高いデータ
筋の良い仮説を多く立て、使用するデータを定義する
Enterprise:
事業視点での課題設定
経営企画や事業部門を巻き込み、会社全体を見渡した上で問いを立てる
Leadership:
データ分析を推進するリーダーシップ
統計のプロであることや、一人ですべてを揃えることにこだわらない
Targets:
効果的な目標
納得性の高い指標と、アウトプット水準の引き上げ目標・ロードマップを設定する
Analysts:
適切な分析スキルを有する人材
現実的な分析レベルや、人事部門外のリソースを視野に入れる

 

データ分析と聞くと、まず質の高いデータ(Data)や分析力の高いアナリスト(Analysts)に関心が行きやすい。しかし、価値創出の方法を変えることが一種の組織変革であることを踏まえると、まずは社内d幅広く支持を受け、活用され続けるような仕掛け、すなわち事業視点での課題設定(Enterprise)、リーダー(Leadership)、目標(Targets)から検討することが重要といえる。(p.256)
仮説を立てる際のポイント
①数多くの仮説を出す
②テーマによる仮説立案の何度の違いに留意する
③経験が長い担当者を仮説検討に巻き込む
HRテクノロジーを使いこなして新しい付加価値を創出するためには、まずは小さくても実績を作ることである。「今のままでも仕事は回る」「具体的なイメージが湧かない」といった、HRテクノロジーに対する懐疑的な声を乗り越えるには、実績をもって語ることが一番の近道だ。また、いきなり高いレベルでの実績を求めても挫折する可能性が高いので、成功といえる実績のハードルを下げることが、現実的な戦略となる。(p.275)

 
中小企業診断士

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