著者:竹内 啓
長編です。しっかりと心して読む必要がある作品です。(Inobe.Shion) |
内容紹介
【本書の目次】 内容(「BOOK」データベースより) 古代中国から始まる統計の歴史と様々な統計理論の興亡を、論争、人間模様などのエピソードも交えて統計学の第一人者が興味深く解説。 |
統計を歴史的に語ることへの挑戦的著作。もしかしたら、これに近いかもしれません。
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私の記憶がこちらはかなり西洋寄りだったように思いますが、今回のこの著作は東洋寄りなところももたしつつ、「リスク」的な話はもちろん、より統計にこだわった体裁なように感じました。
長編ですし、パーツパーツにしっかり区切られているので、一気に読む必要はありませんが、折に触れ、歴史的な観点で統計に触れることで、新たな気づき発想の広がりを得られるような気がします。
さて、本題に入る前に「統計」を定義していますが、なかなかユニークな定義だと感じました。
「統計」ないし「統計的データ」には3つの要素が含まれていることになる。客観的な対象、数字データの作成者、データを「統計」として解釈する者である。(p.2) |
データを「統計的観点から扱う」場合には、それから得られる情報を使う目的がなければならない。「森を見る」場合の林業事業者の目的は、それを林業経営のために利用することである。政府による人口調査の目的が、徴税あるいは徴兵の制度を作るためであったことは少なくない。(p.3) |
歴史において起こる3つの要素の変化は、統計ないし統計学の発達に影響するのである。簡単に言えば、歴史とともに統計学は変わるのである。統計学の歴史をその内的論理だけでは理解できない根本の理由がここにある。(p.3) |
そして、著者がこの本を書かれた目的が書かれています。
この本で、私は、統計学が「歴史のなかで」どのように変化し、発展したかを跡づけてみようと思う。(p.3) |
ここまでは理解しましたが、この本のターゲットはどんな人なんだろうか? 価格も¥4,800+税ですから、高額な部類に入るわけなんですが、ターゲットが見えない。難しい位置づけの著作となっております。
あと気になったのは、「データ」や「情報」の定義がないまま進んでいるのですが、これについても見解を書いておいた方が良かったように思います。それだけで1冊本が書けるくらいですから。
というような中での長編作品が、先の内容紹介に出させてもらったような目次で展開されていきます。